『軟弱地盤とは?』定義・マップでの確認方法を紹介│対策・改良工法も解説

『軟弱地盤とは?』定義・マップでの確認方法を紹介

「軟弱地盤」とは、粘土質の柔らかい土で構成された地盤を指します。

建物を建てると、安定性が失われることや不同沈下が発生する場合があり、土地利用の際は注意が必要な地盤といえます。

 

本記事では、軟弱地盤の定義を確認した上で、軟弱地盤の分布を確認する方法や軟弱地盤の上に家を建てる際に気をつけるべき点、地盤を改良する方法を紹介します。

 

家を建てた後に長く安心して住み続けるためには、地盤を把握することが大切です。
建築予定地が、一般的には悪条件とされる地盤であった場合の備えを確認しましょう。

この記事を読んだらわかること

・地震時に揺れが増幅されると言われる「軟弱地盤」とは何か、確認できます。

・軟弱地盤をマップ・現地で確認する方法が分かります。
・軟弱地盤で家を建てる場合の対策・工法が分かります。

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軟弱地盤とは?定義を確認

国土交通省の資料によると、軟弱地盤は以下のように定義されています。

軟弱地盤は、主として粘土やシルトのような微細な粒子に富んだ柔らかい土で、間隙の大きい有機質土または泥炭、ゆるい砂などから成る土層によって構成され、地下水位が高く、盛土や構造物の安定・沈下に影響を与える恐れのある地盤をいう。

>参考リンク:国土交通省 北陸地方整備局 軟弱地盤対策

つまり、軟弱地盤は細かな粒子で構成される柔らかい土でできていて、建物の安定や沈下に影響を与える地盤ということです。

軟弱地盤に家を建てる3つの注意点

建築を計画している土地の土質を調査した結果、軟弱地盤であることが分かったとき、注意する必要がある点を紹介します。

地震を受けた際に液状化現象を起こす可能性がある

軟弱地盤で発生する危険性の高い液状化現象

>参考リンク:国土交通省 液状化現象について

1つ目の注意点は、軟弱地盤は液状化現象を引き起こす恐れがあることです。

軟弱地盤の特徴のひとつは、地下の水位が高いことです。

地下水位が高い状態で細かな粒子の地盤に地震の揺れが加わると、まるで土が地下水の上に浮いたような状態になり、建物を支える力を失うことがあります(液状化現象)。

>関連コラム 地震による液状化現象とは?起きる仕組みや被害と対策を知っておこう

柔らかい地層と硬い地層の間で不同沈下を起こす可能性がある

2つ目の注意点は建築予定地の地盤に、硬い層と柔らかい層がある場合に不同沈下を起こす可能性があることです。

土地の一部に柔らかい層がある状態で建物を建てると、柔らかい層に向かって徐々に地盤が沈下するケースが見られるようです。

不同沈下を起こすと建物が傾き、めまいや頭痛といった身体的な不調のほか、雨漏りや外壁の亀裂など様々な問題を引き起こすことがあります。

柔らかい地層によって揺れが増幅する可能性も

3つ目の注意点は、地層によっては揺れが増幅する場合があることです。

同じ地震動を受けた場合でも、硬い地盤と柔らかい地盤とでは、建物に与える影響が変わることがあります。

一般的には柔らかい地盤の方が揺れが大きくなる傾向があり、建物への被害が大きくなることが予想されます。

>参考リンク:NHK 揺れを増大する軟弱地盤はどこに?

建物の被害を抑えるには、地震のエネルギーを吸収する「制震ダンパー」の利用がおすすめです。

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軟弱地盤をマップや現地で見分ける方法とは

こうした注意点を抱える軟弱地盤、確認するためには以下の5つの方法を取りましょう。

マップの微地形区分と地盤調査結果を確認

大まかに地域の地盤の特徴を把握するためには、防災科学技術研究所が提供しているJ-SHIS Mapの利用がおすすめです。

防災科学研究所が提供する微地形区分の分かるマップ

>参考リンク:防災科学技術研究所 J-SHIS 地震ハザードステーション

この地図は地震に関する様々な情報を日本地図に重ねられる機能を持っていて、たとえば「微地形区分」を選択すれば調べたい地域の地形区分を確認できます。

地形区分のうち「谷底低地」「後背湿地」「旧河道・旧池沼」「干拓地」「埋立地」といった地形は軟弱地盤である可能性があることから、特に地盤に対して警戒する必要があります。

