【長期優良住宅】2022年10月改正点のポイントを解説|耐震性も変更に
長期優良住宅は新築は2009年6月より開始された認定制度です。
国土交通省の発表によると、長期優良住宅認定制度は令和3年度末で135万戸が認定を受けています。
長期優良住宅は2022年10月に改正され、耐震性など私たちに深くかかわるポイントが見直されましたが、意外と内容が知られていません。
そこでこの記事では2022年10月に施行された長期優良住宅の改正のポイントについて、わかりやすく解説していきます。
・長期優良住宅の概要がわかります。
・長期優良住宅の2022年10月の改正点のポイントをわかりやすく説明します。
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目次
長期優良住宅とは?
長期優良住宅とは、簡単にいうと「長期間にわたり安全で快適な状態で住み続けられる家」のことです。
「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいて「長期優良住宅認定制度」が設けられ、2009年6月より開始されました。
この制度で定められた基準を満たし、管轄している行政庁に申請後、認定を受けた家が該当します。
長期優良住宅は、長期にわたり良好な状態で使用するための措置講じられた優良な住宅です。
引用:国土交通省『長期優良住宅のページ』
長期優良住宅の建築及び維持保全の計画を作成し、所管行政庁に申請することで認定を受けることができます。
長期優良住宅の認定基準
これまで日本の住宅では、つくっては壊して新しいものへ作り変える「スクラップ&ビルド型」が主流でした。
長期優良住宅は環境や災害などへの安全性を考慮し、「スクラップ&ビルド型」から、良い物を長く大切に使う「ストック型」への転換を目的として定められたものです。
長期優良住宅では認定基準として次に挙げる10の項目があり、それぞれに基準となる数値や目安が設けられています。
- 劣化対策:数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること。
- 耐震性:極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること。
- 省エネルギー性:必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること。
- 維持管理・更新の容易性:構造躯体に比べて耐用年数が短い設備配管について、維持管理(点検・清掃・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること。
- 可変性(共同住宅・長屋):居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能な措置が講じられていること。
- バリアフリー性(共同住宅等):将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下等に必要なスペースが確保されていること。
- 居住環境:良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。
- 住戸面積:良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。
- 維持保全計画:建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。
- 災害配慮:自然災害による被害の発生の防止又は軽減に配慮されたものであること。
2022年10月の改正点のポイントは4つ
冒頭でお伝えしたように、長期優良住宅は2022年10月に改正されました。
2022年10月の改正ポイントは、次の4つです。
- 省エネルギー性
- 耐震性
- 住戸面積
- 既存住宅認定制度新設
ではそれぞれを詳しく見てみましょう。
2022年10月の改正ポイント① 省エネルギー性
2022年10月の改正では、認定基準の中の「省エネルギー性」に関する内容が変更となっています。
従来の長期優良住宅認定基準では省エネルギー性の基準として、「断熱等性能等級4」と定められていました。
しかし今回の改正で、「断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6」に変更となっています。
- 改正ポイント① 断熱等性能等級4→断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6
これは断熱性能がいわゆる「ZEH」の基準になり、従来の機銃にはなかった「一次エネルギー消費量等級」が追加されたということです。
【断熱等性能等級とは】
断熱等性能等級とは「住宅の断熱性能がどのくらいかを示す指標」です。
断熱等級は等級の数字が大きいほど断熱性が高いことを示しており、2022年3月までは断熱等級4が最高等級でしたが、その後2022年4月に断熱等級5が新設、そして今回の2022年10月の改正で断熱等級6と7が新設されました。
等級 | 内 容 |
---|---|
等級7 | 熱損失等のより著しい削減のための対策が講じられている |
等級6 | 熱損失等の著しい削減のための対策が講じられている |
等級5 | 熱損失等のより大きな削減のための対策が講じられている |
等級4 | 熱損失等の大きな削減のための対策(建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令に定める建築物エネルギー消費性能基準に相当する程度)が講じられている |
等級3 | 熱損失等の一定程度の削減のための対策が講じられている |
等級2 | 熱損失の小さな削減のための対策が講じられている |
等級1 | その他 |
出典:国土交通省『住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設』より作成
なお、断熱性能の評価は「UA値」によってなされます。
UA値とは「住宅から失われる熱(熱量)の平均値」で、「外皮平均熱貫流率」ともよばれています。
