富士山と地震の関係|南海トラフ地震との関係も?過去には大地震前後の噴火も

富士山と地震の関係|南海トラフ地震との関係も?過去には大地震前後の噴火もあった

現在日本にある111の活火山のうち、「富士山」は特に噴火が警戒されている火山です。

富士山の噴火による溶岩流や火砕流といった被害だけでなく、地震と富士山噴火の関連性や連続災害についても関心が高まっています。

そこで今回のコラムではまず火山活動と関係の深い火山性地震についてお伝えし、富士山の現在の火山活動過去の噴火とその前後に起きた地震、そして現時点で考えられる富士山の噴火と地震との関係性について解説します。

この記事を読んだらわかること

・火山性地震とは何かがわかります。
・富士山の現在の火山活動状況がわかります。
・過去に起きた富士山の噴火と噴火前後にあった地震がわかります。
・富士山の噴火と地震に関する現時点の考察をお伝えします。

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火山活動と火山性地震

はじめに、富士山に限らず火山全体における火山活動と地震との関係性について確認しておきたいと思います。

火山活動に伴う地震は「火山性地震」とよばれ次のように分類されており、火山活動の監視などに活用されています。

  • 火山性地震:火山体またはその周辺で発生する地震。マグマの動き等に関連するものや噴火に伴うものがある。
  • 爆発地震:火山性地震のうち、爆発的な噴火によって発生する地震。
  • 低周波地震:周期の長い微小な揺れ。火山では火山活動が活発化すると多発する傾向がある。
  • 高周波地震:周期が短く振動数の多い揺れ。火山ではマグマの貫入に伴う火道周辺での岩石破壊などの際に発生する。
  • 火山性微動:火山体またはその周辺で発生する、火山性地震よりも継続時間の長いもの。

また、火山活動と地震には次のような関わりもあります。

  1. 火山・地震・プレートの関係
  2. 火山活動による地震の誘発/地震による火山活動の誘発

地球の表面はおよそ14枚のプレートと呼ばれる岩盤で覆われており、長年かけてゆっくりと移動しています。

地震や火山活動はこうしたプレート同士の運動や衝突によって引き起こされています

実際に世界中の火山はプレート境界とプレート内に分布しており、震源分布図・プレート図・火山分布図を見ても似た点が多く、 これらに関連性があることがわかります。

『世界の主なプレートと地震の分布』 出典:気象庁
『世界の火山の分布状況』出典:内閣府 防災情報のページ

また、地震によって火山活動が誘発され活発化されることがある、もしくはその逆のケースもあるといわれていますが、こちらはメカニズムがまだ明らかにはなっていません。

特に地震が火山の噴火などに及ぼす影響については、気象庁の見解としてもその関連性については明らかにされていません。

大きな地震が起こりましたが、別の大きな地震や火山噴火を誘発するおそれはないですか?

ある地震活動が別の地震や火山活動にどのように影響を及ぼすかは、明らかではありません。気象庁では24時間体制で地震や火山の活動状況を監視しており、活動状況を地震情報や噴火警報などで発表します。これらの最新の情報や、地震や火山噴火への日頃からの備えを改めて確認していただくようお願いします。

引用:気象庁HP『よくある質問集 /地震について』

過去にあった地震と富士山の噴火(火山活動)については、後の項目で詳しくお伝えします。

>関連コラム 地震とプレートの関連とは?プレートテクトニクス理論と世界のプレート

>関連コラム 火山活動と地震は関連性がある?火山噴火で予想される被害と対策

富士山の火山活動の今

富士山の噴火と地震の関連性|日本にある活火山
出典:気象庁HP「活火山とは」

上の図は日本にある活火山の所在地を示したもので、富士山は静岡県と山梨県にまたがって存在しています。

気象庁では日本全国にある火山活動を観測し、すぐに予報や警報を出せる体制を整えています。

富士山の噴火警戒レベルの説明図
出典:気象庁HP「噴火警戒レベルの説明」より「噴火警戒レベル」

気象庁は上の「噴火警戒レベル」にあるとおり、火山活動の状況に応じた「警戒が必要な範囲」防災機関や住民等の「とるべき防災対応」について、5段階の指標を定めています。

気象庁の「気象庁地震火山部 火山監視・警報センター」によると、現時点(2023年12月中旬時点)で富士山の火山活動に特筆する変化はないため噴火の兆候はみられず、噴火警戒レベル1」と発表されています。

