在来工法の耐震性は?「地震に弱い」指摘される理由・耐震性を高める方法も解説
「在来工法の耐震性は低い」
このような意見を見かけることがあります。
日本の伝統的な工法である在来工法、どうして耐震性が低いと言われるのでしょうか。
本記事では、在来工法が地震に弱いと指摘される3つの理由、および実は弱い訳ではない理由、そして在来工法の耐震性を高める方法を解説します。
柱と梁で建物を組み立てていく在来工法、伝統的な建築方法で建てた家に安全に住みましょう。
・「在来工法は地震に弱い」とされる理由が分かります
・実は「在来工法は地震に弱い訳でない」理由が分かります
・在来工法で耐震性を高めるための方法が分かります
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目次
「在来工法」とは、どんな工法なの?
そもそも在来工法とは、一体どのような家の建て方なのでしょうか。
在来工法は、柱(地面と垂直に立てる木材)と梁(地面と平行に配置する木材)とを組み合わせて建物を支える工法です。
柱と梁の間隔を調節することで間取りを自由に変更できることから、間取り作りの自由度が高い特徴を持っています。
>参考リンク:日本住宅・木材技術センター 在来軸組工法住宅と枠組み壁工法住宅
「在来工法は地震に弱い」と指摘される3つの理由
「在来工法が地震に弱い」と指摘されるのは、以下の3つの理由からです。
- 在来工法の家が倒壊した事例があるから
- 柱・梁の接合部が破断するケースがあるから
- 施工する業者・大工の技術に左右されるから
在来工法の家が倒壊した事例があるから
在来工法に耐震性が低いというイメージが持たれるようになったのは、阪神・淡路大震災のときと言われています。
震災のとき、住宅の多くは在来工法で建てられている中で多くの住宅が倒壊し「多く住宅が倒壊した在来工法=弱い」というイメージが生まれたと考えられます。
>関連コラム 1・17の阪神淡路大震災について|原因や被害とその後の地震対策の変化
柱・梁の接合部が破断するケースがあるから
RC住宅などは、柱と梁が鉄筋やコンクリートで一体化されることから、地震が起きても接合部(建物を支える部材同士をつなぐ場所)で破断が起きる心配をせずに済みます。
一方で在来工法は木材同士を金具などを利用してつなぐことから、金具の強度などによっては接合部が破断することが心配されています。
施工する業者・大工の技術に左右されるから
鉄骨や鉄筋コンクリート造の建物は手順通りに施工すれば、ある程度均一の品質の建物が完成します。
一方で在来工法は施工する業者や大工の技術によって仕上がりに差が生まれるというイメージから、「我が家は適切に施工されているのだろうか?」といった不安につながっています。
また、さらに地震に強い家を目指す場合には「制震」「耐震」といった、建物に加わる地震の揺れを抑える工法をプラスすると効果的です。
中でも「制震」は現在お住まいの家にも簡易なリフォームで取り付け可能です。
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「在来工法が地震に弱い訳ではない」理由
このように、在来工法に対して不安を感じる方は多いようですが、実は「在来工法は地震に弱い訳ではない」のです。
震災時は旧耐震基準の在来工法だったから
1つ目の理由は、阪神・淡路大震災が起きたとき、住宅のほとんどが在来工法の家であったことです。
震災時は、まだツーバイフォー工法(床や壁に面材を打ち付けて壁で地震に耐える工法)や鉄骨造の住まいは少なく、住宅の多くは在来工法で建てられていました。
また、建物に関する基準も現行の基準ではなく、1981年まで適用されていた旧耐震基準に基づく家が多くを占めていました。
旧耐震基準は震度5強程度の地震までしか想定されていませんでしたので、震度7にも達した阪神・淡路大震災で多くの住宅が倒壊してしまったのです。
1981年と2000年に大幅に改正された耐震基準によって、現行の基準で建てられる住宅の耐震性は震度6強から7にも耐えられるように大幅に強化されています。
ツーバイフォーや鉄骨、RCといった他の工法と比較しても同程度の強度を期待できます。
>関連コラム 耐震基準はいつ改正されたの?「旧耐震基準」と「新耐震基準」の違いとは?
