【能登半島地震】なぜ建物の倒壊被害が多かったのか?今後に備えてできることとは

【能登半島地震】なぜ建物の倒壊被害が多かったのか?今後に備えてできることとは

2024年1月1日に発生した能登半島地震について、被害状況が徐々に明らかになってきました。

その中でも建物の倒壊被害が多く報告されており、その原因もだんだんと解明されつつあります。

地震による建物倒壊は人命はもちろん、経済的にも社会的に大きな損失をもたらすため、原因を知って対策に活かしていく必要があります。

この記事では能登半島地震で建物の倒壊被害の状況なぜ建物の倒壊被害が多かったのか、そして今後起きる地震に対して住まいにどのような地震対策をしておけばよいかについて解説します。

この記事を読んだらわかること

・能登半島地震での建物の倒壊被害について知ることができます。
・能登半島地震の建物倒壊に関して考えられる原因がわかります。
・今後に備え、住まいにどのような地震対策をしておけばよいかについて解説します。

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能登半島地震の概要

能登半島地震での建物倒壊被害の状況
能登半島地震の建物倒壊の様子

能登半島地震は、正式には「令和6年能登半島地震」と気象庁によって命名されています。

能登半島地震の震度や規模など、概要は次の通りです。

  • 発生日時:2024年(令和6年)1月1日 16時10分
  • 震央:石川県能登地方 鳳珠郡穴水町の北東42㎞
  • 震源:能登半島西方沖から佐渡島西方沖にかけて伸びる活断層
  • 震源の深さ:16㎞
  • マグニチュード:7.6
  • 最大震度震度:7

最大震度7は石川県の輪島市と志賀町で観測され、同県の輪島市や珠洲市では、震度5強相当以上の揺れが約50秒間も継続したと観測されています。

なお、下記の地域で震度5強以上が観測されました。

【石川県】
震度 7 志賀町、輪島市
震度 6 強 七尾市、珠洲市、穴水町、能登町
震度 6 弱 中能登町
震度 5 強 金沢市、小松市、加賀市、羽咋市、かほく市、能美市、宝達志水町
【新潟県】
震度 6 弱 長岡市
震度 5 強 新潟中央区、新潟南区、新潟西区、新潟西蒲区、三条市、柏崎市、見附市、燕市、糸魚川市、妙高市、上越市、佐渡市、南魚沼市、阿賀町、刈羽村
【富山県】
震度 5 強 富山市、高岡市、氷見市、小矢部市、南砺市、射水市、舟橋村
【福井県】
震度 5 強 あわら市
内閣府 防災情報のページ『令和6年能登半島地震による被害状況等について』を基に作成

 

能登地方では2018年頃より地震が断続的に続いており、特に2020年12月以降に石川県の能登地方および能登半島沖で発生している群発地震を「能登群発地震」と呼んでいます。

能登群発地震が収束しないまま、2024年1月1日に能登半島地震が発生しました。

>関連コラム 石川県は最近地震が多い?能登半島地方で起きた過去の地震の概要や被害を知っておこう

能登半島地震での建物倒壊の状況は?

能登半島地震での建物倒壊の状況
出典:内閣府 防災情報のページ『令和6年能登半島地震に係る被害状況等について』を一部加工

上の表は、能登半島地震での人的被害および建物倒壊などの住家被害の状況です。

緑のラインで囲んだ箇所が死者や負傷者などの人的被害の状況、赤のラインで囲んだ箇所が建物の全壊や半壊、一部破損などの住家被害の状況を指しています。

石川県によると、死者241名の約80~90%弱にあたる人々の死因が家屋倒壊によるものであったと判明しています。

なぜ建物倒壊が多く起きた?

能登半島地震ではなぜ建物倒壊が多く起きた?

耐震化が進んでいる現在においてなぜ多くの建物倒壊が起きたのかについて、下記の原因が考えられています。

耐震基準を満たしていない古い住宅が多かった

耐震基準を満たしていない、比較的築年数の古い木造住宅が多かったのも原因のひとつと考えられています。

地震の多い日本では、過去の大規模地震による被害を教訓にしながら、耐震基準など耐震性に関する法律を改正してきました。

中でも大きな改正が1981年(昭和56年)と2000年(平成12年)の改正です。

1981年より前の耐震基準を「旧耐震基準」、それ以降を「新耐震基準」、2000年以降は「2000年基準」、と呼んで区別されています。

住宅の耐震化率

こちらは平成30年時点の耐震化率の調査結果ですが、戸建て住宅に関しては耐震化率が81%となっており、旧耐震基準で建てられてなおかつ耐震性が不十分である住宅は約560万戸に上ると推計されています。

