鉄筋コンクリート(RC)は地震で倒壊する?過去の事例から原因を解説│効果的な地震対策やRC以外の選択肢も紹介

鉄筋コンクリート(RC)は地震で倒壊する?過去の事例から原因を解説│効果的な地震対策やRC以外の選択肢も紹介

「鉄筋コンクリート(RC)の建物が地震で倒壊することはありますか?」
アパートや住宅など、鉄筋コンクリート造の建物を検討している方の中には、こうした不安を抱く方もいます。

そこで本記事では、鉄筋コンクリート造の建物が倒壊することはあるのか、事例や原因、対策について解説します。

ほかにもある、建物の構造の選択肢についても解説しますので、鉄筋コンクリート以外の構造も含めて幅広く検討してみましょう。

この記事を読んだらわかること

・鉄筋コンクリート造の建物が倒壊した事例や原因、対策について確認できます。
・鉄筋コンクリート以外の選択肢や地震対策を確認できます。

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鉄筋コンクリートの建物が地震で倒壊した事例はある?

はじめに、鉄筋コンクリート造の建物が倒壊したことはあるのか、過去の事例から確認しましょう、

阪神・淡路大震災の事例

鉄筋コンクリートの建物が地震で倒壊した事例:阪神・淡路大震災

>参考リンク:国土交通省 日本の建物概要と被害の特徴

地震に強いイメージがある鉄筋コンクリート造の建物ですが、1995年に発生した阪神・淡路大震災でも全壊被害が報告されています

本地震では、旧耐震基準の建物における中間層の崩壊、新耐震基準におけるピロティ構造(壁に囲まれていない、風が通り抜ける空間)の建物での被害が多く報告されています。

>関連コラム:1・17の阪神淡路大震災について|原因や被害とその後の地震対策の変化

熊本地震の事例

鉄筋コンクリートの建物が地震で倒壊した事例:熊本地震

>参考リンク:建築研究所 平成28年熊本地震による鉄筋コンクリート造等建築物被害

2016年に発生した熊本地震においても、鉄筋コンクリート造の建物への被害が確認されています。

熊本地震においても阪神・淡路大震災と同様で、1981年以前、つまり旧耐震基準での建築やピロティ構造といった建物での被害が報告されています。

>関連コラム:熊本地震について解説【風化させない大地震の記憶】

能登半島沖地震の事例

鉄筋コンクリートの建物が地震で倒壊した事例:能登半島沖地震

>参考リンク:建築研究所 令和 6 年(2024 年)能登半島地震による 鉄筋コンクリート造等建築物の被害調査報告

2024年に発生した能登半島沖地震でも、鉄筋コンクリート造の建物に対する被害があります。

本地震においては、倒壊や一部階の破損被害より、沈下や傾斜といった被害が多い点が特徴的です。

また、市内で建てられた建物では完全に転倒した事例も見られました。

>関連コラム:【能登半島地震】なぜ建物の倒壊被害が多かったのか?今後に備えてできることとは

 

過去の事例から分かるとおり、構造としては強固な鉄筋コンクリート造の建物ですが、「地震で倒壊しない」とは言えないことが分かります。

鉄筋コンクリートの建物が倒壊する原因とは?

鉄筋コンクリート造の建物が倒壊する場合、原因は何なのでしょうか。
主な要因は、以下の3つです。

  • 現行の耐震基準を満たしていない
  • 開口部が大きいなど間取りの問題
  • 地盤の強度不足(鉄筋コンクリート造の重量)

現行の耐震基準を満たしていない

1つ目は、現行の耐震基準を満たしていないパターンです。

木造や鉄骨造も含めて、耐震基準は徐々に強化されています。
特に大きな制度の変更は1981年に実施されていて、この年を境に前を「旧耐震基準」、後を「新耐震基準」と呼びます。

過去の地震を見ると、倒壊した建物の多くは旧耐震基準で、新耐震基準や現行基準と比べると構造面で弱く、地震時の安心感を求める場合は耐震改修や補強が必要です。

>関連コラム:耐震基準を満たしていない建物の問題点・解決法│賃貸住宅の場合は?リフォームで解決する?

開口部が大きいなど間取りの問題

鉄筋コンクリートの建物が倒壊する原因:開口部が大きいなど間取りの問題

2つ目は、吹き抜けやピロティ構造など開口部が多い場合、または構造が複雑である場合です。

開口部が多いことは、地震が起きた場合に揺れの力に耐える壁(耐力壁)を設置できる箇所が少なくなることを示します。

また、複雑な構造、間取りにすると柱や壁が不均衡になり、地震時に一部に力が集中して破損する可能性が高まる点にも注意が必要です。

地盤の強度不足(鉄筋コンクリート造の重量)

3つ目は、地盤の強度不足です。

地盤が不安定な場所では、地盤の不同沈下のほか、建物を支える基礎へのダメージが大きくなり倒壊する危険性が高まります。
能登半島沖地震でも沈下や傾斜を起こした事例が多く見られました。

