家を建てる前に知っておきたい地震対策10選|木造の家を地震に強くする方法
今後、大規模な地震の発生が懸念されている日本において、家への地震対策は避けては通れない大切な課題です。
日本の戸建住宅の80%近くが木造住宅と言われており、これから家を建てる人の多くは木造住宅を建てるのではないでしょうか。
そこで今回のコラムでは、家を建てる前に必ず知っておきたい木造の家への地震対策として、「地震により強くするための地震対策10選」について解説していきます。
これから家を建てる方、家を建てたいとお考えの方、そして地震に対するリテラシーを高めたい方はぜひご参考下さい。
・家への地震対策がわかります。
・地震に強い家にするための方法がわかります。
目次
日本で懸念されている大規模地震は5つ
内閣府は、今後日本で発生が懸念されている、あるいは発生の切迫性が指摘されている大規模地震として次の5つを挙げています。
- 南海トラフ地震
- 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震
- 首都直下地震
- 相模トラフ沿いの海溝型地震
- 中部圏・近畿圏直下地震
その中でも普段からよく耳にする「南海トラフ地震」と「首都直下地震」は30年以内に発生する確率が70%程度、「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地」においても30年以内に発生する確率は最大で60%と非常に高い確率が示されています。
「相模トラフ沿いの海溝型地震」では30年以内の派生確率が0~5%と低くなっていますが、だからといって安心という訳ではありません。
なぜなら2016年に発生した「熊本地震」では、30年以内の発生確率が1%未満であったにもかかわらず、震度7の地震が立て続けに2回も起きるという事態が起こったのです。
このように想定されているだけでも5つの大規模地震があり、特に海溝型地震では広範囲にわたる揺れや被害が想定されており、地震への油断は許されない状況ではないでしょうか。
また、これら以外にも日々日本のどこかで中程度の地震が発生しています。
建てる前に知っておきたい家への地震対策10選
日本では技術が向上し、地震の発生前にアラートが発令されるようになりましたが、それでも地震は昼夜を問わず突然にやってきます。
私たちが家で過ごす時間は年代や職業等によって個人差はあれど、およそ80%近くの人が12時間以上を家で過ごすという調査結果も出ています。
そんな「家」をより地震に強くするための地震対策として、次の10の項目について知っておく必要があります。
- 家の形
- 家の基礎
- 屋根の軽量化
- 壁・窓の強化
- 耐力壁の位置と量
- 1階に大空間をつくらない
- 地盤の確認
- 耐震等級
- 免震
- 制震
では、それぞれについてもう少し詳しくみていきたいと思います。
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家への地震対策① 家の形
まず家への地震対策として知っておきたいのが、地震に強い「家の形」があるということです。
ご存知の通り、家の形には様々ありますが、その中でも地震に強いのが「シンプルな形」です。
具体的には次のポイントが挙げられます。
- 上から見て正方形や長方形に近い家の形(平面図)
- 横から見た側面にも凹凸が少ない家の形
反対に、上階部が張り出したオーバハング型の家、 コの字型の家、L字型の家というように、凹凸のある家の形は、シンプルな正方形や長方形と比較した場合、地震の衝撃を受けやすいといわれています。
シンプルな家の形が地震に強い理由として、家が持つ地震の揺れへの耐力が挙げられます。
家の形が長方形や正方形などシンプルであれば、家の各面が一体となって支えるため地震の衝撃を受けにくくなり、揺れが壁面や地面へスムーズに流れるため、地震に耐えやすくなると言われています。
平面で見た場合にシンプルな形で、かつ上下階で凹凸のない総二階の家や平屋の家は、地震に強い家の形の代表格とも言えます。
家への地震対策で家の形についてもっと知りたいという方は、下記のコラムもご参照ください。
家への地震対策② 家の基礎
家の「基礎」も、地震対策に欠かせないポイントのひとつです。
建築物の基礎には「直接基礎」と「杭基礎」とがあり、一般的な家の基礎ではほとんどの場合で「直接基礎」が用いられます。
直接基礎の種類には次の3つがあります。
- 独立基礎:柱の位置に単独で設けられた基礎。柱のポイントで支える。
- 布基礎:Tの字を逆にした断面形状の鉄筋コンクリートが連続して設けられた基礎。「点」で支える。
- ベタ基礎:家の底面全体に鉄筋コンクリートを流し込んだ基礎。「面」で支える。
この中でも一般的な木造住宅でよく用いられているのは「布基礎」と「ベタ基礎」です。
では布基礎とベタ基礎とでは、どちらが地震により強いのでしょうか。
