「正常性バイアス」を知っていますか?|災害時に命取りとなる人間の恐ろしい心理とは

「正常性バイアス」を知っていますか?|災害時に命取りとなる人間の恐ろしい心理とは

みなさんは、「正常性バイアス」という言葉を知っていますか。

この正常性バイアス とは、「正常化の偏見」と呼ばれる心理学用語のひとつになります。

生活を送る中で、予期しない事態に対峙した際に「ありえない」「信じられない」「考えたくない」などという心理状況に陥りやすい人間の特性のことを指しています。

災害時は、いくら日頃冷静な判断をしている人でも、編然としていることは難しいものです。

特に地震など突然起こる災害の場合、より冷静な正しい判断と行動が私たちの命への危険度にも直結しています。

今回は、災害の観点からこの「正常性バイアス」にクローズアップしてみましょう。

この記事を読んだらわかること

・正常性バイアスは決して災害だけの言葉ではありません。
 この心理によって災害時、どのような弊害がでるのかをしっかりと把握しておきましょう。
・自分の命、そして家族の命を守るために必要な情報になります。
 住宅も自分の心も、万が一の時災害のために備えておきましょう。

正常性バイアスとは

人生イメージ

正常性バイアス (normalcy bias) とは、どのような人間の心理にもある程度存在するとされる「認知バイアス」の一種で、目の前の物事が異常な状態を示していても、比較的大きな状態変化がない限りは正常であるとみなしてしまうこと。日常生活における心理的なストレスを軽減するため無意識に行われるとされる。

実用日本語表現辞典より引用

この正常性バイアスは、社会心理学、災害心理学。そして今ではビジネスシーンでも使用されています。

「正常化の偏見」「正常への偏向」「日常性バイアス」とも呼ばれ、 私たちの生活の中に密着している心理学用語です。

私たちが日々生活を送る中で多少の異常事態が起こった場合でも、それを正常の範囲内としてとらえ、心を平静に保とうとする働きのことなのです。

この働きにより、様々な変化や新しい出来事に対して、心が過剰に反応し、疲弊しないためするために必要な働きでもあります。

しかしこの働きは本当に身の危険が近づいた場合、それを異常と認識することができず「被害が拡大してしまうケース」も少なくありません。

正常性バイアスを正しく理解し、日頃から災害時にはどう対応すべきかを考え行動できることが必要なのです。

参考コラム>>地震が来て真っ先に取る行動は?事前対策と初期対応が明暗を分けます

正常性バイアスの恐ろしさ

地震避難

正常性バイアスは、私たち人間がだれでも持ち合わせているものであり、日常生活を過ごすためには必要なものです。

しかし、時と場合によっては、それが命取りになることもあります。

正常性バイアスの本当の恐ろしさは、「災害が起こった時の初期避難の遅れ」につながることです。

正常性バイアスの実体験

地震後の風景

実際、筆者も正常性バイアスにとらわれたうちの一人です。

2011年に起こった東日本大震災の際、当時一人で自宅にいました。

初期の小さな揺れがきた時に真っ先に思ったことは、「これくらいの揺れはよくある」「揺れもすぐ収まる」という過信でした。

震源地が遠かったためか緊急地震速報も鳴らず、「たいしたことはないだろう」と無意識に判断してしまったのです。

まさに、正常性バイアスが「悪い方向」に働いていたケースです。

また地震発生後、調査して見えてきたものは、

・大地震の混乱もあり、すぐに避難できなかった
・あれほど巨大な津波が来るとは想像できなかった
・大型防潮堤等の水防施設が設置されていたから、自宅まで津波が届くとは思わなかった。
・10m超の津波を経験した人も少なくなり、過去から学んだ反省点を活かしきれなかった。

