is値って?|耐震診断の必要性と評価の基準を知っておこう|なぜ耐震診断?
耐震診断は公共施設など耐震診断が義務付けられているものも多く、地震対策の面から一般の戸建て住宅でも耐震診断を受ける方は増えています。
一方で、「そもそもなぜ耐震診断をしなければならないのだろう」「耐震診断は一体どんな基準で結果を出しているのだろう」と思われている方も多いのではないでしょうか。
耐震診断の結果の基準のひとつに「is値」と「iw値」があります。
専門的な用語ですが、何を示しているのかを簡単にでも知っておくことで、その後のご自宅への地震対策へより理解を深めることができます。
今回のコラムでは、一般の戸建て住宅でも耐震診断が必要な理由と、耐震診断の結果の基準のひとつである「is値」「iw値」について解説します。
耐震診断をお考えの方やお住まいの地震対策が気になる方はぜひ、今後の地震対策にお役立てください。
・そもそもの耐震診断の必要性を再確認できます。
・耐震診断では何を基準に結果を出しているのかがわかります。
・基準となるis値・iw値について知ることができます。
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目次
耐震診断はなぜ行うの?
まずは耐震診断とはどのようなものなのか、なぜ行う必要があるのかについて確認しておきましょう。
耐震診断とは
耐震診断とは、『既存の建物が大きな地震に遭っても倒壊しない耐震性があるかを調べて確認すること』です。
たとえば自宅に耐震診断を行うと、「自宅が地震に対してどの程度の耐震性を持っているのか」が分かります。
建物には「耐震基準」が設けられていますが、耐震基準は震災が起きるたびに改正されています。
特に大きな変更があったのが1981年と2000年の改正で、現行の耐震基準は2000年に改正されたものです。
したがってそれ以前に建てられた建物や、特に特に1981年以前のいわゆる「旧耐震基準」で建てられた建物については耐震性が低いことが想定されるため、耐震診断を受けることが推奨されています。
なお、耐震診断は不特定多数の方が訪れる病院・店舗・学校などの「要緊急安全確認大規模建築物」と、避難路の沿道にある建物や避難所として指定されている建物などの「要安全確認計画記載建築物」は、耐震診断が義務付けられています。
国土交通省が令和4年12月に集計した「住宅・建築物の耐震化の現状と目標」の資料によると、
- 住宅の耐震化率:約87%(平成30年時点)
- 耐震診断が義務付けられている建築物の耐震化率:約90%(令和4年時点)
となっています。
>参考リンク 国土交通省「住宅・建築物の耐震化の現状と目標」
>関連コラム 「耐震診断、費用はどれくらい?」耐震診断を行う理由や流れも解説
耐震基準はいつ改正されたの?「旧耐震基準」と「新耐震基準」の違いとは?
耐震診断の目的と必要性
耐震診断の大きな目的はもちろん「地震による建物被害から命を守るため」です。
1995年の阪神淡路大震災では、亡くなった方の実に8割以上が建物の倒壊によるものだとわかっています。
また、耐震化が進んでいる2016年に起きた熊本地震でも、建物の倒壊被害が甚大なものとなりました。
耐震診断は、地震による建物倒壊から命を守るための対策のひとつといえます。
耐震診断を行うより具体的な目的としては、主に次の2つが挙げられます。
- 住まいの耐震性について現状を把握するため。
- 改善点を明確にして地震対策(耐震改修など)を行うため。
先ほどお伝えした通り、耐震診断を受けることでその建物の耐震性の有無やどれくらい耐震性があるのか、どこが弱点かがわかります。
そしてその結果に基づいて、耐震改修などの具体的な対策を立てていきます。
住まいに対して「地震が怖いから耐震性を高めたい」と思っても、実際どれくらい耐震性がある又はないのか、どこを改善すればよいのかがわかってからでないと、対策の計画も立てられません。
したがって住宅の耐震性に関する現状把握とそれに基づいた対策の計画・実施のために、耐震診断を受けることになります。
耐震診断の基準とは?
耐震診断は、非木造の建物の場合は「第1次診断法・第2次診断法・第3次診断法」の3つの方法、木造の建物の場合は「一般診断法・精密診断法」の2つの方法のいずれかによって行われます。
(木造住宅の場合は、国土交通省が監修している「誰でもできるわが家の耐震診」という自己診断で事前にチェックすることもできます。)
診断結果は『大地震(震度6強程度)の規模の地震に対して倒壊または崩壊する可能性』が『高い/ある/低い』のいずれに該当するかといった形で出されます。
上の図は、木造戸建住宅を一般診断によって判定した際の結果を表したものです。
書類や現地調査結果を基に、建物がどの程度の耐震性能を備えているのかを計算した評点によって判定がなされます。
耐震診断の基準『is値』と『iw値』とは?
