「ダンパー」ってどんな仕組み?建築に用いる制震ダンパーの構造や効果を解説

建築のダンパーの仕組み

皆さんは「ダンパー」と聞くと何を想像するでしょうか。

一言でダンパーといっても、自動車から建築まで様々なダンパーが存在します。

特に建築では制震(制振)や免震などに用いられるダンパーや、空調で用いられるダンパーなど、用途が異なるダンパーがいくつかあります。

今回の記事では建築で用いられるダンパーの中でも「地震対策として用いられるダンパー」に注目し、その仕組みや効果を解説したいと思います。

これからマイホームをお考えの方やご自宅の地震対策に興味のある方はぜひ、ご参考下さい。

この記事を読んだらわかること

・建築に用いるダンパーの仕組みがわかります。
・ダンパーによる効果がわかります。

様々な用途に用いられる「ダンパー」

「ダンパー」は様々な用途で用いられていますが、基本的に「振動などの運動エネルギーを減衰させるもの」という意味合いがあり、振動する機械構造や建築物の振動を減衰する装置として用いられています。

ダンパーは建築では制震ダンパー・免震ダンパーなどの地震対策の他、空調における風量調節装置として用いられるダンパーもあります。

また、自動車・バイク・鉄道・飛行機などに用いられるダンパーは、振動を減衰させて、衝撃や振動の振幅を軽減するための装置です。

特に自動車ではステアリングに付けるステアリングダンパー等もありますが、主にショックアブソーバーの別名として多く使われています。

建築で地震対策として用いられる「制震ダンパー」と「免震ダンパー」

ビルや戸建て住宅など、建築の地震対策においては「耐震」「制震」「免震」の3つの技術が3本柱となっています。

耐震・制震・免震をそれぞれ簡単に説明すると、次のようになります。

  • 耐震:建物そのものの強度を高めることで地震の揺れに耐えられるようにする技術
  • 制震:建物に制震装置を設置し、地震の揺れを吸収して抑制する技術
  • 免震:建物と地盤の間に免震装置を設置し、地震の揺れを建物に伝えないようにする技術

※耐震・制震・免震については下記コラムもご参照下さい。

【関連コラム】
結局「耐震・免震・制震」のどれがいいの?効果的な組み合わせの解説と実例を紹介

この中でもダンパーが用いられる技術は「制震」と「免震」で、それぞれに「制震ダンパー」「免震ダンパー」が用いられます。

制震ダンパー・免震ダンパーともに、「地震の揺れを吸収する」という役割を担っています。

免震ダンパーは建物の地下などに設置し、装置が伸縮することで地震のエネルギーを吸収します。

免震ではダンパーとともに、水平方向に大きく変形して地震の揺れを逃がす「アイソレータ」と呼ばれる装置もあわせて設置されるケースが多いです。

制震ダンパーは地上の柱などの構造部に設置し、装置が伸縮することで地震のエネルギーを吸収し、建物各階の変形を抑えることで揺れを少なくします。

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戸建て住宅に多く用いられているのは「制震ダンパー」

制震ダンパーの施工例

上記の地震対策3本柱の内、耐震の技術は全ての建物の基本であり、戸建てからビルまであらゆる建物は耐震性が高められています。

耐震に関しては、建築基準法においても耐震基準が設けられているほか、さまざまな法や制度で耐震性の向上が図られています。

つまり耐震をベースに、耐震+免震、耐震+免震+制震、耐震+制震というように組み合わせて建物の地震対策が取られています。

中でも「免震」は、基本的にビルやマンション、商業施設などの大きな建物で用いられています。

そして「制震」もかつては免震と同様でしたが、近年は制震ダンパーの小型化など技術が進み、戸建て住宅にも取り入れられるようになりました。

大手ハウスメーカー等では制振ダンパーが標準装備されているところも増えています。

制震ダンパーの種類と仕組み・特徴とは

制震ダンパーのイメージ図

ダンパーにはさまざまな種類があり、建築に用いるダンパーにもいくつか種類があることをお伝えしてきました。

そして近年戸建て住宅でも用いられている「制震ダンパー」にも、更にいくつか種類があります。

ここからは制震ダンパーの種類や仕組み、そして効果についてお伝えしていきます。

制震ダンパーは使われる素材によってゴムダンパー、制震テープなどいくつか種類がありますが、代表的な制震ダンパーとして「オイルダンパー」「粘弾性ダンパー」「鋼材(金属)ダンパー」の3つが挙げられます。

