【南海トラフ地震】各都道府県の建物や人的な被害予想はどうなっているのだろう?
南海トラフ地震は昨今、日本で最も話題にのぼる地震と言っても過言ではない程、様々な情報等が見聞きできます。
そんな中で私たちに必要なのは、正しい情報を得て、的確な備えや対策を講じておくことではないでしょうか。
今回の記事では南海トラフ地震による被害の中でも「建物被害」と「人的被害」に注目し、内閣府が算出している被害予想に基づいてご紹介していきます。
・南海トラフ地震による各都道府県の被害予想がわかります。
・過去にあった異常震域の事例を知ることができます。
・南海トラフ地震に備えた地震対策について知ることができます。
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目次
南海トラフ地震ってどんな地震?
「南海トラフ地震」とは、日本の太平洋側の海底にある「南海トラフ」を震源域として発生する大規模な地震のことです。
「南海トラフ」とは、静岡県の駿河湾から、静岡県から三重県にかけてある遠州灘、和歌山県から三重県にかけてある熊野灘、紀伊半島の南側、高知の土佐湾、そして宮崎県日向灘沖にかけてある「フィリピン海プレート」と「ユーラシアプレート」が接する海底の溝状の地形を形成する区域のことです。
過去にも起きていた南海トラフ地震とその被害
南海トラフ地震は、過去にもマグニチュード8クラスの大規模なものが何度も発生しています。
これらはおよそ100~150年の間隔で繰り返し発生しており、前回の南海トラフ地震(1946年:昭和南海地震)が発生してから実に77年(2023年時点)が経過しており、今後30以内に発生する確率は70~80%といわれています。
過去に起きた南海トラフ地震
これまでに記録されている、実際に発生した南海トラフ地震は以下の通りです。
- 684年 白鳳(南海)地震
- 887年 仁和(南海)地震
- 1096年 永長(東海)地震
- 1099年 康和(南海)地震
- 1361年 正平東海地震、正平南海地震
- 1498年 明応東海地震
- 1605年 慶長地震
- 1707年 宝永地震
- 1854年 安政東海地震、安政南海地震
- 1944年 昭和東南海地震
- 1946年 昭和南海地震
ざっくりと被害状況を見てみましょう。
684年 白鳳(南海)地震
マグニチュード8.25を記録した白鳳(南海)地震は、記録に残されている中で最も古い南海トラフ地震です。
四国沖から紀伊半島、東海エリアにまで及んでいたのではないかと言われています。
山崩れが起き、神社仏閣や官舎や倉といった建物の倒壊被害が多く発生し、死傷者数も多数出ました。
また、津波も起きたとされており、高知では船の沈没被害も発生したと記録されています。
887年 仁和(南海)地震
同じくマグニチュード8.25を記録した仁和(南海)地震は、四国沖から東海にかけて起きた南海トラフ地震で、京都でも被害が記録されています。
建物被害では倒壊・損壊が関西各県をはじめ、東海地方、中国地方、九州地方にまで見られました。
特に京都では官舎や住宅の倒壊が多く、死者が多数出ました。
1096年 永長(東海)地震
マグニチュード8.0~8.5を記録した永長(東海)地震は、震源域が紀伊半島から駿河湾にかけての地震でした。
永長(東海)地震では津波が発生し、伊勢地域や駿河地域まで到達したと記録されています。
神社仏閣等が400以上も流され、著名なものでは東大寺の釣り鐘の落下、奈良の薬師寺の回廊の倒壊、東寺の五重塔の破損などが起きたと言われています。
1099年 康和(南海)地震
マグニチュード8.0~8.3を記録した康和(南海)地震は、南海トラフの西側エリア(四国の足摺岬沖~紀伊半島)を震源とした南海トラフ地震です。
永長(東海)地震のおよそ2年後に発生しており、建物被害として奈良県にある興福寺の大門や回廊が倒壊したと記録されています。
1361年 正平東海地震、正平南海地震
正平東海地震、正平南海地震は、同日から2日後にかけて発生したとされる南海トラフ地震です。
マグニチュード8.25~8.5(正平東海地震のマグニチュードは不明)を記録し、震源域は四国の足摺岬沖から三重県の沖と推定されています。
大阪府、徳島県、高知県では津波が発生し、特に徳島県では家屋流失1,700棟、死者60名以上という甚大な被害に見舞われました。
建物被害としては大阪府にある四天王寺の金堂、奈良県にある招提寺の九輪や薬師寺の金堂などに倒壊・破損が起こり、死者も多数出たとされています。
1498年 明応東海地震
マグニチュード8.2~8.4を記録した明応東海地震は、高知県中部沖から駿河湾を震源域とした南海トラフ地震です。
この地震でも紀伊半島から房総半島にかけての広範囲で津波が発生し、その被害は三重県では家屋流失がおよそ1,000棟、死者は5,000名以上にのぼるとされています。
建物被害も多数見られ、著名なものでは和歌山県の熊野本宮の社殿が倒壊したと記録されています。
1605年 慶長地震
慶長地震については被害情報などの詳しい情報があまり残されていませんが、マグニチュード7.9で一部津波が発生した記録があることから、南海トラフ地震である可能性が高い地震とされています。