こうした耐震診断の評価の基準には様々な指標がありますが、耐震性能の評価の指標となるのが『is値』と『iw値』です。
『is値』『iw値』とは
では「is値」や「iw値」とは一体何なのでしょうか。
is値やiw値とは「構造耐震指標」のことで、建物の形状、地震に対する強度や粘り強さ等を考慮して算出されます。
耐震診断の判定基準に用いられるis値は鉄筋コンクリート造建造物の指標として用いられ、iw値は木造住宅の指標として用いられています。
- is値:鉄筋コンクリート造建造物の耐震指標
- iw値:木造住宅の耐震指標
「is値」と「iw値」のうち、比較的よく見聞きするのは「is値」の方かもしれませんね。
『is値』『iw値』の計算方法
is値とiw値の計算方法は次の通りです。
【is値の計算方法】
is値 = EO × SD × T
- EO:保有性能基本指標 (= C(強度の指標)× F(靱性(粘り強さ)の指標))
- SD:形状指標
- T:経年指標
EOとは「保有性能基本指標」のことで、建物が保有している基本的な耐震性能を表す基本となる指標です。
EOは建物の強度の指標(C)と建物の粘り強さの指標(F)を乗じて算出します。
SDは建物の形や耐震壁の配置など、平面・立面形状や剛性の分布などが耐震性能に及ぼす影響を評価する指標、そしてTは建物の経年劣化や老朽化が耐震性能に及ぼす影響を示す指標のことです。
【iw値の計算方法】
iw値 = Pd / Qr
- Pd:家の保有耐力
- Qr:耐震に必要な耐力
Pdとは家の「保有耐力」のことで、壁の強さ・配置・劣化度を考慮して評価できる住宅の強さを表す指標です。
Qrとは耐震に必要な耐力(強さ)を示す指標で、住宅の広さや地盤などの条件から算出します。
『is値』『iw値』の評価基準
前述した通り、診断結果は『大地震(震度6強程度)の規模の地震に対して倒壊または崩壊する可能性』が『高い/ある/低い』のいずれに該当するかといった形で出されます。
is値とiw値評価基準は次の通りです。
【is値の評価基準】
Is値が0.3未満 | 地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が高い |
Is値が0.3以上 0.6未満 | 地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性がある |
Is値が0.6以上 | 地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が低い |
【iw値の評価基準】
iw値が0.7未満 | 地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が高い |
iw値が0.7以上 1.0未満 | 地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性がある |
iw値が1.0以上 | 地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が低い |
「is値・iw値の評価基準」と「耐震基準」と「耐震等級」
ここまで耐震診断の評価基準に用いられる「is値」と「iw値」についてお伝えしてきました。
これらとは別に、冒頭でも少しお伝えしましたが、建物の耐震性に関する基準として「耐震基準」が法律で定められています。
また、建物の耐震性を示すものに「耐震等級」があります。
耐震等級は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいて制定された「住宅性能表示制度」の中の、耐震性能に関する基準のひとつで、耐震等級は3>2>1の順に耐震性が高くなります。
- 耐震基準:「住宅や建築物等の構造物が満たすべき耐震能力の最低限度の基準」
- 耐震等級:「地震に対する建物の強度を示す指標」のひとつ
これらの関係性を簡単にまとめると、
耐震等級1レベル = 耐震基準で定められた耐震性
耐震等級1レベル = is値0.6程度 = iw値1.0程度
と言われています。
こうして比べてみることで、幾分かイメージしやすいのではないでしょうか。
>関連コラム 【耐震等級とは?】耐震等級を高くすることで得られるメリット・デメリット
まとめ
今回は耐震診断の必要性と、耐震診断における評価の基準である「is値」と「iw値」についてお伝えしました。
耐震診断を受けた際は、結果に応じて住宅へ適切な地震対策を取ることが大切です。
また、「is値」や「iw値」が何を示しているのかを知っておくことで、ご自身のお住まいへの見方も変わってくるのではないでしょうか。
特に国土交通省「建築着工統計調査2022年」によると、新築の一戸建て住宅における木造の割合(木造率)が約90%となっていることからも、日本の戸建て住宅の多くが木造です。
ご自宅が木造で耐震診断を受けた際、iw値は耐震工事の補助金において条件となっているケースもあるため、iw値は特に注目したい点といえます。
これから耐震診断をご検討中の方、ご自宅の耐震性が気になっている方はぜひご参考下さい。
木造住宅の地震対策には「耐震」+「制震ダンパー」でより安全に
近年、建物の耐震性に加えて注目されているのが「制震」です。
「耐震+制震」を組み合わせて取り入れることで、制震が耐震の弱点を補いつつ相乗効果を発揮し、住まいを地震から守ります。
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関連コラム>制震ダンパー ランキング オイルダンパーはαDamperExIIが第一位
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