など、様々な要因が明らかになってきたのです。

今であれば過去を振り返り、「避難指示は出ていたのでは?」「こうなる前に逃げられたのでは?」と冷静に判断することができるのです。

これは正常性バイアスが正しく働いているからです。

世界の中でも地震の発生も多く、台風などの災害も大小はあれど毎年発生しています。

私たち日本人は、良くも悪くも「自然災害」に慣れてしまっているのです。

これも、正常性バイアスが悪い方向に働きやすい原因のひとつでしょう。

参考コラム>>小さい地震でも要注意【大きな津波の可能性も】

被害を拡大させるもうひとつの心理「同調性バイアス」

同調性バイアスイメージ

正常性バイアスが正しく働かないことで、災害時における被害を拡大させてしまいます。

しかし正常性バイアスが働かなかったことだけが要因とも言いがたいのが現状です。

もうひとつ上げるととすると「同調性バイアス」という心理です。

特に私たち日本人は同調意識の高い国民性です。

皆同じを好み、周りの人と違うことをするのは抵抗がある方が非常に多い国民性を持ち合わせています。

「皆と一緒だから大丈夫」 と思わせてしまうのが、同調性バイアスの心理です。

同調性バイアスは、集団の中にいるとついつい他人と同じ行動をとる。

いわゆる日常生活では協調性と言われています。

確かに協調性の必要な場面は、とても多くあるのが現実です。

しかし災害の場面では、 周囲の人の様子をうかがっているうちに避難が遅れるなど、「協調性が悪影響を及ぼすケース」も少なくはないこともあるのです。

一方、その協調性を「みんなで率先して避難しよう!」という行動に移すことで 、より多くの人の命を救うことも可能なのです。

参考コラム>>災害から身を守る!地震ハザードマップの使い方

正常性バイアスを正常に保つために

地震被害イメージ

災害などの被害に遭遇してしまった場合、映画やドラマのようにパニックになるというよりは、「どうすればいいかわからず固まってしまった」といった声をよく聞きます。

そんな中でも身を守るためにはどうしたらいいのでしょうか。

① 過去の災害を教訓にすること

世界の中でも地震の発生の多い日本は、過去にもたくさんの大きな地震が発生しています。

その地震を「こんな被害があった」で終わらせず、今後の避難に活かすことが重要です。

過去の経験を今に 「津波てんでんこ」

東日本大震災の際、津波による被害に見舞われた岩手県釜石市では「小中学生の生存率は99.8%」と非常に高い数値でした。

その多くの命を守ったのは、過去の経験を今につなげている 「津波てんでんこ」 の教えです。

今、多くの訓練で行われていることは、安全とされる一箇所に集まり、そろっているのを点呼する避難訓練です。

津波てんでんことは、 「津波の恐れがある時は、各自てんでばらばらに一刻も早く高台に逃げて、自分の命を守れ」という考え方 です。

しかし地震を含め自然災害には、過去と同じというものばかりではありません。

この津波てんでんこが、全ての地域の避難に有効とは言えないということです。

「これが正しい!」ではなく、様々な災害から学んだことを、「全員が危機意識を持って避難するという行動につなげること」が最も大切なのです。

② こんな時だからこそ、「落ち着く」こと

人間は誰でも普段やりなれないことを緊急時にやろうとしても出来ません。

そのためにはシミュレーションをしておくことが大切です。

具体的には、

  • 職場~自宅まで歩いてみる。
  • 最寄りの避難所を確認しておく。
  • 防災グッズを用意しておく。

など、まず自分のできることから実際に行動してみることです。

もう一つは、「これくらい大丈夫」という思いをすぐに捨て、警報などが出たらすぐに避難を始めることです。

参考コラム>>家庭でできる簡単地震対策~自宅ですぐに取り掛かれる!

まとめ:正常性バイアスをサポートできる!地震に強い家づくりを

今回は、正常性バイアスが災害時においてどのように影響をあたえるのかについてクローズアップしてきました。

災害時に正しい判断ができないことの恐ろしさが、少しでも伝わったのではないでしょうか。

災害の時に逃げ遅れる人が多くいるのは、このような脳の仕組みの関係が原因の1つでもあります。

家づくりからこの正常性バイアスをサポートすることもできるのです。

地震発生時、落ち着き、考える時間を作る「制震ダンパー αダンパーExⅡ」

災害が起こった時、冷静で居続けることはとても難しいことです。

正常性バイアスを正常に戻すためには、「冷静になれる時間を確保する」ことも大切です。

そのためには自宅の現状をしっかりと把握し、事前に住宅の耐震化などを施すことで「深呼吸をし、落ち着く時間を確保すること」を可能にしてくれます。

地震にも負けない住まいにするために、トキワシステムでは強い建物にする「耐震工法」+住宅にしなやかさをプラスする制震ダンパー「αダンパーExⅡ」を合わせる対策をおすすめしています。

制震ダンパー,αダンパーExⅡ,住宅地震対策

耐震工法では、筋交いや構造用合板などを住宅内の施し、地震の揺れに耐える家を創造します。

しかし強さを求めるがゆえ、繰り返しの地震で建物にダメージが蓄積されていくなどのデメリットがあります。

制震は、「地震の揺れを制し、揺れを吸収する」特徴を持った地震対策です。

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」を耐震住宅プラスすることで、地震による建物の変位を約半分にし、損傷を抑えることができます。

いつ大地震や台風などの自然災害が起きるかは誰にもわかりません。

だからこそ、事前の対策が重要になります。

ご自身とご家族の大切な命、財産を守るためにも耐震補強+制震装置「αダンパーExⅡ」で、家の基礎部分から強くしましょう。

大切なあなたの家族を守りたい ―KEEP YOUR SMILE―

地震大国と呼ばれる日本では、繰り返される大規模地震や余震への対策が大きな課題とされています。

制震装置を導入することにより、建物の揺れをしっかり抑え、ダメージを減らし建物を守ります。

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耐震住宅にαダンパーExⅡをプラスしてみませんか。

ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

監修者情報

株式会社トキワシステム

株式会社トキワシステム

制震ダンパー・地震対策の情報について発信しています。
トキワシステムが提供する制震ダンパー『αダンパーExⅡ』は、地震から建物を守り、住まいの安心と安全をご提供いたします。

保有資格
・二級建築士
・フォークリフト運転技能者
・木材加工用機械作業主任者
・第二種電気工事士

受賞歴
・GOOD DESIGN AWARD 2021