答えは「ベタ基礎」です。
ベタ基礎は底面全体で住宅を支えるため、耐震性に優れているだけでなく不同沈下も起こりにくいです。
また、木造住宅で注意が必要なシロアリ被害や、湿気による被害を防止する効果も高くなります。
シロアリ被害や湿気は木部の劣化につながり、ひいては耐震性をおびやかす一因となるので、こうした面も含めて総合的にベタ基礎の方が耐震性に優れているといえます。
家の基礎についてもっと知りたいという方は、下記のコラムもご参照ください。
家への地震対策③ 屋根の軽量化
家への地震対策として意外と見落としがちなのが、「屋根の軽量化」です。
柱などの構造躯体の条件が同一の場合、屋根の重さが軽い方が耐震性が高くなります。
屋根が重いと家の重心が高くなり地震の力を強く受けるため、地震の揺れが大きくるのです。
次の計算式は、地震の時に建物にかかる大きさを算出するものです。
- 建物の重さ × 地震の加速度 = 地震時に建物にかかる大きさ
つまり同じ揺れの場合、建物が重いほど大きな力が建物にかかるというわけです。
屋根が重いとその分建物の重さが重くなるというのは、簡単に想像できます。
屋根が軽くなることで重心が低くなり、建物への負荷も減り、耐震性が向上するというわけです。
屋根の重さの目安は次の順の通りです。
- 土葺き屋根 > 瓦屋根・セメント瓦 > スレート > 金属屋根(ガルバリウムなど)
もちろん躯体の剛性によって異なりますが、躯体の条件が同じ場合は軽い素材を選択すると耐震性が向上します。
家への地震対策④ 壁・窓の強化
家の地震対策として「壁の強化」が大切なことは多くの方がご存知なのではないでしょうか。
家は柱だけでは地震に弱いため、柱と柱の間に筋交いと呼ばれる角材を取り付けたり、耐力面材と呼ばれる柱と柱の間に張るパネルによって壁を補強し、建物の強度を高めています。
次項でもご説明しますが、木造軸組工法では筋交いを入れた壁を耐力壁と言います。
一方で、窓を増やしたり大きくしたりすると、耐震性が下がると言われています。
家の設計中には「耐力壁があるために窓を小さくしなければならない」「耐震性を保つために大きな窓を設置できない」といったケースがあります。
そこで「窓の強化」も地震対策のひとつとして挙げられます。
正確には窓本体の強化ではなく窓のある部分の耐震性を高める方法となりますが、柱や梁の内側の壁部分に「耐震補強フレーム」と呼ばれる耐震用のフレームを取り付ける方法があります。
こうしたフレームを用いることで、大きな窓による耐震性の低下を防ぎ、耐震性を保ちながら採光性や風通しを確保することができます。
家への地震対策⑤ 耐力壁の位置と量
家の地震対策として、「耐力壁の位置と量」も大きく関与します。
耐力壁とは、建物を支える役割を持った壁のことです。
前述の通り一般的な木造軸組工法での耐力壁には、筋交いを入れた壁や、構造用合板やMDF(木質中質繊維板)などの面材を使った壁、金属製の筋交いを入れた壁などがあります。
耐震基準を守るためにも、家には必ず耐力壁が設置されていますが、耐力壁の位置が1階と2階で合致していると耐震性がより高くなります。
耐力壁についてもっと知りたいという方は、下記のコラムもご参照ください。
家への地震対策⑥ 1階に大空間をつくらない
家の間取りを考えるときに、「1階部分へ大空間をつくらない」というのも地震に強い家にするための対策のひとつです。
広々としたリビングや大きな吹き抜けは、マイホームを考えたときに憧れる部分でもあります。
しかし1階部分へ大空間をつくると柱や壁の数量が減ってしまうため、耐震性という面から考えると強度の確保という面で弱くなってしまいます。
1階部分へ大空間を作りたい場合は、それらに対応した構造のハウスメーカーを選択するなどの方法をとるとよいでしょう。
また、木造の家でも1階が駐車場となっている、いわゆるピロティ型の家も中にはあります。
ピロティ型の建物は敷地を有効に使えるほかデザイン性も高くなりますが、耐震面では劣ってしまいます。
1995年に起きた阪神淡路大震災では旧耐震基準で建てられた家屋に被害が多くみられましたが、ピロティ型の建物でも被害の集中が見られました。
こうしたデザインを取り入れたい場合は、1階の柱部分のみ鉄骨造にする、あるいは柱ではなく壁も多用するなど、ハウスメーカーや設計の方へ耐震性をよく相談しておくと良いでしょう。
家への地震対策⑦ 地盤の確認
これから家を建てる場合、「地盤」も地震対策として重要なポイントです。
いくら家自体に地震対策を施しても、その家を建てる地盤が弱ければ、地盤沈下や液状化など地震による被害を受けやすくなります。
これらは家の傾きだけでなく、倒壊に至る可能性もあるため必ず確認しておきたいポイントです。
以下に一般的に注意が必要な地盤の例をいくつか挙げます。
- 軟弱な土が厚く重なる地盤
- 不均一な地盤(年数の違う盛土、材質の異なる地盤など)
- 切土と盛土が混在している地盤
