【減災とは?】地震に備えた減災のポイント9つ|防災との違いも解説
地震大国日本では近年、地震をはじめとしたさまざまな自然災害が発生しています。
そうした中、「防災」や「減災」の重要性が度々叫ばれていますが、両者の違いは意外と知られていません。
そこでこの記事では減災とは何か、防災と減災の違いについて解説するとともに、地震に備えてできる減災の9つのポイントをご紹介します。
・減災とは何かがわかります。
・防災と減災との違いがわかります。
・地震に備えた減災のためのすべきポイントが一目でわかります。
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目次
「防災」と「減災」
まず防災・減災それぞれの定義を知るとともに、双方の違いを確認しておきたいと思います。
防災とは
防災とは、災害対策基本法第二条二項(1961年11月制定)によって「災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図ることをいう」と定義されています。
(定義)
二 防災 災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図ることをいう。
引用:e-gov 法令検索「災害対策基本法 第二条二項」より
つまり、防災は地震や豪雨などの自然災害が発生しないように防ぐための備えや、災害による被害が無いように防ぐための備えといった、事前予防的な取り組みや活動のことを言います。
減災とは
一方で減災とは、「災害が起きるという前提のもと、災害による被害を最小限に抑えるために備える取り組みや事前対策」のことをいいます。
減災という考え方や取り組みは、1995年に起きた「阪神淡路大震災」の経験から生まれました。
阪神淡路大震災では、これまでの想定をはるかに上回る甚大な被害がもたらされてしまいました。
そのような大災害において、当時の防災活動だけでは被害を防ぎ無くすことは不可能であったこと、当時の防災意識や取り組みだけでは補いきれなかった問題点が多々あったことがわかりました。
そこで、それらを補うために防災だけでなく「減災」という考えや取り組みが取り入れられるようになったと言われています。
防災と減災の違い
防災と減災の違いは、防災が「災害や災害による被害を未然に防ぐための備え」であるのに対し、減災は「災害は起こるものとして、災害による被害を最小限に抑えるための備え」です。
つまり「災害は起きるもの」という前提条件が、大きく異なっている点です。
防災は、災害や災害による被害が発生しないためのどちらかというと災害が起きる前の予防的な取り組みで、例としては津波による被害が起きないように堤防波堤を世知することなどが挙げられます。
減災は、災害が起きることや被災してしまうことを前提として、そこから被害を最小限にとどめるための取り組みです。
例として災害が起きたときの避難方法の取り決めなどが挙げられます。
自然災害の多い日本では、回避できる災害は「防災」で回避し、もし災害に遭っても「減災」で被害を最小限にするという考え方が大切になってきます。
地震における減災の9つのポイント
どの自然災害も恐ろしいものですが、最も身近であり頻度も多く被害が大きくなりがちな自然災害として「地震」があります。
そこでここでは地震における減災のポイントを9つお伝えします。
①自助・共助の意識
減災で大切なのが「自助」と「共助」の意識です。
災害時には「自助・共助・公助」の三助が重要だと言われています。
- 自助:自分と家族・命・財産を自分で守ること
- 共助:近隣地域や組織、被災者同士で互いに助け合うこと
- 公助:公的機関がおこなう支援のこと
この中で減災においては自助と共助の意識がポイントとなります。
もちろん「公助」も大切ですが、公的な救助活動や支援が始まるまではどうしてもタイムラグが発生します。
災害の場では1分、1秒が被害の大きな差を生むことも多々あります。
そこでまずは自分自身や自分の家族を守る「自助」、そして自助ができてからは近隣の住民や地域あるいは組織などでお互いに助け合う「共助」が減災のうえで大きな意味を持ちます。
自助・共助・公助については次のコラムもご参考下さい。
関連コラム>災害時の自助・公助・共助とは?地震に備えた自助をわかりやすく解説