能登半島地震の被災地である輪島市や珠洲市では耐震化率が約50%前後と低く、輪島市、珠洲市、能登町では全国的にも旧耐震基準で建てられた家屋が多い地域であったことが、建物倒壊などの住宅被害が多かった原因のひとつと考えられています。

>関連コラム 新旧耐震基準と2000年基準の違いとは?|耐震性の確認や耐震補強の方法を解説

キラーパルス

能登半島地震で建物被害が多かった原因のひとつに、「キラーパルス」と呼ばれる周期の地震波の影響があったのではないかという考えもあります。

キラーパルスとは、地震の揺れの周期の中でも1〜2秒の「やや短周期」の地震のことです。

低層の家屋や木造住宅がはキラーパルスの被害を受けやすいとされており、過去に起きた阪神淡路大震災や熊本地震でもキラーパルスの影響を受け、建物倒壊などの住宅被害が多く見られました。

能登半島地震においても特に被害の大きかった輪島市、珠洲市、穴水町などでは家屋倒壊が古い木造建築を中心に数多く見られ、輪島市では木造家屋全体の30%、穴水町では20%以上の木造家屋が倒壊していることから、キラーパルスの影響があったのではないか?という声が多く聞かれています。

>関連コラム 長周期・短周期地震動について解説【揺れによって変わる地震対策】

液状化現象

能登半島地震では「河北潟」と呼ばれる地域などを中心に、地盤の「液状化現象」も見られました。

液状化現象とは、地震が発生した際の振動によって地盤が液体状になる現象のことです。

液状化現象が起きると、次のような被害が起きる可能性があります。

  • 建物の傾斜・沈下(不同沈下)
  • 地中構造物の浮き上がりや破損
  • 噴水や噴砂
  • 側方流動

特に住宅に関しては、液状化によって地盤が支持力を失い建物が傾くように沈んでしまう、いわゆる不同沈下は、建物が傾くだけでなく、場合によっては建物が横倒しになってしまう可能性もあります。

液状化が起きた場合、いくら耐震性が高い住宅であっても沈下や最悪の場合倒壊の危険があるというわけです。

>関連コラム 地震による液状化現象とは?起きる仕組みや被害と対策を知っておこう

地震に備えた住まいへの対策とは?

地震に備えた住まいへの対策とは?

能登半島地震における建物倒壊などの住宅被害の原因から、今後の地震に備えてできる住まいへの地震対策には次の4つが挙げられます。

地盤の確認・地盤改良(新築住宅)

これから新築住宅を建てる場合、家を建てる予定の土地の、地盤の確認は必須と言えます。

どのような地盤化をおまかに知るには、防災科学技術研究所が提供している「J-SHIS Map」を活用するとよいでしょう。

>参考リンク 防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション

他には古地図や地域の資料館にある資料を参照したり、地名から予測する方法もあります。

新築の場合、現在は建てる前に地盤調査をすることが実質的に義務付けられているため、ほとんどの場合で地盤調査を行います。

地盤調査の結果によっては地盤改良を行い、軟弱な地盤を適切な状態にしてから家を建てます。

>関連コラム 『軟弱地盤とは?』定義・マップでの確認方法を紹介│対策・改良工法も解説

>関連コラム 地盤改良とは?種類や地盤改良後に建てる建物への地震対策をご紹介!

耐震等級を高いものにする(新築住宅)

新築住宅の場合は耐震等級を高いものにすると、より地震に強い住宅にすることができます。

耐震等級とは「地震に対して建物がどのくらい強いかを示す指針」のひとつです。

地震に対する損傷防止と倒壊等防止の観点から耐震等級1~3の段階に分けて示し、等級の数字が大きいほど耐震性能が高くなっています。

耐震等級

耐震等級1の耐震性は法律で定められている耐震基準と同レベルで、内容は次の通りです。

  • 数百年に一度程度発生する規模の地震による力(震度6強~7相当)に対して、倒壊・崩壊しない
  • 数十年に一度程度発生する規模の地震による力(震度5強相当)に対して、損傷を生じない