古地図を利用して昔の土地利用を確認

古地図を参照することで、建築予定地では以前どのような土地利用が行われていたのか確認できます。

たとえば古地図を参照して建築予定地が川や湖沼であった場合、地下水位が高いことや軟弱地盤であることが予想されます。

国土地理院が公表しているWEBマップで確認することができますので、試しに使ってみましょう。

>参考リンク:国土地理院 地理院地図

水に関連する地名から予測する

古地図とともに、水に関連する地名から予測することも可能です。

地名は土地の成り立ちを表すケースがあり、たとえば「津」「浦」「洲」といった”さんずい”を使用した地名では軟弱地盤の可能性が疑われます。

実際に現地を歩いて確認する

候補地を絞ったあとは、実際に現地を歩くことも重要です。

マップを利用しておおまかな地形を把握することもできますが、1m以下の微妙な高低差は地図上で把握することはできません。

現地を歩くことで平坦と思っていた土地が窪地になっているなど、水が集まりやすい地形であることに気づけるかもしれません。

地盤調査を行い地盤の状態を確認する

最も確実な方法は、土地の購入後や交渉中に地盤調査をして地盤の状態を直接確認することです。

建物を支える地盤の位置や深さも正確に計測できますので、マップの確認などで軟弱地盤の可能性に不安を感じた場合は建築前に必ず確認しましょう。

軟弱地盤に家を建てる場合の対策・改良工法を紹介

家を建てる予定の土地が軟弱地盤であることが分かった場合、家を安定させるための対策が必要です。

>参考リンク:ソリッドキューブ工法協会 支持層までが深い軟弱地盤の地盤改良はどうする?

地盤に広く接する「ベタ基礎」

建物の耐震性を高めるために広く利用されている方法がベタ基礎です。

ベタ基礎は建物の柱や耐力壁(建物の重さを支える役割を果たす壁)のある場所だけでなく、1階の床がある範囲全体に鉄筋コンクリートを設置する基礎の作り方です。

基礎全体を一体化することから、軟弱地盤であっても不同沈下を起こしづらいメリットがあります。

セメントで土を固める「表層改良」

軟弱地盤が比較的浅い範囲に限られる場合は、セメント系の固化材を混ぜて締め固める表層改良も効果的です。

地盤の浅い範囲を改良することから、これから紹介する柱状改良や鋼管杭といった工法よりも費用を抑えられる点がメリットです。

深い層までセメントで固める「柱状改良」

軟弱地盤が比較的深めの層まで見られる場合は、安定した地盤まで掘り進めたうえでセメント系固化材などを混ぜながら柱状の地盤を作る柱状改良を利用します。

深い層まで届く工法の中では安価な工法であることから、費用を抑えたい場合に利用される工法です。

深い層まで杭を打つ「鋼管杭」

柱状改良よりも深い層に家を支える地盤が見つかった場合は、鋼製の杭を打ち付けて支持層まで届かせる鋼管杭工法を利用します。

掘削するのが困難な硬質地盤でも貫通できるなどメリットが大きい工法ですが、工事中の騒音が大きい点や比較的コストが高い点など、注意するべき点はあります。

>関連コラム 地盤改良とは?種類や地盤改良後に建てる建物への地震対策をご紹介!

建物の強度を高める「耐震・制震・免震」も効果的

軟弱地盤で耐震性を高めるためには、基礎を固めるほか耐震・制震・免震といった対策を取ることも有効です。それぞれの簡単な特徴は以下のとおりです。

建物の強度を高める「耐震・制震・免震」

 

  • 耐震:柱やはり、筋交いといった建物の構造部分の強度を上げて耐震性を上げる方法
  • 制震:制震ダンパーと呼ばれる装置を取り付け地震のエネルギーを吸収する方法
  • 免震:積層ゴムなどの上に家を建てて揺れが伝わりにくくする方法

基礎に加えて、建物自体にも耐震性を高める工夫を加えましょう。

>関連コラム 耐震・制震(制振)・免震の違いとは?

 

中でも、費用を抑えつつ何度も発生する地震に耐えられる制震工法の利用がおすすめです。

特徴について詳しく知りたい方は、お気軽に資料を請求ください。

まとめ│軟弱地盤に家を建てる場合は適切な対策を

軟弱地盤とはどういった地盤で、どういった特徴を持ちどのように調べるのかといった話題について解説しました。

地盤が柔らかいことで、一般的には地震が起きた時に揺れが大きくなったり不同沈下を起こしたりと、軟弱地盤はデメリットを感じられるケースが多いようです。

 

しかし建築予定地が軟弱地盤であっても、紹介した様々な対策で耐震性を高めて安全に暮らすことは可能です。

地盤を適切に調査・把握するとともに、耐震・制震・免震といった建物本体の耐震性を高める工夫も凝らして、地震が起きたときでも安心できる住まいづくりを行いましょう。

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監修者情報

株式会社トキワシステム

株式会社トキワシステム

制震ダンパー・地震対策の情報について発信しています。
トキワシステムが提供する制震ダンパー『αダンパーExⅡ』は、地震から建物を守り、住まいの安心と安全をご提供いたします。

保有資格
・二級建築士
・フォークリフト運転技能者
・木材加工用機械作業主任者
・第二種電気工事士

受賞歴
・GOOD DESIGN AWARD 2021