②周辺地域とのコミュニケーション
前述の「共助」において、近隣に住んでいるの人々や地域におけるコミュニケーションをとっておくとスムーズに行うことができます
- 避難行動要支援者(高齢の方や障害のある方など自ら避難することが困難と思われる方)
- 小さい子ども
- ペット
といった方々が近隣に居ないかをあらかじめ知っておくことで、災害時に周囲に助けを要する方がいないかどうかがすぐにわかります。
また、ご家庭にこうした方々がいる場合は、近隣や地域との交流の中で、周囲に知らせておくことも大事です。
あわせて避難行動要支援者や子ども、ペットとともに避難する方法や手順について、具体的に確認し決めておきましょう。
③危険区域や避難経路の確認
減災においては、住んでいる地域や学校、会社の周辺に危険区域がないかを確認しておくことも大切です。
あわせて避難経路の確認と、避難経路上に危険地区がないかも見て家族と共有しておきましょう。
危険区域を知る方法としては次のサイトも参考にしてください。
参考リンク>ハザードマップポータルサイト
参考リンク>文部科学省 地震調査研究推進本部 長期評価(活断層)
特にハザードマップはお住まいの自治体のホームページや公民館、役所・役場などでも配布されているので、危険個所を確認し、実際に避難経路を通って避難所まで歩いてみておくことをおすすめします。
④地震直後の正しい行動を知っておく
地震では揺れによる被害のほか、地震火災などの二次災害にも注意が必要です。
こうした被害を最小限にする減災のためには、地震が起きた直後にどのような行動をとれば被害が一番少なくできるのか、正しい行動を知っておくことが重要です。
自宅にいた場合、地震発生時に取るべき行動は次の通りです。
- 机やテーブル等の下にもぐり、脚をしっかりと握る
- とにかく頭を守る(座布団・クッション)
- 倒壊物や落下物の心配がない場所へ移動する
そして揺れがおさまってから、
- 落下物の破片や破損物を踏まないように注意する(スリッパ等を履いて行動する)
- ドアを開けて避難経路を確保する
- 火元の確認をする
といった順で行動するとよいでしょう。
しかし、地震はいつ起きるかわかりません。
そのため地震発生時に家の中にいるか、屋外に居るか、会社や学校にいるか、商業施設などにいるかなどあらゆる場合が想定されます。
その他の詳しい行動については次のコラムもご参考下さい。
関連コラム>地震が起きたときに取るべき行動とは?正しく把握して安全に避難しよう
関連コラム>地震で気を付けたい「二次災害」全8つ|対策もあわせてわかりやすく解説
⑤家族での情報共有
災害発生時の行動や知識について、家族で情報を共有しておくのも大切です。
- 連絡方法・安否確認手段
- 集合場所(どこの避難所か、など)
- 子どもの引き取り方法(幼保、小中学校)
- 避難経路
- 非常持ち出しの置場
- 地震が起きたときに取るべき行動
- 家の中の安全な場所
これらを普段から家族で情報共有しておきましょう。
特に日中地震が起きたときは、会社が学校など家族が各々の場所で活動している可能性が高いです。
そのため、その時を想定した行動について家族全員が必ず確認しておきましょう。
⑥地震保険(災害保険)への加入
地震で住宅が被害に遭った場合は修理や建て替えに大きな費用がかかるため、経済的な被害を被ってしまいます。
公的な支援金やなんらかの義援金では、再建できない可能性も十分にあり得ます。
こうした経済的被害を減災するためには、「自助」として保険や共済への加入をしておくことも大事です。
住まいへの地震に関する保険として「地震保険」がありますが、地震保険は単独で加入することはできず、火災保険とセットで加入することになります。
現状で火災保険に地震保険を付けていない場合、通常、契約期間の途中でも地震保険に加入することも可能です。
経済的な被害も軽減したい場合は、地震保険への加入を検討するのもひとつの方法です。
地震保険については次のコラムもご参考下さい。
関連コラム>【地震保険はいらない・必要ない】は本当?どうして?どっちにするべきか判断基準も紹介
⑦備蓄品・非常持ち出し品の準備
備蓄品や非常持ち出し品の備えは、防災・減災において基本中の基本です。
まず備蓄品は、次のものを準備します。