火山活動に特段の変化はなく、静穏に経過しており、噴火の兆候は認められません。
噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)の予報事項に変更はありません。

引用:気象庁「気象庁地震火山部 火山監視・警報センター 火山活動解説資料(令和5年11月)」

噴気など表面現象の状況は観測されていないとされており、火山性地震や火山性微動についても地震は少なく微動も観測されていません。

火山活動によるとみられる地殻変動にも、特段の変化は表れていないとのことです。

したがって現時点での富士山の活動としては上の図の、

  • 種別:予報
  • 名称:噴火予報
  • レベル:噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)

に該当しているということです。

富士山で過去に起きた噴火

富士山で過去に起きた噴火は記録のあるもので約14~17回におよぶ
画像出典:気象庁HP「富士山の火山活動解説資料(令和5年11月)」

火山の形状には盾状火山、成層火山、溶岩円頂丘(溶岩ドーム)の3種類があり、富士山は日本を代表する成層火山です。

成層火山とは、ほぼ同じ場所の山頂火口からなんども噴火が繰り返されることで円錐形に形成された火山のことを言います。

つまり、富士山は古くから何度も噴火が繰り返されてきた火山ということです。

もう少し具体的に言うと、富士山は火山活動の時期によって4階層からなっており、各時代の噴火によって現在の形になっています。

  • 先小御岳火山:数十万年前
  • 小御岳火山:約70~20万年前に噴火活動を開始
  • 古富士火山:約10~8万年前に噴火活動を開始
  • 新富士火山:約1万1千年前に噴火活動を開始 → ※現在の富士山

ちなみに現在私たちが見ている富士山は「新富士火山」とよばれる火山で、その下に古富士火山、小御岳火山、先小御岳火山があるといわれています。

こうして古くから噴火を繰り返してきた藤さんですが、新富士火山となって記録のあるものや推定される範囲では約14~17回の噴火があったとされています。

以下は富士山に関して、噴火が記録にあるものや噴火が推定されているものの一覧です。

  1. 3000年前(縄文時代後期):爆発的噴火(4回)
  2. 482年頃(清寧天皇三年):噴火(推定旧暦3~4月)
  3. 781年 (天応元年):噴火
  4. 800〜802年(延暦19年):延暦大噴火(旧暦3月14日~4月18日)
  5. 802年(延暦21年):噴火(1月8日)
  6. 864~866年(貞観6~8年):貞観大噴火(864年6月~866年初頭)
  7. 937年(承平7年):噴火
  8. 999年 (長保元年):噴火
  9. 1015年(長和4年):噴火
  10. 1033年 (長元5年末):噴火
  11. 1083年 (永保3年):噴火
  12. 1435年または1436年(永享7年):噴火
  13. 1511年 (永正8年):噴火
  14. 1707年(宝永4年):宝永大噴火(旧暦11月23日)

日本三大噴火とは

この中で日本三大噴火として記録されているのが「延暦大噴火」「貞観大噴火」「宝永大噴火」の3つです。

「延暦大噴火」は平安時代初期に起きた噴火で、山頂などから激しい爆発と溶岩の流出がありました。

特に801~802年に起きた2度目の噴火では砕石や火山灰によって足柄路をがふさがれたため、迂回路として箱根路が開かれたと記録されています。

「貞観大噴火」も平安時代初期に起き、現在の「青木ヶ原樹海」を形成した噴火です。

長尾山(富士山の北西斜面)の大噴火による大量の溶岩流によって山麓に広大な岩海が形成され、時間の経過とともに岩海に苔や草木が生い茂り、現在の青木ヶ原樹海が形成されました。

「宝永大噴火」は江戸時代中期に起きた噴火で、記録のある噴火の中では最大級とされています。

およそ17日間(16日間という説あり)大きな噴火が断続的に続き、大呂の火山灰が江戸に降り注いで人々の生活に被害をもたらしました。

宝永大噴火後、富士山では現在まで噴火は記録されていません。

富士山の噴火前後に起きた地震

富士山の噴火前後に起きた地震で代表的なものは2つ

富士山の噴火の中には地震との関連性が高いものもありました。

日本三大噴火の中の「貞観大噴火」「宝永大噴火」の前後に見られたものです。

貞観大噴火後の「貞観地震」

「貞観地震」「貞観大噴火」のおよそ5年後にあたる869年(貞観11年)5月26日に発生した地震です。

  • 震源域:日本海溝付近(推定)
  • マグニチュード:8.3以上(推定)

