家具(食器棚・本棚・タンス)への【地震対策】をわかりやすく解説
さまざまな技術が向上している現在でも、「〇月〇日に△△で地震が起きる」という予測は難しいという現実があります。
大きな地震が来る前に発令される「緊急地震速報」も、揺れが観測されてから、いち早く知らせてくれるものです。
したがって私たちは日頃から地震対策を行っておかなければならないのですが、まず取り組みたいのが、一日の中で多くの時間を過ごす家の中を安全にすることです。
実は過去の大きな震災では、死亡者・負傷者の多くが家具の倒壊等によるものでした。
そこで今回の記事は家具の地震対策に注目し、家具をもう少し細かく分類して「食器棚・本棚・タンス」のそれぞれの地震対策についてご紹介します。
記事の後半では家をトータルで守ることのできる地震対策もお伝えするので、ぜひ最後までご一読ください。
・家の中の家具(食器棚・本棚、タンス)への地震対策が詳しく分かります。
・家をトータルで守る地震対策がわかります。
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目次
大きな地震が来ると家の中はどうなる?
こちらは気象庁が作成している「震度とゆれの状況」という資料です。
地震の揺れは気象庁の「震度階級」によって10段階に分けられており、各震度で家の中がどのような状況になるかの目安が示されています。
これによると、
- 震度4:座りの悪い置物が、倒れることがある。
- 震度5弱:棚にある本や食器類が落ちることがある。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。
- 震度5強:棚にある本や食器類で落ちてくるものが多くなる。固定していない家具が倒れることがある。
と記されているように、不安定な置物等であれば震度4から倒れる可能性があり、震度5弱で棚の中身の落下、そして震度5強になると棚の中身だけでなく、固定していない家具自体が倒れ始める可能性が出てきます。
つまり、家具に地震対策を行っていなければ、震度4レベルから物が倒れ始める危険性があるということです。
では次項より、棚(食器棚・本棚)、タンスの地震対策について具体的に見ていきたいと思います。
食器棚の地震対策
食器棚の地震対策では、次の5つのポイントを押さえておくようにしましょう。
- 食器棚を固定する
- 扉をロックする
- ガラスの飛散を防ぐ
- お皿は「中→大→小」の順に重ねる
- 食器の下に滑り止めシートを敷く
- 重い物を食器棚の下部分に収納する
なお、初めから固定されている食器棚(カップボード)の場合は、さらに固定する必要はないでしょう。
食器棚を固定する
まずは食器棚が揺れによって移動したり倒れてきたりしないように、食器棚を壁や天井へ固定します。
固定するには次のような方法があります。
- 突っ張り棒
- 金具(L字金具、ビス等)
- 家具転倒防止プレート(耐震シート、耐震マット)
この中で最も手軽にできるのが「突っ張り棒」です。
食器棚と天井の間に耐震用の突っ張り棒を入れて緊張させることで、食器棚が固定され倒れにくくなります。
注意点として、天井が経年によって脆くなっていたり柔らかくなっていたりする場合では、突っ張り棒が天井を突き破ってしまい固定できなかったり、一旦は固定できても地震がくると固定したはずの食器棚や天井が落ちてくるケースがあります。
突っ張り棒はきちんと垂直に設置することで強度が増すので、位置などを確認しながら取り付けましょう。
次に、「L字金具」などで壁や梁などに直接壁にビス留めして固定する方法もあります。
L字金具は転倒防止という点では最も効果が高いと言われています。
取り付けの際は取り付ける壁に下地(間柱)が入っていることを必ず確認しましょう。
下地のない弱い部分の壁に取り付けると、地震が大きい場合は壁ごと倒れる危険性があります。
家具の転倒を防ぐには、「家具転倒防止プレート」もしくは「耐震シート」「耐震マット」と呼ばれるグッズを使うのもおすすめです。
家具転倒防止プレートの類は、食器棚の下手前側に挟み込むことで転倒を防ぎます。
なお、これらの方法は食器棚に限らず、タンスなど他の家具や大型家電等でも地震対策として用いられています。
扉をロックする
食器棚に扉がある場合は、地震の揺れによって扉が開いて中の食器が飛び出したり、転倒した際に扉から中の食器が飛び散ったりといった危険があります。
また、扉自体が取れて落下するケースもあります。
これらを防ぐには食器棚の扉をロックしておくとよいでしょう。
扉をロックするには、「耐震ラッチ」と呼ばれるグッズが一般的です。
耐震ラッチとは、収納の扉が地震などの揺れで開かないようにする金具のことで、一定以上の震度で自動的にロックがかかるタイプ、さらに揺れがおさまると自動的にロックが解除されるタイプ、扉を開けたいときに手動でロックを外すタイプなどがあります。
使い勝手の良いものを選択するとよいでしょう。
ガラスの飛散を防ぐ
食器棚にはガラスが使われているケースが多いですが、地震の揺れによってはガラスが割れることが考えられます。
割れたガラスが床に飛散した場合、足で踏んで怪我をする恐れがあります。
こうした危険を避けるためには、ガラス部分に「飛散防止フィルム」を貼るのが効果的です。
