住みながらできる木造住宅の耐震補強工事とは|内容や注意点を解説
「マイホームに耐震補強を行いたいが、仮住まいを準備してまで行うのはハードルが高い」
こうお考えの方は多いのではないでしょうか。
日本の戸建て住宅の約8割が木造ですが、木造住宅への耐震補強工事は、内容によっては住みながら行うことができます。
そこで今回は、木造の戸建て住宅に住みながらできる耐震補強工事の内容や住みながら行う際の注意点を解説します。
耐震補強に興味のある方、これから耐震補強をご検討中の方はぜひご参考ください。
・木造住宅に住みながらできる耐震補強の内容がわかります。
・住みながら耐震補強工事をした際の注意点をお伝えします。
今、費用を抑えつつ住宅の地震対策に高い効果を得られる「制震ダンパー」のニーズが高まっています。
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目次
耐震補強工事をするには何から始めればよいの?
マイホームに耐震補強を実施したい場合、何から始めればよいのでしょうか。
木造住宅に耐震補強の工事を行うには、まずは耐震診断を受ける必要があります。
耐震診断とは、地震が発生したときにその建物が揺れに耐えらえれる性能、いわゆる「耐震性能」がどれくらいあるのかを調べる診断です。
耐震診断を受けることで、ご自宅の耐震性の有無と耐震補強工事の必要性の有無がわかります。
耐震診断から耐震補強工事までは、通常次のような流れで行われます。
- 現地調査
- 耐震診断
- 耐震補強案作成
- 耐震補強工事
耐震診断の方法はいくつかありますが、一般的な木造住宅であれば次のように判定がなされます。
また、国土交通省では「昭和56年以前に建築された建物の耐震診断・耐震改修をしましょう。」と呼びかけています。
昭和56年以前に建築された建物は、建築基準法に定める耐震基準が強化される前の、いわゆる「旧耐震基準」によって建築され、耐震性が不十分なものが多く存在します。
引用:国土交通省『住宅・建築物の耐震化について』
そのため、まずは、耐震診断を実施し、自らの建物の耐震性を把握しましょう。そして、耐震診断の結果、耐震性が不十分であった場合は、耐震改修や建替えを検討しましょう。
耐震診断は民間企業や一般財団法人など、様々な団体が実施しているので、分からない場合はお住まいの自治体の窓口へ問い合わせるとよいでしょう。
耐震診断や耐震補強工事に関しては補助金などの支援制度が充実しており、全国の多く自治体で用意されているので必ず確認をして活用することをおすすめします。
参考リンク>国土交通省 地方公共団体の支援制度に関する問い合わせ窓口一覧
耐震診断の費用については次のコラムもご参照ください。
関連コラム>「耐震診断、費用はどれくらい?」耐震診断を行う理由や流れも解説
木造住宅の耐震補強工事の種類
木造住宅の耐震補強工事では、具体的に次のような内容が代表的です。
- 壁を強くする
- 基礎を強くする
- 接合部を強くする
- 屋根の軽量化
- 外壁のひび割れの補修
それぞれを詳しく見てみましょう。
壁の耐震補強(壁を強くする)
木造住宅の壁を強くする耐震補強工事では、壁に筋かい(筋交い)を固定金物で補強したり、新たに筋かいを設置したり、構造用合板を接合金物や釘で設置したりします。
筋かいとは建物の柱と柱の間に斜めに入れる補強材のことです。
建築基準法でも設置が義務づけられており、木造住宅への耐震性を上げる方法として最も一般的です。
基礎の耐震補強(基礎を強くする)
木造住宅の基礎を強くするには、既存の基礎に新たな基礎を打ち増しする方法が一般的です。
既存の基礎に鉄筋が入っていない場合は鉄筋やプレート入りの基礎で補強したり、亀裂がある場合は樹脂や繊維を注入します。
劣化具合がひどいケースや既存の基礎を利用できない場合は、新たな基礎をつくりなおすこともあります。
接合部の耐震補強(接合部を強くする)
筋かいと柱、筋かいと土台、柱と土台、柱と梁といった接合部には金物を使用することが義務づけられています。
通常、筋かいと柱、筋かいと土台を固定する「筋交プレート」や、柱と土台、柱と梁を接合する「ホールダウン金物」があり、これらを用いることで木造住宅の強度が向上します。
既存住宅では金具が使用されていないケースや金具が使用されていても老朽化して機能を果たしていないケースがあり、その場合は金具を補強して耐震性を上げます。
関連コラム>耐震金物ってなんだろう?種類や効果を解説|より地震に強い家にするには?