1707年 宝永地震
マグニチュード8.6~9.3を記録した宝永地震は震源域が広範囲に及んだと推定されており、東海の遠州灘から四国沖、そして日向灘にまで及んだといわれています。
各地で大きな震度の揺れがあり、東海、近畿、中・四国、九州地方の各地域で倒壊等の建物被害や人的被害が発生しました。
また、津波が伊豆半島から九州にかけての太平洋沿岸部、大阪湾、播磨灘、伊予灘、周防灘といたる所で発生し、特に高知県では津波被害が大きく、家屋流失が11,167棟、死者は1,844名にものぼりました。
1854年 安政東海地震、安政南海地震
マグニチュード8.4を記録した安政東海地震と安政南海地震では、1854年12月23日安政東海地震が、そして翌日の12月24日安政南海地震が発生しています。
安政東海地震では山梨県、長野県、福井県でも地震が起き、房総半島から四国沖にかけて津波も発生し大きな被害が出たとされています。
また、安政南海地震では近畿、四国、中国、九州地方にかけて地震が発生し、紀伊半島から四国沿岸部では津波被害も出ています。
1944年 昭和東南海地震
マグニチュード7.9を記録した昭和東南海地震は、紀伊半島東部の三重県から静岡県の遠州灘を震源域とした南海トラフ地震です。
特に静岡県、愛知県、岐阜県、三重県、和歌山県で被害が大きく、三重県と和歌山県では津波による被害も大きかったそうです。
この時の南海トラフ地震による建物被害は家屋の全壊が約26,000棟、家屋流失は約3,000棟、死者は998名となっています。
1946年 昭和南海地震
昭和東南海地震の約2年後に発生した昭和南海地震はマグニチュード8.0を記録した南海トラフ地震で、震源域は紀伊半島南西部から高知県の中部沖でした。
被害は中部地方から九州まで広範囲に及び、特に津波被害が甚大で房総半島から九州に及ぶ広い範囲で津波が発生しました。
建物被害としては家屋の全壊が約11,500棟、家屋流失が約1,450棟、人的被害として死者が1,330名にものぼったと記録されています。
1944年の昭和東南海地震、1946年の昭和南海地震の二つをあわせて一連の南海トラフ地震とするケースもあるため、最後に起きた南海トラフ地震から約80年が経過しているとみられており、気象庁でも次の南海トラフ地震が発生する切迫性が高まってきているという見解を示しています。
各都道府県の被害予想
では具体的に南海トラフ地震における被害予想について、国はどのような試算をしているのでしょうか。
現時点での最新データとして、2019年6月に「内閣府政策統括官(防災担当)」が発表している『南海トラフ巨大地震の被害想定について(建物被害・人的被害)』に基づいてみていきたいと思います。
南海トラフ地震での被害予想において建物被害や人的被害は、前提条件によって大きく異なるため、同機関では下記のような様々なケースを用いて計算しています。
- 地震動の領域(強震動生成域):「基本ケース」「陸側ケース」など5つのケースを想定
- 津波:東海地方、近畿地方、四国地方、九州地方それぞれで大きな被害が想定されるケースなど11のケースを想定
- 季節
- 時間帯
- 風速
また、被害予想に用いられた地震動・津波高等は「南海トラフの巨大地震モデル検討会」で想定した最大クラスの地震・津波であり、それらに現状の堤防・防潮堤等の整備状況を踏まえて計算されています。
そのため、これまでの被害予想よりも大きくなっているけれども、決して不安を募らせることなく、対策を講じて被害を減少させることがとても大切だと強く伝えてあります。
さらに、国民一人一人が、今回の被害想定に何ら悲観することなく、
引用:「南海トラフ巨大地震の被害想定について(建物被害・人的被害)」より
① 強い揺れや弱くても長い揺れがあったら迅速かつ主体的に避難する
② 強い揺れに備えて建物の耐震診断・耐震補強を行うとともに、家具等の固定を進める
③ 初期消火に全力をあげる
等の取組を実施することにより、一人でも犠牲者を減らす取組を実施することが求められる。
都道府県別「建物」被害予想
まずは南海トラフ地震が発生した場合の建物に関する被害予想から見ていきたいと思います。
次の【表1 都道府県別の被害予想:全壊棟数(最大値)】は、建物が全壊する「全壊棟数」が最も多い場合の棟数を、都道府県別に示されたものです。
いずれも季節と時間帯は「冬の夕方」、風速は「8m/s」となっています。
なお、表中の最大被災ケースにある「地震動ケース」とは次の内容を指しています。
- 基本:基本ケース…中央防災会議による東海地震、東南海・南海地震の検討結果を参考に設定したもの
- 陸側:陸側ケース…基本ケースの強震動生成域を、可能性がある範囲で最も陸域側(プレート境界面の深い側)の場所に設定したもの
また、表中の最大被災ケースにある「津波ケース」とは次の内容を指しています。
- ケース①:東海地方が大きく被災するケース
- ケース③:近畿地方が大きく被災するケース
- ケース④:四国地方が大きく被災するケース
- ケース⑤:九州地方が大きく被災するケース
【表1 都道府県別の被害予想:全壊棟数(最大値)】