>関連コラム 「地震で窓ガラスが割れるのが怖い…」万が一の行動や対策を解説します
お皿は「中→大→小」の順に重ねる
食器棚の中の、お皿の重ね方にも地震対策となるポイントがあります。
地震の揺れに強い重ね方は、「中皿→大皿→小皿」の順番です。
一般的には大皿を一番下にするケースが多いかもしれませんが、中皿を一番下にしてその上に大皿を重ねることで揺れが起きたときに大皿の動きが軽減して安定します。
そのため大皿が安定するので小皿の揺れも少なくなり、揺れに強くなります。
食器の下に滑り止めシートを敷く
食器の下に滑り止めシートを敷いておくのもひとつです。
滑り止めシートを敷いておくことで、食器棚から食器類が一度に飛び出す危険性を軽減できるだけでなく、食器棚内での破損も軽減してくれます。
重い物を食器棚の下部分に収納する
食器棚に食器等を収納する場合、重いものは下の部分に入れると棚全体の重心が下がるため、倒壊しにくくなります。
逆に重い物を上部分にたくさん入れてしまうと、揺れによる振りがついて倒壊しやすくなってしまいます。
本棚の地震対策
本棚への地震対策は、次の4つがポイントとなります。
- 本棚を固定する
- 本の落下防止グッズを使う
- 本を隙間なく縦に並べる
- 重い物を本棚の下部分に収納する
本棚を固定する
食器棚同様、本棚も揺れによって移動したり倒れてきたりしないように、壁や天井へ固定します。
特に本棚は重量が重くなるので、複数の固定方法をしておくのもひとつです。
固定の仕方は食器棚と同じ方法で行うとよいでしょう。
また、近年よくある天井近くまである大型本棚では、「フィラー板」とよばれる、本棚と同素材の転倒防止の板を天井と本棚の間に挟み込む方法もあります。
本の落下防止グッズを使う
本棚の地震対策で気を付けたいのが、本の落下です。
本が落ちてきて怪我をするリスクに加え、たくさんの本が落下することによって避難経路が断たれてしまうリスクもあります。
本の落下防止で取り入れやすいグッズには次のものがあります。
- 落下抑止テープ
- 紐・ベルト・ワイヤー
- 突っ張り棒
「落下抑止テープ」とは、本棚の棚板の前端に貼るだけで本などの落下を防止してくれるテープです。
透明タイプのものが多く、目立ちにくいのでインテリアを損ねることもありません。
「紐・ベルト・ワイヤー」を本棚に取り付け、本が落下するのを防ぐ方法もあります。
これらは防災グッズとして本棚や各種棚用につくられたものが多数あるので、自宅の本棚に合った物を取り入れるようにしましょう。
また、「突っ張り棒」を横に使用して本の落下を防ぐこともできます。
中にはダボに取り付けられるものもあるので、こちらも自宅の本棚の様式に合った物を選ぶとよいでしょう。
本を隙間なく縦に並べる
本の並べ方によっても、本の落下を防ぐことができます。
本はなるべく隙間のないように縦に並べることで、本の落下防止につながります。
例えば本を横に置き、その上にどんどん重ねる置き方をしていると、地震の揺れで落下しやすくなってしまいます。
重い物を本棚の下部分に置く
食器棚と同様に、本棚の下の部分へ辞書や百科事典などの重い物を置くことで、本棚の倒壊リスクを軽減することができます。
反対に重い物を本棚の上部分へ置くと、倒壊リスクが高くなるだけでなく、頭や足などに落下した時に大けがをする原因となってしまいます。
ガラス製の置物などもなるべく置かないよう、置く場合は下の方へ置いたり、置物の下に滑り止めシートや耐震マットなどを敷いておくとよいでしょう。
タンスの地震対策
クローゼットが主流となっている現在でも、タンスがあるご家庭は意外と多いのではないでしょうか。
タンスへの地震対策は次の2つがポイントです。
- タンスを固定する
- 引き出しの飛び出しを防止する
タンスを固定する
タンスも食器棚や本棚と同様に地震対策として壁に固定をしておかないと、倒れてくる危険性があります。
固定の仕方は食器棚や本棚とほぼ同じですが、タンスはあまり背の高いものが多くないため、突っ張り棒では効果が低くなるケースもあるので、複数の方法を取り入れながら対策をしておくとよいでしょう。
引き出しの飛び出しを防止する
地震の時にタンスの恐ろしい点は、引き出しが飛び出してくることです。
いくらタンス自体が固定されていても、引き出しに地震対策を施していないと勢いよく飛び出してくる危険性があります。
タンスの引き出しは思っている以上に重く固いため、人にぶつかったり、足などの上に落下したりすると大けがをする可能性があります。
また、倒れかかったタンスから引き出しが飛び出すことで、避難経路がふさがれるといった危険性もあります。
タンスの引き出しの飛び出し防止には、「引き出し用耐震ラッチ」が取り入れやすいです。
扉のラッチと同様に、引き出しに取り付けておくことで急な飛び出しを防いでくれます。
まとめ
今回は家具の地震対策として、食器棚、本棚、タンスの地震対策についてお伝えしました。
くり返しになりますが、地震はいつどのような状況で起きるかわかりません。
しかし多くの人にとって、寝る時間も含めて家にいる時間が最も長いと言われています。
平時の今、家の中の地震対策としてまずできるところから取り組んでみてはいかがでしょうか。
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