地震で問題視される【キラーパルス】とは?3つの問題点・5つの対策を紹介
地震のとき、揺れや地震火災、津波などと同様に警戒するべきは「キラーパルス」です。
キラーパルスは、地震が発生したときに起きる周期的な揺れが、建物が持つ固有の周期と一致した場合に揺れが大きくなる現象を指します。
本記事では、キラーパルスが発生することで起きる問題を紹介しつつ、キラーパルスを受けたとき住宅の被害を軽減するための対策を紹介します。
工務店やハウスメーカーなど、家を建てる方々にとっても、地震による被害を軽減する対策は対外的な宣伝効果につながりますので、ぜひ参考にしてください。
・そもそもキラーパルスとは?
・キラーパルスが発生する原因が分かります。
・キラーパルスを発生させない、具体的な対策が分かります。
制震ダンパーについて詳細をお知りになりたい方やご興味を持たれた方は、資料請求からお気軽にお問い合わせください。
目次
地震時の建物の揺れを増幅する「キラーパルス」とは?
はじめに、そもそもキラーパルスとは、どのような現象なのか確認しましょう。
1~2秒前後の周期を持つ揺れのこと
総務省の資料では、キラーパルスは以下のように記載されています。
「(周期が)1秒から2秒の地震動は、やや短周期地震動と呼ばれており、比較的低層の建物に大きな被害を及ぼしやすく、「キラーパルス」という呼称」で報道されることがある。」
なお、ここでの「周期」とは、地震による揺れが1往復するのにかかる時間を指します。
つまり、キラーパルスは、1往復に1秒から2秒を要する地震・揺れのことです。
>関連コラム 長周期・短周期地震動について解説【揺れによって変わる地震対策】
キラーパルスが発生する原因は何?
実はキラーパルスが発生するのはどうしてなのか、具体的な原因は分かっていません。
地震の揺れは、対象とする地盤の性質や震源からの距離、震源の深さなど、様々な原因をもとに大きさや周期などが決まります。
キラーパルスを発生させる比較的短周期の地震動が起きる原因は何か、今のところは明らかになっていないのです。
キラーパルスが発生することによる問題は?
ここまで紹介したキラーパルス、どうして問題視されるのでしょうか。
キラーパルスが発生することで生じる問題について解説します。
「共振」で木造住宅・低層住宅の被害が拡大する
キラーパルスの危険性は、建物が持つ固有周期と地震動の揺れの周期が合わさる「共振」が発生することで、建物に生じる揺れが大きくなることにあります。
以下の図のように、建物には建物の高さや構造(木造・鉄骨・鉄筋コンクリートなど)によって固有の周期が存在します。
1~2階建ての木造住宅の場合の固有周期は1~2秒とされていて、発生する地震の周期が1~2秒である場合に、キラーパルスが発生、共振を起こし木造住宅に大きな被害が及ぶとされます。
>関連コラム 建物倒壊はなぜ起こる?3つの脅威「共振現象・強い揺れ・繰り返し」
キラーパルスが発生したとされる地震
過去、キラーパルスが発生したとされる地震は、木造住宅で大きな被害が見られた阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などの地震です。
震度が大きい一方で揺れによる被害を受けた建物が少なかった東日本大震災では、比較的周期が大きくキラーパルスが発生しなかったと考えられています。
短周期・長周期の揺れにも注意が必要
低層の木造住宅で被害が生じやすい、1~2秒ほどのやや短周期な地震動(キラーパルス)がある一方で、短周期・長周期地震動でも被害が起きる可能性がありますので注意が必要です。
短周期地震動では機器・設備関係について損傷が大きくなることが指摘されていて、実際に東日本大震災のときは電力会社の変電設備などで被害を受けた報告があります。
逆に長周期地震動では、超高層ビルや大きな橋などといった構造物で共振が発生しやすく被害が大きくなることが指摘されています。
一戸建て住宅や低層のアパートに住む方には、1~2秒周期の地震がキラーパルスと呼ばれ警戒されますが、太陽光発電システムなど機器類を搭載している場合や、大規模なマンションにお住まい場合は短周期・長周期地震動についても警戒が求められます。
地震の揺れに対して被害を抑えるためには、地震の揺れを吸収する「制震ダンパー」がおすすめです。
制震ダンパーについて詳細をお知りになりたい方やご興味を持たれた方は、資料請求からお気軽にお問い合わせください。
キラーパルスを耐える・発生させない5つの対策
ここまでキラーパルスとは何か、そしてキラーパルスが発生することでどんな被害があるのか問題点を紹介しました。
多くの方が知りたいのは、キラーパルスが起きるやや短周期の地震動が発生した場合に建物を守るための方法でしょう。
キラーパルスから、木造住宅や1~2階建てのアパートなどの建物を守るためには、以下の5つの対策を立てることが効果的です。
- 耐震等級3を取得する
- 地震に強い形の住まいにする
- 制震装置を住まいに導入する