貞観地震は「貞観三陸地震」とも呼ばれ、推定マグニチュード8.3以上ともされる巨大地震で、陸奥国(現在の福島県、宮城県、岩手県、青森県と秋田県の一部)などを中心に大規模な津波に襲われ、1,000人が溺死したとされています。

また、貞観地震の9年後にあたる878年(元慶2年)には、マグニチュード7.4規模の「相模・武蔵地震」も発生しており、誘発地震の可能性があるともいわれています。

宝永大噴火前の「宝永地震」

「宝永地震」は、「宝永大噴火」の49日前にあたる1707年(宝永4年)10月28日に発生した地震です。

  • 震源域:南海トラフ(東海~四国沖~日向灘)
  • マグニチュード:8.6~9.3(推定)

宝永地震は繰り返し起きている南海トラフ地震のひとつで、「亥の大変(いのたいへん)」とも呼ばれています。

静岡県の遠州灘から宮崎県の日向灘におよぶ南海トラフのほぼ全域にわたってプレート断層が発生したと推定されており、日本の歴史上でも最大級の地震といわれています。

宝永地震では東海から四国・九州まで広範囲に甚大な被害が発生し、大規模な津波を伴ったため死者は2万人以上、家屋の倒壊は約6万戸、津波による家屋流失は訳2万戸にも及んだとされています。

また、宝永地震の余震も発生している中、宝永大噴火の起きる前日にあたる11月22日には富士山麓一帯でマグニチュード4~5の地震が数十回起こり、そして23日に噴火が始まったとされています。

>関連コラム 南海トラフ地震は過去にも繰り返し発生している!経緯を知って未来に備えよう

富士山の噴火で地震が誘発される?

富士山の噴火で地震が誘発されるのかを解説

ここで再び気になるのが、「富士山の噴火で地震が誘発されるのではないか」という心配です。

結論からいうと、第1項目でお伝えしたように「関連性は明らかではないためわからない」が答えということになります。

しかし繰り返しになりますが、貞観大噴火では富士山噴火のおよそ5年後に「貞観地震」が、宝永大噴火は「宝永地震」のあった49日後に富士山が噴火しています。

宝永地震はお伝えした通り、南海トラフ沿いで発生した「南海トラフ地震」です。

世界に目を向けてみると、1990年にフィリピンのバギオで発生したマグニチュード7.8の「フィリピン地震(バギオ大地震)」の翌1991年に「フィリピン・ピナツボ火山」が噴火しています。

こうした過去の事例もあり、地震と噴火にはなんらかの関連性があるのではないかという、大地震と大噴火の「連続災害」が懸念されています。

富士山に関しては『富士山火山防災対策協議会』(山梨県・静岡県・神奈川県の3県などが連携)において避難計画などが立てられており、現時点では大地震後の連続災害は対象としていませんが、今後は連続災害を想定した避難計画の検討を行うことが述べられています。

第4編 今後の検討事項

連続災害(巨大地震後の火山噴火など)を想定した避難計画
本計画は、富士山噴火が単独で発生する「単独災害」を前提としているが、巨大地震後に富士山が噴火するケースなどの「連続災害」を想定した避難計画の検討を行う。

引用:静岡県HP『富士山火山避難基本計画(令和5年3月) 第4編 今後の検討事項 より一部引用』

このように、科学的に解明はされていないものの、最悪の事態を想定した備えが必要であるという意識が高まっているのが現状です。

まとめ

今回は富士山の噴火と地震との関係性についてお伝えしました。

富士山は過去に何度も噴火し、過去には大きな噴火の前後に大規模な地震もありました。

解明こそされていませんが、識者の間では大地震後の大噴火といった「連続災害」が起きることが懸念されています。

富士山は最後の「宝永大噴火」以降、300年以上噴火していない状態です。

噴火や地震が連続して起きた場合のダメージは計り知れません。

万が一の場合に可能な限り被害を小さくするよう、普段から正しい情報を得て、備えや対策をしておくことが大切です。

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監修者情報

株式会社トキワシステム

株式会社トキワシステム

制震ダンパー・地震対策の情報について発信しています。
トキワシステムが提供する制震ダンパー『αダンパーExⅡ』は、地震から建物を守り、住まいの安心と安全をご提供いたします。

保有資格
・二級建築士
・フォークリフト運転技能者
・木材加工用機械作業主任者
・第二種電気工事士

受賞歴
・GOOD DESIGN AWARD 2021