鉄筋コンクリート造は建物の規模が大きくなることと同時に、構造部分の重量が大きいことから、基礎や地盤への配慮も必要になります。

>関連コラム:『不同沈下・不等沈下とは?』発生する原因と問題、3つの対策も解説

建物の倒壊を避ける具体的な対策3選

倒壊した事例や主な原因から、建物倒壊を避けるための対策を紹介します。

耐震基準、耐震等級を満たす設計にする

建物の倒壊を避けるために、いずれの構造でも共通して重要な点は、現行の耐震基準を満たす建物にすること、および高い耐震等級を満たす設計にすることです。

1981年までの建物に適用されていた「旧耐震基準」は、震度5程度の地震までを対象に検討が加えられていました。
現行の耐震基準では、震度7の地震を受けても倒壊しない強度が期待されていますので、最新の基準に合わせて家を建てることは、倒壊を防ぐために効果を発揮します。

また、現行の耐震基準を満たす建物の1.25倍の強度を持つ建物を「耐震等級2」1.5倍の強度を持つ建物を「耐震等級3」として評価する、耐震等級の考え方を取り入れることも重要です。

>関連コラム:耐震等級はどうやって決められているの?|耐震性能を高めるためのポイントを解説します

地震を意識して建物の形状や間取りを検討する

建物の倒壊を避ける具体的な対策:地震を意識して建物の形状や間取りを検討する

倒壊を避けるには、地震を意識した形状や間取りの建物にすることも重要です。
たとえば以下の設計によって、地震の揺れに対する耐性を高めることが可能です。

  • シンプルで左右対称な形状にする
  • ピロティや吹き抜けなどを設ける場合は開口部の仕様に配慮する
  • 耐力壁をバランスよく配置する

また、このほか耐震装置や免震装置など、揺れのエネルギーを建物に伝えない工夫を導入することも効果的です。

適切な地盤改良を施す

地盤の強度や性質は、建物の安定性に大きな影響を与えます。
このため適切な地盤改良を施すことが求められます。

  • 地盤の表面に固化材を混ぜて撹拌する表層改良
  • 固化材や鋼製の杭を利用して地中に杭を作る柱状改良・杭基礎

主にはこうした対策が挙げられます。

基準を満たすこと、建物への耐震への配慮を施すこと、地盤改良を施すことといった対策によって、鉄筋コンクリート造の建物への被害を軽減することが可能です。

>関連コラム:地盤改良とは?種類や地盤改良後に建てる建物への地震対策をご紹介!

知っておきたい!鉄筋コンクリート以外の選択肢

木造の方が耐震性が高まる要素も(軽い・しなりなど)

アパートや住宅、ビルやマンションなど建物を検討する際は、鉄筋コンクリート以外にも選択肢があります。

建物の利用目的や地盤の状態によっては、他の工法の方が適しているケースもありますので、参考に紹介します。

鉄骨鉄筋コンクリート

鉄骨鉄筋コンクリート造は、鉄筋コンクリートに鉄骨を組み合わせた構造で、鉄骨の柔軟性が加わることで耐久性を高めた構造です。

鉄筋コンクリートより費用は高くなるものの、さらに強度を高めることが期待でき、主に大規模な建築物で利用されます。

重量鉄骨

重量鉄骨造は、厚みのある鋼材を主な構造材とする構造です。

鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリートと同様に高い強度、耐久性が求められる大規模な建築物で利用されます。
大きな開口部を作りやすいなどの特徴はありますが、強度面では鉄筋コンクリートと同等です。

>関連コラム:木造住宅と鉄骨造住宅はどちらがおすすめ?メリットとデメリットを比較

軽量鉄骨

軽量鉄骨造は、比較的厚みが薄い鋼材を主な構造材とする構造です。

建築コストが安価で、住宅やアパートなど小規模な建物で利用されます。
構造の面からも規模の面からも、地盤に与える影響が小さい点もメリットです。

木造

木造は、木材を利用する構造で、軽量鉄骨と同様に住宅や小規模な建物で利用されます。

軽量鉄骨よりも軽量で、また地震に対して柔軟に力を受け流す点もメリットです。
費用対効果にも優れることから、小規模な建物を計画している方にとって選択肢に考えられます。

>関連コラム:【木造住宅の構造を再確認】基礎と木部の構造とメリットデメリット

木造の建物は地震による揺れを「しなり」で受け流すことから、揺れを吸収する制震構造との相性に優れています。

木造でのアパートや住宅などの建築を計画している方は、「制震ダンパー」の利用をご検討ください。

まとめ│複数の視点で地震による倒壊を避ける

「鉄筋コンクリート造の建物は地震で倒壊することはありますか?」
こうした疑問にお答えしました。

耐震性が高い鉄筋コンクリート造ですが、過去の地震でも倒壊した事例はあり、建物や地盤に対する耐震の工夫が必要であることが分かります。

鉄筋コンクリート造は重量があり、地盤に与える影響が大きいですので、目的とする建物の規模がコンパクトである場合は、軽量鉄骨や木造など建物の構造部分から検討を加えることもおすすめです。

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監修者情報

株式会社トキワシステム

株式会社トキワシステム

制震ダンパー・地震対策の情報について発信しています。
トキワシステムが提供する制震ダンパー『αダンパーExⅡ』は、地震から建物を守り、住まいの安心と安全をご提供いたします。

保有資格
・二級建築士
・フォークリフト運転技能者
・木材加工用機械作業主任者
・第二種電気工事士

受賞歴
・GOOD DESIGN AWARD 2021