地震発生後に「余震」と言わなくなった理由とは?
地震の発生時、一斉にどのような地震なのか、どのくらいの大きさだったのかなど、様々な情報が入ります。
特に地震の揺れがある、被害が発生している地域では、この情報は必要不可欠なものです。
しかし昨今では大地震直後に伝えられていた「余震」という言葉が、報道機関などから消えつつあります。
なぜこの「余震」というフレーズは、使われなくなったのでしょうか。
その要因にはどのような背景があるのでしょうか。
目次
「余震」の消えた要因は?
大きな地震が発生した後では、続く揺れに対して不安も大きくなります。
地震の規模にもよりますが、一般的には数ヶ月「余震」と呼ばれる揺れが発生します。
しかし昨今では、「今後の余震に注意してください。」とよく耳にしたフレーズが消えつつあるのです。
その背景には、想定外の揺れを2度も体験した「熊本地震」が大きく係わっています。
熊本地震とは
以前のコラム「熊本地震について解説【風化させない大地震の記憶】」でも解説しましたが、一連の地震活動において、現在の気象庁震度階級が制定されてから初めて震度7が2回観測された地震です。
1回目は、2016年(平成28年)4月14日21時26分。
熊本県熊本地方を震源とする最大震度7(M6.5)の地震が発生しました。
当時の気象庁からは、「揺れの強かった地域では、家屋の倒壊や土砂災害などの危険性が高まっているおそれがありますので、今後の余震活動や降雨の状況に十分注意してください」と発表されました。
地震の発生した地域では、その情報から不安な夜を過ごしたことと思います。
しかしその約28時間後の4月16日1時25分に、前回とほぼ同じ震源の地域から最大震度7の地震(M7.3)が発生しました。
余震があるとは思っていたものの、前日よりも大規模な地震となり、被害も拡大したのです。
その後熊本地震の分析も進み、現在では1回目(4月14日)が「前震」
2回目(4月16日)が「本震」とされています。
「余震」では注意喚起が難しい
私たちが今まで地震で「余震」から発想する揺れと言えば、「今の地震よりも、きっと揺れも小さいだろう」が一般的と思います。
しかし熊本地震では、実際には余震とされているものより、大きな地震が発生する事態が起こってしまったのです。
- 「余震」という言葉を用いたために、より大きな地震、あるいは、より強い揺れは発生しないというイメージを情報の受け手に与えた可能性があること。
- 余震確率の値(確率値)が、通常生活の感覚からすると、かなり低い確率であると受け取られ、安心情報であると受け取られた可能性があること。
など、「余震」というフレーズでは、「注意喚起が不十分なのではないか」という課題が残されました。
変化した情報発信のルール
熊本地震の教訓を活かし、発生よりも約4ヶ月後の8月
「1998年以来、気象庁は震度5弱以上の大地震の後に余震の発生確率を発表していましたが、熊本地震ではこの手法が適用できない事態が発生しました。
今後は余震という言い方はせず、最初の大地震と『同程度の地震』への注意を呼びかけることを基本とします。」
出典:大地震後の地震活動の見通しに関する情報のあり方|地震本部
と発表されました。
そのため現在では、
地震発生直後~
過去事例や地域特性についての知見に基づいて、最大でどの程度の揺れをどれくらいの期間想定すべきか、という見通しで呼びかけます。
この場合、最初の大地震と同程度の地震への注意の呼びかけを1週間程度行うことが基本となります。
1週間程度後~
上記に加え、余震発生確率に基づいた数値的見通しを考慮して呼びかけます。
ただし、余震発生確率の数値のままでは発表せず、平常時の確率等との倍率で表現します。(「最大震度◇以上となる地震の発生する可能性は平常時に比べ○倍程度」など)。
のように変化しています。
私たちの意識の中でも、さっきよりも大きな地震は起きないだろうという「気の緩み」があることは否めません。
余震だから大丈夫と過信せず、しっかりと備えることが大切なのです。
大地震で起こる揺れのパターンとは
出典:熊本県ウェブサイト
熊本地震では想定外の規模となりましたが、大地震の地震活動は大きく分けて
- 本震-余震型
- 前震-本震-余震型
- 群発的な地震活動型
3パターンあるとされています。
このパターンによって、どのような違いが現れるのでしょうか。
しっかりと確認し、今後の地震発生に活かしていきましょう。
