地震における「半割れ」とは?南海トラフ地震で警戒される理由と対策
日本の各地で起きている地震。
大規模地震の発生も徐々に真実味を帯びてくる昨今、覚えておきたい現象として「半割れ」というワードを聞いたことはあるでしょうか?
半割れはとはおもに南海トラフ地震において恐れられている現象ですが、意外と周知されていません。
そこでこの記事では半割れとはどのような現象でどのような対策をしておけばよいかについて解説します。
・南海トラフで懸念されている半割れとはどのような現象かがわかります。
・半割れへの対策として必要なことがわかります。
※南海トラフ地震に備えて住まいの地震対策をお探しの方は、地震の揺れを吸収して減衰する「制震ダンパー」の設置がおすすめです。
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目次
半割れとは
国では、南海トラフで発生する地震を規模や被害に応じて、次の4つに分類しています。
全割れ | 南海トラフの想定震源域の広い範囲が破壊され、南海トラフ沿いのすべての地域で被害が生じている。 |
半割れ | 南海トラフの想定震源域のうち破壊されていない領域があり、南海トラフ沿いに、大きな被害が出ている地域と、まだ被害が出ていない地域がある。 |
一部割れ | 南海トラフの想定震源域のうち狭い領域のみが破壊され、被害が出ている地域は南海トラフ全体と比べれば、限られた範囲。 |
局所割れ | 破壊はごく限られた領域のみであり、震源近傍においても被害はほとんどない。 |
この中で最も警戒が必要だと懸念されているのが「半割れ」です。
半割れとは、南海トラフ地震の想定震源域の片方で、マグニチュード8以上の巨大地震が時間差で起きるケースのことです。
半割れの例として、上の図をご覧ください。
水色部分が南海トラフ地震の想定震源域で、東西に広範囲にわたって想定されています。
半割れでは、A-Bのラインで分けられた西側と東側の震源域が、それぞれに時間差で大きく揺れるのです。
気象庁では南海トラフ地震発生の可能性が高まると「南海トラフ地震臨時情報」を発令しますが、その中でも南海トラフの想定震源域で半割れが起きた場合、もう片方でも連動して大規模な地震が起きる恐れがあるため、気象庁は「南海トラフ地震臨時情報」に最も危険である「巨大地震警戒」というワードを付けて発表することになっています。
この臨時情報では、津波からの避難が間に合わない地域に対して1週間の事前避難を呼びかけます。
「南海トラフ地震臨時情報」に関しては、次のコラムもご参照ください。
半割れで懸念される被害とは
半割れがこれほどまでに警戒されているのは、「巨大地震が時間差で連発する」からです。
たとえば1回目の半割れの地震で大規模な地震が発生した後に、少し時間をおいて、残り半分のまだ地震が起きていない領域でも地震が発生します。
つまり、南海トラフ地震で想定されいるマグニチュード8クラスの巨大地震が、時間差で相次ぐということになります。
通常、巨大地震の発生後に予測される被害として、大きく分けて次の項目が挙げられます。
- 人的被害(死者、負傷者、要救助者、要捜索者など)
- 物的被害(建物被害、地震火災、ブロック 塀・自動販売機等の転倒、屋外落下物の発生など)
- 津波被害
- 交通インフラへの被害(道路、鉄道など)
- ライフラインへの被害(電気、ガス、上下水道、通信)
これらに加え、更に半割れによる巨大地震の連発が起きた場合、次のような被害が深刻となることが予想されています。
- 建物の倒壊
- 救助・支援の滞り
では次項より、それぞれをもう少し詳しく掘り下げてみたいと思います。
建物の倒壊
皆さんは2016年に起きた熊本地震で、建物の倒壊被害が大きかったのを覚えているでしょうか。
熊本地震では震度7を観測する巨大地震が、4月14日21時26分および4月16日未明と、立て続けに発生しました。
このため建物の耐震化が進んでいるにもかかわらず、建物倒壊の被害が甚大なものとなりました。
一度巨大地震によるダメージを受けた建物に、立て続けに再び大きな揺れが加わることで、建物が耐え切れなくなり倒壊してしまうのです。
南海トラフ地震で半割れが起きて巨大地震が連続して発生してしまうと、大きな揺れを受けつつも倒壊を免れた建物に追い打ちをかけるように、再び大きな揺れが建物を襲い、ついには倒壊してしまう…という事態が多発することが予想されます。
救助・支援の滞り
巨大地震では交通インフラへの被害によって、救助活動や支援物資がスムーズにいかないケースもありました。
何度も大きな震災を経て、あらゆるケースごとに対策が講じられているものの、半割れによって時間差で大きな地震を受けたときの状況はやはり計り知れません。
また、半割れの場合、2度目の巨大地震に備えて「緊急消防援助隊」の行動計画も変更されます。
「緊急消防援助隊」とは、大規模災害の際に全国から被災地へ応援に駆けつける援助部隊のことで、1995年の阪神淡路大震災後の教訓によって創設されれた部隊です。
緊急消防援助隊とは
出典:総務省消防庁HP『全国各地から駆け付ける「緊急消防援助隊」』より
普段は、皆さんの住む市町村を守る消防士・・・・・・
しかし、大規模災害や特殊災害が発生した場合は、被災地の消防機関では対処できないことがあります。
そんなとき、被災地からの要請を受け、各都道府県の消防本部や航空隊が、空から陸から応援に駆けつけます。
この応援部隊こそが、「緊急消防援助隊」なのです。
南海トラフ地震で半割れが起きた場合、太平洋沿岸の10県の応援部隊(航空小隊以外)は、2度目に起きるであろう巨大地震の備えて地震発生から1週間以内は自県にとどまり、自県での活動にあたるよう定められています。
つまり、それまでの巨大地震では応援に駆け付けていた部隊の一部は、自県にとどまっておかなければならないのです。
その分、最初に大地震の被害に遭った地域の救助活動や支援活動の進みが遅れてしまう可能性があるのです。