オイルダンパーの仕組み・特徴とは

まずはオイルダンパーの仕組みから見てみましょう。

オイルダンパーは、シリンダーのような筒状の容器に充てんしたオイルと、ピストンの抵抗を利用した仕組みの制震ダンパーです。

揺れを受けるとピストンが作動して、筒状の容器に開けられた穴からオイルが移動してオイルの溜まっている場所のバランスが変わり、圧力が生まれます。

オイルが通る穴の大きさや形状、オイルの粘着度によってピストンの作動状態が変わります。

そしてその結果、地震の揺れを吸収する効果の高さが変わるという複雑な仕組みです。

このような構造によって、住宅などの建物が地震や揺れによってダメージを受けるのを軽減する仕組みになっています。

オイルダンパーには次のような特徴があります。

  • コンパクト
  • 小さな揺れにも反応
  • 繰り返しの揺れにも効果を発揮

まず、他の2種と比較してサイズが小さくコンパクトという特徴があります。

新築時には間取りや設計に影響なく取り付けができ、サイズがコンパクトなため施工性も高いです。

また、そのコンパクトさから既存住宅への設置も可能な製品が多く、リフォーム時には一部の壁を取り壊すだけで取り付けができます。

オイルダンパーは地震だけでなく、強風などの小さな揺れも反応して吸収します。

そのため、余震や比較的小さな地震など、繰り返し起きる揺れに対しても効果を発揮し、徐々に建物に蓄積されるダメージを防ぎます。

粘弾性ダンパーの仕組み・特徴とは

粘弾性ダンパーとは、ゴムやシリコンなど粘弾性の高い素材を使い、素材の持つ弾力性によって地震の揺れを吸収する仕組みの制震ダンパーです。

粘弾性ダンパーには次のような特徴があります。

  • サイズが比較的大きい
  • 繰り返しの揺れにも効果を発揮
  • 新築時以外では工事が大掛かりになりやすい
  • 温度の影響を受ける

まず、粘弾性ダンパーはサイズが比較的大きいものが多くなります。

そのため新築時以外の施工では、壁を剥がす範囲が大きくなるなど工事が大掛かりになりやすくなってしまうという特徴があります。

ゴムなどの粘弾性素材は伸び縮みするとゆっくり元に戻るため、オイルダンパーと同様に繰り返しの揺れにも効果を発揮します。

一方で素材の性質上、温度の影響を受けやすいといった特徴もあります。

こうした素材は暑さや寒さによって伸びたり縮んだりする為、地域の気候や素材の配合によって効果の高さが変わったり、劣化の速度が早まったりする可能性があります。

鋼材(金属)ダンパーの仕組み・特徴とは

鋼材(金属)ダンパーは、金属が曲がるときの力を熱エネルギーに変えることで揺れを吸収する仕組みの制震ダンパーです。

鋼材(金属)ダンパーには次のような特徴があります。

  • サイズが大きい
  • 大地震発生時には特長を発揮
  • 小さい揺れへの効果が薄い
  • 比較的安価

鋼材ダンパーはサイズが大きい為、設計や間取りに影響が出ることがあります。

粘弾性ダンパーと同様にリフォームの場合には、壁を剥がす範囲が大きくなるなど大掛かりな工事になり、製品によっては既存住宅への設置が難しいこともあります。

鋼材ダンパーの場合、金属は一定以上の力が加わらないと折れ曲がりが始まらないため、小さな揺れへの反応は効果が期待できません。

反対に大きな揺れにはよく反応するため、大地震の発生時には効果を発揮します。

一方で大きな揺れを繰り返し受け続けると、金属疲労によって折れてしまう恐れもあります。

また、鋼材ダンパーは他の2種と比べると比較的安価に導入できるという特徴もあります。

制震ダンパーの効果とは?

制震ダンパーの効果

上記のような特徴を持つ制震ダンパーをマイホームに設置すると、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。