本震-余震型
突然発生した大地震により、震源近くで規模の小さい地震が引き続いて発生するパターンです。
「余震の数は本震直後に多く、発生頻度は時間経過とともに次第に低くなっていく」性質を持っています。
私たちが余震として認識しているのが、この形ではないでしょうか。
しかし大きな余震による揺れは、場所によっては本震の揺れと同じ程度になることもあります。
また体に感じる地震から、感じない揺れまで様々です。
大きさだけではなく、発生する数にも注意する必要があります。
前震-本震-余震型
本震-余震型の地震活動に先行し、本震よりも規模の小さな地震活動(前震)が見られるパターンです。
群発的な地震活動型
一連の活動の中で突出した大きな地震がない。
(前震-)本震-余震型のような決まったパターン性がなく、不規則な地震活動が一定期間続くなどの特徴があります。
どのパターンであろうとも大きな揺れを感じた後には、地盤の状態も不安定となり、そのような動きが起こるのかは誰にも分かりません。
1週間程度は、最初の大地震の規模と同程度の地震に注意することが基本です。
もう強い揺れを伴う地震は起きないとは決して思わず、その後の地震活動や降雨の状況に十分注意し、身の安全を守る行動を心がけることが地震被害を拡大させないことにつながります。
過去に起こった地震の揺れではどうだったのか
世界でも地震発生の多い国、日本。
私たちの記憶にも、いくつも大きな地震が記憶に残っています。
では過去の地震ではどうだったのかを、解説していきましょう。
平成7年(1995年)阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)
阪神淡路大震災は典型的な「本震-余震型」の地震です。
上の表が見えづらい方は、こちらをクリック >> 平成7年(1995年)阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)
最大震度7(マグニチュード7.3)を観測し、本震以降も数多くの余震が活発に続きました。
気象庁の記録では2014年時点でも余震がたびたび起こっており、余震機関の長さは数ヶ月で終わるものではないことが分かります。
平成16年(2004年)新潟県中越地震
新潟県中越地震も「本震-余震型」の地震ですが、比較的規模の大きな余震が発生したという特徴があります。
出典:気象庁
上の表が見えづらい方は、こちらをクリック >> 平成16年(2004年)新潟県中越地震
上の図やグラフでも分かるように、地震発生から1時間も経過しないうちに、「マグニチュード6.8」「マグニチュード6.5」と強い揺れが起こりました。
本震発生から約4日後にマグニチュード6.1の余震が発生したほか、2週間以上経ってからもマグニチュード5.9の比較的規模の大きな余震が発生しています。
平成23年(2011年)東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)
東日本大震災も地震のタイプでは、「本震-余震型」とされています。
※ 本震以前にも小規模な地震が頻発していたことから「前震-本震-余震型」とする学説もあります。
出典:気象庁
上の表が見えづらい方は、こちらをクリック >> 平成23年(2011年)東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)
この地震では他の地震と比べ、余震領域が長さ500キロメートル、幅200キロメートルの範囲にまで及びました。
まだ記憶にも新しい2021年2月13日に福島県沖の深さ約55kmを震源とした地震も、東日本大震災余震と推定されています。
平成28年(2016年)熊本地震
熊本地震はこの解説してきた中でも、「前震-本震-余震型」とされています。
最初の地震より規模の大きな地震が発生し、当初に比べて活動域が大きく広がったケースです。
出典:気象庁
上の表が見えづらい方は、こちらをクリック >> 平成28年(2016年)熊本地震
大きな地震の後にも注意が必要であることを認識させてくれた地震です。
このように地震と一言で表現されていますが、いろいろな性質・特質を持ち合わせています。
過去の地震を教訓に、しっかりとこれからの地震対策に活かしていきましょう。
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