『不同沈下・不等沈下とは?』発生する原因と問題、3つの対策も解説
不同沈下(不等沈下)とは、建物の自重や地震など、外的要因で地盤の”一部が”沈下する現象を指します。
一部分が沈下することから、建物に傾きが生じたり一部分に負荷がかかり亀裂が生じたりといった問題が発生します。
本記事では、地盤の一部が沈下する不同沈下(不等沈下)について解説します。
どういった問題が発生するのか、さらに原因や対策についても解説しますので、これから住宅やマンション、ビルなどの建築を予定している方は、ぜひ参考にしてください。
・不同沈下の言葉の意味を正しく把握できようになります。
・不同沈下によって発生する問題と対策を検討できるようになります。
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目次
不同沈下・不等沈下とは?
不同沈下は、地盤の一部が沈下する現象です。
一戸建てやマンションなどの建物の重さが原因となって発生する場合や、地震が原因で発生する場合などがあります。
なお、不同沈下と似た言葉に不等沈下がありますが、一般的には同様の意味合いで使用されます。
不同沈下・不等沈下で発生する問題
不同沈下が発生することで、一戸建てでは様々な問題が発生します。
たとえば、以下の6つの問題が挙げられます。
基礎・柱などの一部分に荷重が集中して損傷が起きる
地盤が不同沈下を起こした場合は、建物が傾くことから基礎や柱といった構造材の一部分に建物の重量が集中することとなります。
接合部や基礎が破断するなど、建物の構造に悪影響を及ぼす損傷が起きます。
ドア・窓の開け閉めに支障が出る
建物が傾いて柱や梁といった構造材にゆがみが生じた場合、ドアや窓といった建具の開け閉めに支障が出る場合があります。
ドアや窓は間柱など、構造材に取り付く木材を元にして取り付けることから、構造部分がゆがむと、ドアや窓の枠も一緒にゆがむことから開け閉めがしづらくなります。
気密性が損なわれて隙間風が吹く
構造材のゆがみは、壁や天井、床材とのあいだに隙間を生むことにもつながります。
隙間が生まれることで、隙間風が入ることにもなり、暑さ・寒さを感じることにもつながります。
屋根や外壁の隙間から雨漏りが発生する
不同沈下で柱や梁といった構造材にゆがみが生じると、構造材で支えていた屋根部材にも影響を及ぼします。
隙間が生まれれば雨漏りが発生することにもつながり、構造部分が腐食する原因にもなるでしょう。
耐震性が損なわれて大きな地震に弱くなる
不同沈下でこうした様々な問題が発生した場合、耐震性が失われて大きな地震が発生した際に耐えきれず倒壊する可能性も高まります。
特に大きな地震が発生する前後は余震で中・小規模の地震も多くなり、不同沈下による接合部の損傷などの問題が大きくなる可能性もあります。
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傾きが原因でストレス・頭痛・不眠などが発生する
不同沈下が原因となって起きる問題は、建物本体に限ったものではありません。
不同沈下を起こして住宅が傾いた場合、健康被害に発展するケースもあります。
0.6°ほどの傾斜で”めまい”や頭痛が起きるとされ、2~3°になると、吐き気や食欲不振などの症状が、7~9°になると睡眠障害が発生すると指摘されています。
このように、住宅を支える地盤が不同沈下を起こした場合には、様々な建物・健康被害が生じる恐れがあることから、不同沈下は必ず避けるべき問題といえるでしょう。
不同沈下が起こりやすい地盤
では、不同沈下はどのような状況下で発生しやすいのでしょうか。
主に以下の3つの地形で不同沈下は見られます。
- 軟弱地盤
- 造成地や盛土地形
- 埋設物がある場合
軟弱地盤
1つ目は、軟弱地盤です。
軟弱地盤とは、粘土やシルトといった微細な粒子で構成され、触れたり踏んだりしたとき「柔らかい」と感じられる地盤です。
対策を立てずに建物を建てた場合、徐々に地盤が沈んでいき不同沈下を引き起こす可能性があります。
軟弱地盤では地震が発生したとき、土が地中の水分の上に浮いた状態になる「液状化現象」が発生しやすい地盤でもあります。