飲料水:3日分(1人1日3リットルが目安)※ 大規模災害では1週間分がのぞましい
非常食:3日分ご飯(アルファ米など)、ビスケット、板チョコ、乾パンなど
生活必需品:トイレットペーパー、ティッシュペーパー、ろうそく・カセットコンロ
生活用水:ポリタンク、お風呂の置き水など
備蓄品・持ち出し品は次のチェックリストを参考に足りない物を揃えておくとよいでしょう。
また、食料は防災用に特別なものを用意するのではなく、なるべく普段の生活でも食しているもので保存できるものを備えておくと、いざという時に食べづさなどを軽減できます。
⑧家具家電の固定
家具や家電の固定は、私たちの想像以上に被害を軽減してくれます。
というのも、これまでの震災や大きな地震において、家の中で家具や大型家電の下敷きとなって亡くなったり負傷された方が大勢ののぼっているためです。
特に負傷者に関しては、過去の大きな地震において次のような結果が出ています。
このように、家具類の転倒や落下によってけがをしている人が大勢に上っていることがわかります。
また、今後発生が懸念している首都直下型地震においては、約16万人の想定負傷者のうち34.2%が家具類の転倒・落下によって負傷すると想定されています。
繰り返しになりますが、地震はいつ起きるかわかりません。
家の中で寝ている間におきることも十分にあり得ます。
そのため寝室はもちろん、寝室だけでなくリビングや子供部屋、キッチンなど家の中を安全にするためにも、家具や大型家電類の固定をしておくと減災につながります。
家具家電の詳しい固定方法については次のコラムをご参照ください。
関連コラム>地震による家具・家電の倒壊や転倒を防ごう!ポイントや方法をご紹介
⑨住宅の地震対策(耐震・制震)
さて、前項でご紹介した負傷者の原因内訳図で、もうひとつ注目してほしいのが「建物倒壊」が46.2%に上っている点です。
1995年の阪神淡路大震災では、亡くなった方の実に80%近くが建物倒壊等による圧死と言われています。
その後建物の耐震化が進められてきましたが、それでもこれほどの建物倒壊の被害が想定されています。
住宅など建物の減災を考える上では、耐震性の向上は欠かせません。
特に1981年よりも前に建てられた住宅は「旧耐震基準」で建てられているため、注意が必要です。
それ以降に建てられた家であれば安心化というと、やはり経年劣化や家の状態等によっては耐震性が確保されていないため、そうともいいきれません。
お住まいの家の耐震性に不安がある場合は耐震診断を受け、結果に応じて耐震補強を行うとよいでしょう。
参考コラム>「耐震診断、費用はどれくらい?」耐震診断を行う理由や流れも解説
また、比較的新しい家で耐震性が確保されている場合でも、制震装置を設置することで相乗効果によってさらに地震に強い家とすることができます。
実際に多くの大手ハウスメーカーなどではこの手法が取り入れられており、高い耐震性に合わせて制震装置が標準搭載されているケースが増えています。
制震装置には通常「制震ダンパー」と呼ばれるものを使用します。
制震ダンパーには種類によっては後付け可能なものもあるので、導入するとよいでしょう。
耐震補強工事と同時に制震ダンパーを設置することも可能です。
制震ダンパーの詳細については、お気軽に下記バナーよりお問い合わせ及び資料をご請求ください。
まとめ
今回は減災と防災の違いや、地震における減災のポイントについてお伝えしました。
地震をはじめ自然災害の多い日本においては、回避できる災害は「防災」で回避し、もし災害に遭っても「減災」で被害を最小限にするという考えに基づき、日頃から対策をしておくことがとても大事です。
特に減災に関する取り組みは、実際に災害が起きた場合においてとても現実的な取り組みです。
平時である今だからこそ防災そして減災について取り組み、自助・共助ができる体制を整えておくとよいでしょう。
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関連コラム>制振ダンパーの施工画像20選を住宅タイプ別に紹介!地震後の画像もあり
関連コラム>制震ダンパー ランキング オイルダンパーはαDamperExIIが第一位
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