※外皮とは、屋根・外壁・床・窓といったなど住宅の外周りと指します。
- UA値が小さい=断熱性が高い
- UA値が大きい=断熱性が低い
となるため、「断熱等級の数字が大きいほどUA値は低い」ということになります。
【一次エネルギー消費量等級とは】
一次エネルギー消費量等級とは「住宅が一年間に消費するエネルギー量を示す」もので、2013年につくられた基準です。
一次エネルギー消費量等級は等級6まであり、「BEI」という値で決まります。
ちなみに一次エネルギーとは通常、石油・石炭などの電気・ガス・天然ガス・太陽光などに加工されるまえの状態のものを指しますが、ここでは太陽光のなどでつくられるエネルギーは含まれません。
2022年10月の改正ポイント② 耐震性
2022年10月の改正では、認定基準の中の「耐震性」に関する内容も変更となっています。
従来の長期優良住宅認定基準では耐震性の基準として、「耐震等級2または3」と定められていました。
しかし今回の改正で、「耐震等級3」に変更となっています。
- 改正ポイント② 耐震等級2または3 → 耐震等級3
ポイントのひとつ目としてお伝えした省エネ性の基準引き上げられたことや、近年断熱性や省エネ設備などの省エネ性の高い木造住宅が増えたことで、木造住宅が重量化しています。
重量化する原因の例として、屋根・天井・壁・床などの断熱材料が増えたり、サッシが二重ガラスや断熱ガラスになっていたり、太陽光発電設備やエコな給湯機器などが挙げられます。
そうなると、重量化した木造住宅自体の安全性の確保しなければならないため、耐震性の基準も高められました。
【耐震等級とは】
耐震等級とは「住宅性能表示制度」において、耐震性能を示す基準のひとつです。
地震に対して建物がどのくらい強いのか、「地震に対する躯体構造の強度」を知ることができる指標のひとつです。
耐震等級は地震に対する損傷や倒壊の観点から、地震による建物の倒壊のしにくさを1~3の3等級に分けています。
「住宅性能表示制度」とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいて2000年10月より本格的に運用が開始された制度で、新築や中古住宅の性能を第三者(専門家)が評価し、住宅の性能をわかりやすく表示するものです。
耐震等級1~3の内容は次の通りです。
等 級 | 内 容 |
---|---|
耐震等級1 | 震度6強~7程度の数百年に一度レベルの地震ではすぐに倒壊や崩壊をしない 震度5程度の数十年に一度発生する地震ではすぐに住宅が損傷しない ※現行の建築基準法で定められた最低限の耐震性能を満たしている |
耐震等級2 | 「耐震等級1の1.25倍」の地震が起きてもすぐに建物が倒壊や損壊、損傷しない |
耐震等級3 | 「耐震等級1の1.5倍」の地震が起きてもすぐに建物が倒壊や損壊、損傷しない |
耐震性は耐震等級3>耐震等級2>耐震等級1の順に高く、最近の新築住宅では標準仕様で耐震等級3を満たしているものも多いです。
特に地震大国と言われるほど地震の多い日本では、耐震等級に関する意識も高くなっています。
2022年10月の改正ポイント③ 住戸面積
2022年10月の改正では、認定基準の中の「住戸面積」もが変更となっています。
こちらは「共同住宅」に関してのみの変更になります。
従来の長期優良住宅認定基準では住戸面積が「共同住宅等は55㎡以上」と定められていました。
しかし今回の改正で、「共同住宅等は40㎡以上」に変更となっています。
- 改正ポイント③ 共同住宅等の住戸面積:55㎡以上 → 40㎡以上
こちらは近年の小規模世帯の増加や消費者の面積規模に対する需要の変化を踏まえて見直されたものです。
近年、小規模世帯向けの共同住宅も良質化が求められている点、そして共同住宅において単身者用やファミリー向けの共同住宅が混在している点などがある点が考慮され改正されました。
2022年10月の改正ポイント④ 既存住宅認定制度新設
ここまでの3つは長期優良住宅の認定基準を変更したものでした。
4つ目の2022年10月の改正ポイントは、既存住宅認定制度が新設された点です。
- 改正ポイント④ 既存住宅認定制度の新設
これまで長期優良住宅は2009年6月より「新築」を対象として開始され、2016年4月より「増築・改築を行う既存住宅」を対象とした認定が開始されていました。
今回の改正では良質な既存住宅を長期優良住宅として認定することを目的と、「増築や改築を伴わない既存住宅」を新たに対象とすることになりました。
これによって、これまではできなかった増築や改築を伴わない既存住宅も、長期優良住宅の申請可能になりました。
従来の長期優良住宅の認定制度では増築や改築などの建築行為を前提としており、建築計画と維持保全計画をセットで認定する仕組みでした。
そのためたとえ一定の性能がある既存住宅であっても、建築行為を行わない限り対象となりませんでした。
しかし2022年10月の改正によって、優良な既存住宅に関しては、増改築などの建築行為がなくとも事後的に認定が可能となる仕組みになったというわけです。
増改築などの建築行為を伴わない既存住宅が認定申請をする場合、新築または増改築をしたのがいつであったかを確認し、その時に該当する認定基準(新築のままか、その後増改築をしたか)で申請することになります。
また、申請時点で住宅に著しい劣化等が生じていないことが基本とされています。
まとめ
今回は2022年10月に改正された長期優良住宅の認定基準について、改正点のポイントを解説しました。
長期優良住宅に認定されると、補助制度や税制特例、金利の引き下げなど様々な優遇制度等を利用できるというメリットがあります。
そして何より、長きにわたって安全・快適に住むことのできるという認定を受けることで、安心してその家に住むことができるというのも大きなメリットです。
これから新築される方だけでなく、この改正で既存住宅も申請が可能になったので既にマイホームをお持ちの方も、長期優良住宅の申請を検討されてみてはいかがでしょうか。
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