屋根の軽量化
建物の耐震性には屋根の重さも関与しています。
屋根が陶器瓦などのように重たい場合は建物の構造部への負荷が増え、耐震性は低くなってしまいます。
それだけでなく、重い屋根が振り子の原理によって揺れが大きくなり、建物倒壊のリスクも高まってしまいます。
屋根を軽量化は厳密にいうと耐震の補強ではありませんが、屋根を軽量化することで耐震性の向上につながります。
住みながらできる耐震補強とは
こうした中で、「住みながらできる木造住宅の耐震補強はどれか」というと、住宅の状態や耐震補強の工事をする箇所、工事の規模によって変わってきます。
全項目で挙げた内容が住みながらできるかどうかは、以下の通りです。
耐震補強の内容 | 可 否 |
---|---|
壁の耐震補強(壁を強くする) | 軽微な補修であれば可能 |
基礎の耐震補強(基礎を強くする) | 基本的に可能 |
接合部の耐震補強(接合部を強くする) | 基本的に可能 |
屋根の軽量化 | 基本的に可能 |
たとえば「劣化した箇所に耐震補強の金物を取り付けるだけ」など部分的な内容であれば、住みながらでも工事を進めることができます。
基礎の耐震補強は、ひび割れした箇所の補修のみなどの軽微なものであれば、住みながらでも工事が可能なケースがあります。
また、耐震補強工事でよくあるケースが、通常のリフォームを行う際に同時に実施するパターンです。
ほかのリフォームと同時進行で耐震補強も行う場合、基本的にそのリフォームが仮住まいを要しないのであれば耐震補強も住みながらできる可能性が高いといえます。
住ながら耐震補強工事をする際の注意点
木造住宅に住みながら耐震補強工事を行う際の注意点として、次の3点に気をつけましょう。
- 耐震補強の工事内容を把握しておく
- 荷物の移動先や生活スペースの確保
- 工事音やほこりへの対策
耐震補強の内容をきちんと把握しておく
まずは耐震補強の工事を行う箇所や順番、内容や規模を確認して、工事全体の流れを把握しておく必要があります。
後述しますが、住みながら耐震補強を行う場合は荷物の移動などが出てきます。
冒頭でお伝えしたように耐震診断を行った結果、耐震補強工事が必要であれば耐震補強案が作成されるので、その時に工事内容や大まかな流れを確認しておくとよいでしょう。
荷物の移動先や生活スペースの確保
住みながら耐震補強の工事を行う場合、工事箇所にある荷物は移動させておかなければなりません。
ほかに荷物を置く場所を確保できるかどうかも確認しておくとよいでしょう。
荷物を大量に移動させなければならず、さらに置く場所が確保できない場合は日常生活のスペースに荷物を置くことになります。
したがってある程度の生活スペースが確保できるかどうかも確認が必要です。
荷物の量によっては生活に影響が出るため、一時的な仮住まいを検討したほうがよいかもしれません。
工事音やほこりへの対策
耐震補強の工事の際には、やはり工事音が発生してしまいます。
また、木くずやほこりなども工事箇所周辺には舞うことが予測されます。
住みながら耐震補強を行う場合、たとえばほこり除けのためにブルーシートで該当箇所を覆うなどの対策を考えておく必要があります。
特に赤ちゃんがいるご家庭では、音やほこりは気になるかもしれません。
工事箇所と離れた場所に居住スペースがあるかどうかなどもチェックしておきましょう。
まとめ
今回は木造住宅の耐震補強工事について、住みながら行える内容やその際の注意点についてお伝えしました。
近年の木造住宅の耐震性は向上していますが、旧耐震基準で建てられている既存の住宅や、現行の耐震基準であっても築後年数が経過している住宅、何度か地震にあっている住宅などでは耐震補強の必要があるかもしれません。
まずは耐震診断を受け、結果に応じて必要であれば耐震補強工事を行いましょう。
耐震補強工事を住みながら実施したい場合はそれが可能かどうか、注意点も考慮しながら決めるとよいでしょう。
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関連コラム>制震ダンパー ランキング オイルダンパーはαDamperExIIが第一位
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