>関連コラム 新旧耐震基準と2000年基準の違いとは?|耐震性の確認や耐震補強の方法を解説
現行の耐震基準に従うことで接合部も強化されている
2つ目の理由は、現行の耐震基準では柱や梁などの接合部も強化されていることです。
2000年に改正された耐震基準では、接合部に使用する金物の種類が指定されています。
指定通りに施工することで、地震が起きたときの接合部の破断や、基礎から建物が引き抜かれてしまう被害が最小限に抑えられるようになっています。
>関連コラム 耐震金物ってなんだろう?種類や効果を解説|より地震に強い家にするには?
基準が明確化されて技術に左右されなくなった
3つ目の理由は、新耐震基準や2000年の耐震基準の変更によって、施工する際の基準が明確化されたことです。
接合部の強化の話題で触れたとおり、使用する金物の種類が指定されるなどして、どの会社・職人に依頼する場合でも一定の基準に従った建て方・金物の選択が行われるようになりました。
また、木材についても、プレカット(木材の加工工場で指定の大きさ・金物用の穴を開ける手法)が一般化していて、職人による施工精度の差が縮まっていることも安心感につながっています。
在来工法に面材を使用するケースが増えている
近年は在来工法にも面材を使用するケースが増えていることも、在来工法が地震に強いとされる理由です。
在来工法は柱と梁で地震に耐える工法ですが、ここに構造用合板などの耐力壁を施工することで、ツーバイフォー工法の面的に地震に耐える特徴を併せ持った住まいが登場しています。
このように、在来工法は基準の上でも施工方法の上でも耐震性が高まっていますので、在来工法だから地震に弱いとは言えないのが現状です。
在来工法の耐震性を高める3つの方法
地震に弱い訳ではない在来工法ですが、現行の基準に合うように家を建てても不安に感じる方もいるでしょう。
こうした場合に検討したいのが、在来工法の耐震性を高める以下の3つの方法です。
耐震等級2・3の取得でさらに地震に強い家に
1つ目は、耐震等級2・3を取得することです。
耐震等級とは、住宅性能表示制度で規定される、地震の強度を評価する制度です。
耐震等級1は現行の建築基準法に適合する強度の住まいで、震度6強から7クラスの地震にも耐えられる強度を期待できます。
耐震等級1を基準に、耐震等級2は1.25倍、耐震等級3は1.5倍の力でも倒壊・崩壊しない強度です。
専門の評価機関によって計算の上で適合を判定されますので、第三者的な目線で地震に強い家を判定してもらえる点も安心感につながります。
>関連コラム 【耐震等級とは?】耐震等級を高くすることで得られるメリット・デメリット
制震・免震といった地震対策を組み合わせる
>関連コラム 結局「耐震・免震・制震」のどれがいいの?効果的な組み合わせの解説と実例を紹介
2つ目は、制震・免震といった、耐震とは異なる地震対策と組み合わせることです。
制震は、制震ダンパーを利用して地震の揺れを吸収・弱める技術。
免震は建物の下部に免震装置を取り付け、地震の揺れが伝わりにくいようにする技術です。
耐震で地震に耐えられる住まいにしたうえで、制震・免震技術を利用すれば、地震による家への損傷を大幅に抑えられるでしょう。
地震を受けた場合の建物の変位量が半分に軽減されることが確認されていて、大きな地震が起きたときの建物への被害を減らすことが期待されます。
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地震対策を講じている工務店に依頼する
3つ目は、地震対策をホームページなどで宣伝している工務店に依頼することです。
工務店によって地震に対する考え方は異なります。
耐震等級3を標準装備にしている工務店、制震・免震といった技術を採用している工務店、会社独自の技術を開発しているハウスメーカーなど、会社によって地震への取り組みは様々です。
地震に対してどのように対策を立てているのか、ホームページを確認したうえで担当者に話を聞いてみましょう。
まとめ│日本古来の工法で地震に強い家を建てる
「在来工法は耐震性が低い」
こうした指摘について、耐震性が低いと言われる理由や、実は耐震性が低い訳ではない理由、耐震以外の地震対策といった事柄を解説しました。
在来工法は日本の高温多湿な環境で育まれてきた、日本の風土に合った建て方の住まいです。
現行の建築基準法に合うように、そして適切に施工することでRCや鉄骨など他の工法と比較しても変わらない耐震性を期待できます。
それでも心配な方は、耐震等級2・3の取得や「制震」「免震」といった技術の導入で、さらに耐震性の高い住まいを目指しましょう。
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