耐震等級2は耐震等級1の1.25倍耐震等級3は耐震等級1の1.5倍の耐震性があります。

これから家を建てるのであれば、より耐震等級の高いものを選ぶとよいでしょう。

>関連コラム 【耐震等級とは?】耐震等級を高くすることで得られるメリット・デメリット

耐震リフォーム(既存住宅)

既存の住宅であれば、耐震リフォーム(耐震改修)を行うことで住宅の耐震性を高められます。

耐震リフォームを行うには、まずは「耐震診断」を受けなければなりません。

耐震診断によってご自宅の耐震性を把握し、必要に応じて耐震リフォームを行います。

>関連コラム 住みながらできる木造住宅の耐震補強工事とは|内容や注意点を解説

制震装置の設置(新築住宅・既存住宅)

トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」

耐震性を高めた住宅には、「制震ダンパー」と呼ばれる制震装置を設置するのも有効です。

耐震と制震の相性はとてもよく、それぞれ次の特徴を発揮しながら、お互いの弱点を補います。

  • 耐震:建物そのものの強度を向上させることで、建物の倒壊や損傷を防ぐ
  • 制震:建物に制震装置を設置することで地震の揺れを吸収・抑制し、建物の損傷を軽減する

耐震性を高めた住宅は頑丈ですが、その分地震のダメージを蓄積してしまいます。

そこへ制震の技術を加えることでダメージの蓄積を防ぎ、大規模な地震や繰り返しの地震に対して効果が期待できます。

近年は「耐震+制震」を採用しているハウスメーカー等が増えており、制震ダンパーが標準で備えられているケースも増えています。

制震ダンパーは新築住宅だけでなく、既存住宅にも設置が可能な製品もあります。(弊社の制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は新築・既存を問わず設置が可能となっています。)

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まとめ|建物倒壊の原因を知って適切な対策を

能登半島地震は建物倒壊をはじめとする住家被害が多数起こりました。

その原因ははっきりとは解明されていませんが、建物の築年数が古いものが多く旧耐震基準で建てられた木造家屋が多い地域であった点や、液状化が起きた点、キラーパルスの影響があったのではないかといったことが考えられています。

これらを今後の地震対策に活かし、平時の今こそ、できることから始めてみてはいかがでしょうか。

トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」とは?

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」

トキワシステムの制震装置「αダンパーExⅡ」は特殊オイルを用いたオイルダンパーと言われるものです。

「αダンパーExⅡ」は東京工業大学・静岡大学・豊田工業高等専門学校・岐阜県立森林文化アカデミーなどの数多くの学術研究機関による性能試験をクリアし、その確かな性能が認められています。

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」の特徴を簡単にまとめました。


  • 建物の変形を約1/2に低減し、建物の損傷を大幅に軽減する高い性能
  • 副資材が不要、半人工以下の簡易施工を実現する施工性の高さ
  • 120年の製品保証とメンテナンスフリーの実現による耐久性の高さ
  • コストパフォーマンスの高さ
  • さまざまな研究機関などで実施した実証実験による信頼性
  • 18,000棟以上にもおよぶ採用実績
  • 新築へも既存住宅へもフレキシブルに施工可能

続いて、次の実証実験結果をご覧ください。

制震ダンパー『αダンパーExⅡ』を設置することで柱の変位量が最大55%低減したことを示す実験結果

耐震工法の建物に制震装置『αダンパーExⅡ』を設置すると、柱の変位量が最大55%低減しました。

小さな揺れでも効果を発揮するのが特徴で、地震の揺れを吸収して、繰り返しの地震からも建物を守ります。

このように数ある制震ダンパーの中でもトキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は十分な採用実績、きちんとした裏付けに基づいた安心の技術でお施主様のご自宅をお守りします。

関連コラム>制振ダンパーの施工画像20選を住宅タイプ別に紹介!地震後の画像もあり

関連コラム>制震ダンパー ランキング オイルダンパーはαDamperExIIが第一位

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制震ダンパー「αダンパーExⅡ」

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「この住宅には設置できるの?」

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監修者情報

株式会社トキワシステム

株式会社トキワシステム

制震ダンパー・地震対策の情報について発信しています。
トキワシステムが提供する制震ダンパー『αダンパーExⅡ』は、地震から建物を守り、住まいの安心と安全をご提供いたします。

保有資格
・二級建築士
・フォークリフト運転技能者
・木材加工用機械作業主任者
・第二種電気工事士

受賞歴
・GOOD DESIGN AWARD 2021