- 廃棄物などの不純物が埋まっている地盤盛土材料が不良な地盤
- 造成の経緯が不明な地盤
- 山・崖のそばなどの傾斜地
- 砂地盤(埋立地、干拓地、砂丘、砂州間の低地など)
- 海沿いの低湿地
- 内陸の平野部(一部条件による)
このような地盤の場合、専門家によるしっかりとした調査や、場合によっては地盤改良をおこなう必要があります。
なお、これから建てる地盤について調べるには、次の3つをご参照ください。
- 古い地図で過去の土地を確認する
- 地名(旧地名)を確認する
- ハザードマップで確認する
特にハザードマップについては、国土交通省による「ハザードマップポータルサイト」や「わがまちハザードマップ」 や、ジャパンホームシールド株式会社が提供している「地盤サポートマップ」で確認することが可能です。
地盤についてもっと知りたいという方は、下記のコラムもご参照ください。
家への地震対策⑧ 耐震等級
家への地震対策として、「耐震等級」の確認もひとつの目安となります。
耐震等級とは、2000年「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」およびそれに基づいた「住宅性能表示制度」に沿って制定された、地震に対する建物の強度を示す指標のひとつです。
耐震等級には1~3までのレベルが設けられており、耐震等級3>耐震等級2>耐震等級1の順に耐震性が高くなっています。
各等級の内容は以下の通りです。
耐震等級1 | 震度6強~7程度の数百年に一度レベルの地震ではすぐに倒壊や崩壊をしない 震度5程度の数十年に一度発生する地震ではすぐに住宅が損傷しない ※現行の建築基準法で定められた最低限の耐震性能を満たしている |
耐震等級2 | 「耐震等級1の1.25倍」の地震が起きてもすぐに建物が倒壊や損壊、損傷しない |
耐震等級3 | 「耐震等級1の1.5倍」の地震が起きてもすぐに建物が倒壊や損壊、損傷しない |
なお、耐震等級1は現行の建築基準法で定められた耐震基準と同等の内容になるため、耐震等級1であれば、建築基準法で定められた最低限の耐震性を満たしているということになります。
また、耐震等級2からは長期優良住宅の認定基準となります。
耐震基準、長期優良住宅については下記のコラムもご参考下さい。
家への地震対策⑨ 免震
家への地震対策として、「免震」の技術を取り入れるという方法もあります。
免震:基礎と地面の間に免震装置を設置して建物と地面を切り離し、建物に揺れを伝えないようにする技術
免震装置には通常、アイソレータやダンパーが用いられます。
地盤と建物が絶縁しているため他の工法より揺れを大きく軽減できるので、大きな地震に対して優れた効果を発揮し、地震の揺れを制御するとても優れた技術です。
一方で免震の技術は費用・工事共に大きくなるため、一般的にマンションなどの高層ビルや大型の建物によく用いられでいます。
戸建て住宅で免震技術を取り入れるには高コストで様々な制約も伴うのであまり一般的ではありませんが、一部導入しているハウスメーカー等もあります。
免震について詳しく知りたいという方は、下記のコラムもご参考下さい。
家への地震対策⑩ 制震
家への地震対策として近年ニーズが高まっているのが「制震」の技術を取り入れる方法です。
制震:構造部に制震(制振)装置を設置し、地震の揺れを吸収して抑制する技術
制震装置には通常、制震ダンパーが用いられます。
地震の揺れにより建物の構造部が変形した際、制震装置も一緒に変形することで地震のエネルギーを吸収して受け流し、構造部の損傷を低減します。
制震の技術はもともと高層ビルなどの大黄な建物等で用いられていましたが、耐震との相性の良さ、そして制震ダンパーの小型化など技術の向上から、近年は木造の戸建て住宅でも積極的に取り入れられています。
制震装置を設置することで、耐震だけでは補えなかった大規模な地震や繰り返しの地震にも効果を発揮します。
制震装置(制震ダンパー)について詳しく知りたい、興味があるという方は、下記の資料請求バナーよりお気軽にお問い合わせください。
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まとめ
今回はこれから家を建てる人へ向けて、ぜひ知っておいてほしい家への地震対策10選をご紹介しました。
繰り返しになりますが、地震はいつどのような規模で発生するかわかりません。
今後も懸念されている地震以外にも、各地でさまざまな地震が発生する可能性があります。
家族が安心して住むことのできる家のために、マイホームをお考えの際はぜひ今回の記事をご参考下さい。
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大切なあなたの家族を守りたい ―KEEP YOUR SMILE―
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