耐震性を弱点を補い効果の持続性を高める

制震ダンパーの中でも戸建て住宅にも多く用いられている「オイルダンパー」や「粘弾性ダンパー」は、繰り返しの揺れにも効果を発揮するという特徴もあります。

繰り返しになりますが、制震ダンパーは「地震の揺れを吸収」して揺れを抑制します。

これによって建物に伝わる揺れを軽減し、構造部の損傷を低減します。

実は建築の地震対策の3本柱のひとつで、かつ地震対策のベースとなる「耐震」「繰り返しの揺れに弱い」という弱点があります。

耐震性は建物が頑丈になる分、地震によって受けたダメージを蓄積してしまうためです。

しかし制震ダンパーと組み合わせることで、建物へのダメージの蓄積を低減し、耐震性をより長く維持することができます。

つまり、耐震・制震それぞれが持つ技術の長所を活かしつつ、弱点を補う相乗効果によってより地震に強い住宅を実現させることができるのです。

こうした理由からも、昨今、「耐震+制震ダンパー」の組み合わせがスタンダードになりつつあります。

まとめ

今回は建築に用いられるダンパーの中でも、地震対策の目的で使用されるダンパーについて解説しました。

建築の地震対策には「免震ダンパー」と「制震ダンパー」があり、一般的な戸建住宅では「制震ダンパー」が主に用いられています。

戸建て住宅に設置する「制震ダンパー」にも素材や形状によって種類があり、主に用いられているものとして「オイルダンパー」「粘弾性ダンパー」「鋼材(金属)ダンパー」が挙げられます。

それぞれに揺れを吸収する仕組みが取り入れられていますが、特にオイルダンパーはサイズがコンパクトなため既存住宅への設置が可能な製品が多くなっています。

いずれも耐震性が高められた住宅へ設置することで相乗効果を発揮するため、より地震に強い家にすることが可能です。

これから新築のマイホームを建てる場合は制震ダンパーが設置されるかどうか、設置される場合はその種類も確認してみましょう。

設置されない場合でも、新築工事とあわせて既存の製品を設置することが可能です。

また、これから耐震補強やリフォームをする場合にも、あわせて制震ダンパーの設置をご検討されてみてはいかがでしょうか。

住まいの制震に欠かせない制震ダンパー「αダンパーExⅡ」

お伝えした通り、新築だけでなく最近ではリフォームやリノベーション、耐震工事とあわせて制震ダンパーを設置するケースも増えています。

大事な住まいに設置する制震ダンパーはどんなものでもよいわけではありません。

  • 信頼性のあるエビデンスに基づいた性能
  • 確固たる実績

を必ずご確認ください。

制震ダンパーについて詳しく知りたい方は、下記バナーよりお気軽にお問い合わせください。

資料の送付やご質問の受付をおこなっております。

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」

トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は特殊オイルを用いたオイルダンパーです。

「αダンパーExⅡ」は東京工業大学・静岡大学・豊田工業高等専門学校・岐阜県立森林文化アカデミーなどの数多くの学術研究機関による性能試験をクリアし、その確かな性能が認められています。

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」の特徴を簡単にまとめました。


  • 建物の変形を約1/2に低減し、建物の損傷を大幅に軽減する高い性能
  • 副資材が不要、半人工以下の簡易施工を実現する施工性の高さ
  • 120年の製品保証とメンテナンスフリーの実現による耐久性の高さ
  • コストパフォーマンスの高さ
  • さまざまな研究機関などで実施した実証実験による信頼性
  • 18,000棟以上にもおよぶ採用実績
  • 新築へも既存住宅へもフレキシブルに施工可能

次の耐力壁試験の動画をご覧下さい。

続いて、次の実証実験結果をご覧ください。

耐震工法で建てられた住宅に制震装置『αダンパーExⅡ』 を設置すると、設置前に比べて大きく地震の揺れが軽減されることがわかります。

(※radとは、radian(ラジアン:層間変形角を意味する国際単位)の略で、柱の傾きを示し、分母の数字が大きくなるほど実際の傾きは少なくなります。)

このように数ある制震ダンパーの中でもトキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は十分な採用実績、きちんとした裏付けに基づいた安心の技術でお施主様のご自宅をお守りします。

参考コラム】
制振ダンパーの施工画像20選を住宅タイプ別に紹介!地震後の画像もあり
制震ダンパー ランキング オイルダンパーはαDamperExIIが第一位

大切なあなたの家族を守りたい ―KEEP YOUR SMILE―

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」

いつ起きるかわからない地震。

恐ろしい地震から、誰もが家族や住宅を守りたいと願うものです。

この機会に、ご自宅に制震ダンパーを取り入れてみませんか?

「この住宅には設置できるの?」

「取り入れてみたいけれどどうやって設置するの?」

などご質問やご不明な点等ございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせフォームはこちらからどうぞ。

資料請求フォームからもご質問等受け付けております。

 

監修者情報

株式会社トキワシステム

株式会社トキワシステム

制震ダンパー・地震対策の情報について発信しています。
トキワシステムが提供する制震ダンパー『αダンパーExⅡ』は、地震から建物を守り、住まいの安心と安全をご提供いたします。

保有資格
・二級建築士
・フォークリフト運転技能者
・木材加工用機械作業主任者
・第二種電気工事士

受賞歴
・GOOD DESIGN AWARD 2021