過去にもあった半割れ
ご存知の通り、南海トラフ地震はおよそ100年ごとの周期で過去に何度も起きています。
そして半割れも、過去の南海トラフ地震で3度起きているのです。
- 宝永地震(1707年)
- 安政東海地震・安政南海地震(1854年)
- 昭和東南海地震(1944年)・昭和南海地震(1946年)
宝永地震
1707年に起きた宝永地震では地震の規模がマグニチュード8.6、震源域は東海~四国沖、日向灘にまで及んだ可能性があると推定されています。
広範囲にわたる揺れによる被害と津波被害も発生し、建物倒壊や死者数も多数出ています。
特に高知県での被害が大きく、高知県だけで11,167棟もの家屋が流され、死者は1,844名にものぼったとこのこです。
このように広範囲で甚大な被害を宝永地震では、すべての震源域が数十秒で連動して揺れたとされています。
安政東海地震・安政南海地震
1854年に起きた安政東海地震では、地震の規模がマグニチュード8.4、震源域は紀伊半島~駿河湾(東側)と推定されています。
また、安政南海地震では地震の規模がマグニチュード8.4、震源域は四国沖~紀伊半島(西側)と推定されています。
東側の安政東海地震は1854年12月23日、そして西側の安政南海地震は安政東海地震の約32時間後にあたる12月24日に発生しています。
マグニチュード8.4規模の巨大地震が、32時間余りの間で実に2回も発生したということです。
この地震でも広範囲で強い揺れによる被害が多発し、両地震ともに津波も発生しています。
昭和東南海地震・昭和南海地震
1944年12月7日に昭和東南海地震が発生し、その2年後である1946年12月21日に昭和南海地震が発生しています。
1944年の昭和東南海地震はマグニチュード7.9、 震源域は静岡県西部~紀伊半島東部と推定されており、この地震による死者は998名、家屋の全壊が約26,000棟、津波による家屋の流失は約3,000棟となっています。
また、1946年の昭和南海地震ではマグニチュード8.0、 震源域は紀伊半島~高知県中部沖と推定されており、この地震による死者1,330名、家屋の全壊約11,500棟、家屋の流失約1,450棟となっています。
いずれの地震でも広範囲で甚大な被害が発生し、高い津波被害も記録されています。
半割れに備えてすべきこととは
では南海トラフ地震で警戒されている半割れに備えて、私たちがしておくべきこととはどんな事でしょうか。
それは、「地震対策の底上げ」です。
地震対策の底上げには、
- 足りていない部分のチェックと取り掛かり
- 今できている備えのボトムアップ
の2つが大切になってきます。
まずは地震への備えを確認しておきましょう。
これらの項目の中で、現状できていること・できていないことをまずは確認しましょう。
出来ていない部分、足りていない部分をチェックし、取り掛かれるものから始めましょう。
また、できていることについても、備蓄品の期限チェックや補充、情報のアップデートなどの最新化を図り、全体の底上げをしておきましょう。
特に家具類の転倒・落下・移動防止対策や、家屋や塀の強度確認は後回しになりがちですが、半割れでは建物倒壊の被害増大が懸念されているため、やはり強化しておきたいところです。
築年数が経過している家屋や耐震性に不安のある家屋は、耐震診断を受けることをおすすめします。
耐震診断を受け、必要であれば耐震補強を施すことで、地震への住まいの耐力は随分改善されます。
耐震診断は自治体等からの補助もあるので、最寄りの役場へ確認してみましょう。
繰り返す地震に備える「制震ダンパー」
耐震補強工事を実施する場合や、耐震性が確保された住宅にあわせて制震装置を設置しておくと、繰り返される地震への対策につながります。
制震装置とはいわゆる「制震ダンパー」のことで、ゴムダンパー、オイルダンパー、鋼材ダンパーなどの種類があります。
制震とは制震装置(制震ダンパー)を設置することで、建物が地震の揺れエネルギーを吸収・抑制する技術です。
地震の揺れを制震装置が吸収することで建物の揺れが低減し、建物へのダメージが軽減され、大規模な地震や繰り返しの地震に対して特に有効です。
建物の耐震性を上げることはとても大切ですが、耐震性を上げるだけで建物にダメージが蓄積され、繰り返し起きる地震に対してはどうしても弱くなってしまいます。
そこで耐震に制震をプラスすることで、繰り返す地震にも効果を発揮し、耐震性の持続性を高めます。
半割れに対する住まいへの備えとして、より期待できる対策方法です。
まとめ
繰り返しになりますが、南海トラフ地震で恐れられている半割れとは、想定震源域の片方でマグニチュード8以上の巨大地震が時間差で起きるケースのことです。
なぜ恐れられているのかは、「巨大地震が時間差で連発する」ことによってさまざまな被害の増大が予測されるためです。
通常の地震はもちろん南海トラフ地震の半割れに対する対策として、地震への備えで今できている物とできてない物を明確化し、できていない部分への取り掛かりと、できている部分のボトムアップを行うことが挙げられます。
また、住まいの半割れ対策としては、耐震診断、必要に応じた耐震補強、そして制震装置の設置が挙げられます。
南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率は、70~80%といわれています。
今できることから始めて、南海トラフ地震、そして最も恐れられている半割れに備えてみてはいかがでしょうか。
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次の耐力壁試験の動画をご覧下さい。
続いて、次の実証実験結果をご覧ください。
耐震工法で建てられた住宅に制震装置『αダンパーExⅡ』 を設置すると、設置前に比べて大きく地震の揺れが軽減されることがわかります。
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