この計算によると、愛知県では強い揺れを引き起こす地震動の領域が「陸側ケース」、ケース①の「東海地方が大きく被災するケース」、そして「冬の夕方」「風速8m」という条件がそろった場合、全国で一番多い約326,000棟が全壊するとの被害予想が計算されています。
また、大阪府でも「陸側のケース」「近畿地方が大きく被災するケース」「冬の夕方」「風速8m/s」の条件がそろった場合には約314,000棟が全壊するとの被害予想が計算されています。
このように、それぞれの都道府県においてほとんどの場合で、津波のケースによって全壊棟数が甚大なものになることが予想されています。
都道府県別「人的」被害予想
では人的な被害予想についてはどうなっているでしょうか。
次の【表2 都道府県別の被害予想:死亡者数(最大値)】および【表3 都道府県別の被害予想:負傷者数(最大値)】は、南海トラフ地震による死亡者数・負傷者数が最も大きくなる場合の人数を、都道府県ごとに示しているものです。
表2では地震動ケースは全て「陸側」、風速は「8m/s」となっており、最大被災ケースにある「津波ケース」は、表1の建物被害の表と同じ内容となっています。
【表2 都道府県別の被害予想:死亡者数(最大値)】
これによると、強い揺れを引き起こす地震動の領域が「陸側ケース」、ケース①の「東海地方が大きく被災するケース」「冬の深夜」「風速8m/s」という条件がそろった場合、静岡県では約88,000人というとても大きな死亡者数が被害予想として算出されています。
また、「陸側ケース」、ケース③の「近畿地方が大きく被災するケース」「冬の深夜」「風速8m/s」という条件がそろった場合、和歌山県では約53,000人という死亡者数が、そして「陸側ケース」、ケース④の「四国地方が大きく被災するケース」「冬の深夜」「風速8m/s」という条件がそろった場合、高知県でも約30,000人もの死亡者数が出るのではないかと予想されています。
他の都道府県においても条件によっては、表にあるような甚大な人的被害が予想されています。
【表3 都道府県別の被害予想:負傷者数(最大値)】
南海トラフ地震が起きた場合の負傷者においても同様です。
地震動が「陸側ケース」、ケース①の「東海地方が大きく被災するケース」「冬の深夜」「風速8m/s」という条件がそろった場合、愛知県では約81,000人の負傷者が出ると予想され、同じく地震動が「陸側ケース」、ケース①の「東海地方が大きく被災するケース」「風速8m/s」で季節と時間帯が「夏の昼」という条件がそろった場合は、静岡県で約73,000人の負傷者が出ると予想されています。
このように、各都道府県ではどの地域が大きく被災するケースであるか、そして南海トラフ地震が発生する季節や時間帯によって、建物被害や人的被害が最も大きくなるケースが異なることがわかります。
また、東北地方などこちらに記載されていない県や、記載されていても被害が予想されない県もあります。
いずれにしても、日本の広範囲にわたって甚大な被害が起きるであろうことは、想像に難くありません。
被害予想がない/少ないから安心?
では、南海トラフ地震において被害予想の数値が大きい都道府県では地震への備えをしなければならず、そうではない都道府県では安心、ということでしょうか?
答えは「ノー」です。
確かに大きな被害が予想される都道府県では、より万全の準備や対策が望まれるでしょう。
しかし地震大国日本には南海トラフ地震だけでなく、「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震」「首都直下地震」「相模トラフ沿いの海溝型地震」「中部圏・近畿圏直下地震」など発生が懸念されている大規模地震が数多くあります。
特に「首都直下地震」は30年以内に発生する確率が70%程度、「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地」においても30年以内に発生する確率は最大で60%と非常に高い確率が示されています。
また、日本には活断層が2,000以上もあり、どこに住んでいても地震が起きる可能性はあるのです。
つまり、どこにいても地震対策を行っておく必要があるといえます。
関連コラム>活断層とは?どこにあるの?活断層と地震の関係を知って適切な対策を
まとめ|被害予想が大きい地域もそうでない地域も万全の地震対策を
今回は南海トラフ地震における都道府県別の被害予想についてお伝えしました。
繰り返しになりますが、被害予想がない地域であっても安心することなく、日頃から地震への取り組みや対策を行っておくことが大切です。
前項の表からもわかるように、死亡者や負傷者のとなる要因の多くは建物倒壊です。
したがって建物への地震対策は、命を守ることにもつながる大事なポイントといえます。
『南海トラフ巨大地震の被害想定について(建物被害・人的被害)』より引用した通り、耐震診断や耐震補強、家具の固定といった建物への対策を進めておくこと、そして万が一地震が起きたときに的確な初期行動がとれるよう、すべきことを理解しておくことが必要です。
関連コラム>地震が起きたときに取るべき行動とは?正しく把握して安全に避難しよう
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