- 免震装置を住まいに導入する
- 地盤改良工事で安定した地盤にする
耐震等級3を取得する
キラーパルスが発生した場合に住宅の被害を最小限に抑えるためには、耐震等級3を取得することが効果的です。
2016年に発生した熊本地震でも、周期1~2秒のキラーパルスが発生したことが知られています。
>参考リンク:国土交通省 熊本地震における建築物被害について」
ここで、熊本地震で受けた木造住宅の被害状況を見てみると、倒壊・全壊した建物の多くは旧耐震基準で建てられた住宅か、新耐震基準で建てられた住宅のうち2000年以前に建てられた住宅でした(2000年にも耐震基準の大幅な改正が行われています)。
>参考リンク:国土交通省 熊本地震における建築物被害について」
さらに、耐震等級3の住まいでは倒壊・全壊・大規模半壊の住まいはなく、全ての建物が一部損壊、または無被害となっています。
大規模な地震で、キラーパルスが発生した場合でも住宅の安全を保つためには、新しい耐震基準への適合、さらに耐震等級3の取得が効果的といえるでしょう。
>関連コラム 【耐震等級とは?】耐震等級を高くすることで得られるメリット・デメリット
地震に強い形・仕様の住まいにする
キラーパルスの発生に対抗するためには、地震に強い形・仕様の家にすることも重要です。
L型やコの字型など家の形が複雑である場合、凹部や凸部などの変化点に地震の力が集まり、損傷が大きくなる可能性が高まります。
また、屋根が重いほど地震動を受けて振られる力が強まりますので、屋根が重いほど地震の揺れは大きくなります。
>関連コラム 【地震に強い家の特徴10選】揺れても安心の住まいを手に入れよう
このように、地震の揺れを受けたとき、揺れ・被害が大きくなりやすい形・仕様があります。
こうした住まいでは、キラーパルスを受けて振動が大きくなったときも損傷しやすくなりますので、揺れにくい家づくりはキラーパルスに対しても効果的といえます。
制震装置を住まいに導入する
キラーパルスを含めた地震に対しては、制震装置の導入もおすすめです。
制震装置とは、地震の揺れを吸収するダンパーを構造材の間に入れて、地震の発生時に熱などのエネルギーに変換してダメージを抑える技術です。
キラーパルスの発生で住宅への揺れが大きくなった場合でも、制震装置があれば揺れを吸収してくれます(従来工法の変位量を最大55%低減)ので、耐震に加えて制震技術を導入することをおすすめします。
免震装置を住まいに導入する
制震装置と似た、免震装置の設置もキラーパルスへの対策になり得ます。
免震装置は建物本体と基礎の間に設置するもので、地震の揺れを免震部分で吸収し、建物本体に伝えづらくする性質を持ちます。
こちらもキラーパルスによって増幅された揺れを吸収することを期待できますので、制震装置とともに検討してみましょう。
地盤改良工事で安定した地盤にする
建物本体に加えて、地盤改良工事もキラーパルス対策として効果的です。
地盤には揺れを増幅させる軟弱地盤が存在し、キラーパルスと相まって建物への損傷が大きくなる可能性があります。
軟弱な地盤を固化材で固めたり、硬質な安定した地盤に杭状の基礎を伸ばしたりして、軟弱地盤による揺れの増幅効果を抑えることは、キラーパルス対策になるでしょう。
>関連コラム 地盤改良とは?種類や地盤改良後に建てる建物への地震対策をご紹介!
まとめ│木造・低層住宅はキラーパルス対策が重要
木造住宅や低層のアパートなどで被害が拡大する原因となる「キラーパルス」について解説しました。
地震には揺れが1往復するまでの時間を示す「周期」という考え方があります。また、建物には揺れが増幅される「固有周期」が存在します。
1周期が1秒から2秒の揺れはキラーパルスと呼ばれ、1~2階建てや木造住宅の固有周期と重なることで揺れが増幅される共振を引き起こすことがあります。
実際に阪神・淡路大震災などの大地震はキラーパルスの発生、そして共振によって揺れが増幅され、被害が大きくなったとも言われています。
キラーパルス、および共振に耐えるためには、耐震等級3の取得や制震装置の導入などの対策が効果的です。
「キラーパルスに効果的な対策はないか?」このように思う工務店・ハウスメーカーの方も、紹介した方法の中からキラーパルスへの対策を検討してみましょう。
大切なあなたの家族を守りたい ―KEEP YOUR SMILE―
あなたの大切なご自宅にも、制震ダンパーを取り入れてみませんか?
マイホームは家族が長い時間を過ごす場所。
誰もが大切な家族を守りたいとお考えではないでしょうか。
私たちは制震ダンパー「αダンパーExⅡ」で、あなたの大切な家族を守るために貢献いたします。
「この住宅には設置できるの?」
「取り入れてみたいけれどどうやって設置するの?」
といったご質問やご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
こちらのお問い合わせフォームまたは下記の黄色いバナーからどうぞ。