>関連コラム 地震による液状化現象とは?起きる仕組みや被害と対策を知っておこう
液状化現象が起きると一気に不同沈下が進行する恐れがあります。
また、軟弱地盤は地震による揺れを大きくすることもありますので、軟弱地盤上に家を建てる場合は不同沈下のほか、地震の揺れへの対策も考える必要があります。
造成地や盛土地形
2つ目は、造成地や盛土といった地形です。
新たに土を持ってきて造成した地盤は、工事用の機械で転圧(土を押し固めること)しても、十分に締め固まらない可能性があります。
家を建てた後に徐々に締め固まり、わずかに沈下する可能性がありますので注意が必要です。
なお、盛土地形の中でも特に注意が必要なのは、部分的に盛土を行った場所です。
部分的に盛土した地形では元々あった地盤は沈下せず、盛土部分だけが沈下する部分的な沈下、つまり不同沈下が発生しやすい地形といえます。
新たに造成された土地で土地を購入する場合は、建築予定地などでの地盤調査を念入りに行うことをおすすめします。
>参考リンク:NHK 「盛り土」とは? 知っておきたいポイント解説
埋設物がある場合
3つ目は埋設物がある場合です。
購入した土の中に木の根や廃材といった産業廃棄物が埋められている例が見られることがあります。
こうした場所で家を建てると、埋設物が時間とともに腐食するなどして体積が小さくなり、空洞が空くことがあります。
空洞に向かって不同沈下が発生する危険性がありますので、埋設物対策としても念入りな地盤調査が効果的です。
>関連コラム 地震対策と地層について 地震に強い家づくりをするためには
不同沈下を起こさないためには?
では、不同沈下の発生を防ぐためには、どうすればよいのでしょうか。
効果的な3つの方法を紹介します。
地盤にかかる荷重が分散するように設計
不同沈下が発生する原因は、基礎の一部分に荷重がかかることが挙げられます。
地盤に均一に荷重がかかるように、ベタ基礎を選択したり表層改良をすることを検討しましょう。
>参考リンク:住宅金融支援機構 【フラット35】 技術基準・検査ガイドブック
ベタ基礎は、建物の下部全体に鉄筋コンクリートを打設して一体化する工法です。
建物の柱がある箇所のみ基礎を設ける布基礎と比べて、均一に地盤に荷重が加わるようになります。
また、表層改良は地盤の表面にセメント系の固化材を加えた上で土とともにかき混ぜて、表面の軟弱な地盤を固める工法です。
こうした対策を取ることで、地盤に均一に荷重が加わるようになりますので、不同沈下の発生を防げる可能性があります。
強度のある地盤まで基礎を伸ばす
軟弱地盤の層が深い場合には、強度が高い層まで基礎を伸ばすことが効果的です。
具体的には柱状改良工法や鋼管杭工法といった施工をすることで、強固な地盤を基礎として建物を建てられ、軟弱地盤を避けて家を支えられるようになります。
>参考リンク:ソリッドキューブ工法協会 支持層までが深い軟弱地盤の地盤改良はどうする?
液状化の発生を防ぐ工法を行う
地震による地盤の液状化による不同沈下を防ぐためには、液状化への対策も大切です。
液状化への対策も、硬い地盤の層まで杭を伸ばすことが効果的です。
ほかにも、地盤内の水を抜いて地下水位を低下させたり、地中に土を固化させる薬液を注入するなどの方法が考えられます。
地盤の調査を行った上で、土地と建設予定の建物に合った工法を考えることが大切です。
まとめ│強い地盤で地震に強い家を実現
大きな地震が起きた場合に問題となる「不同沈下」について、原因や対策を解説しました。
不同沈下は、発生することで建物の傾きや外壁への亀裂など、様々な問題を引き起こします。
不同沈下が発生しやすい地形は主に粘土質のような軟弱地盤や盛土地形などです。
こうした地域では地震による揺れが増幅しやすいことから、不同沈下への対策とともに地震の揺れへの対策も考える必要があります。
地域・土地に合った最適な対策を検討して、安心して長く住み続けられる家を建てましょう。
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