耐震金物ってなんだろう?種類や効果を解説|より地震に強い家にするには?

日本の戸建て住宅の実に8割近くが木造と言われており、その耐震性も年々高まってきています。

木造戸建て住宅の耐震性を高めるにはさまざまな手法や技術が用いられますが、その中のひとつに耐震金物があります。

しかし耐震金物は見えない部分でもあり、その役割や効果などはあまり知られていないのが実情です。

そこで今回のコラムでは耐震金物に注目し、種類や耐震に関する効果について解説していきます。

あわせて取り入れたい、より地震に強い家にするための方法についてもご紹介しますので、これから家を建てようとお考えの方やお住まいの家に耐震補強を施したいとお考えの方はぜひ、ご参考下さい。

この記事を読んだらわかること

・耐震金物について種類や効果を知ることができます。
・より地震に強い家にするための方法がわかります。

 

耐震金物とは

耐震金物とは耐震補強金物や接合金物とも呼ばれ、「地震に揺れによる接合部のゆるみや抜けを防いで耐震性を向上するために使用する金物」のことです。

つまり、ただ単に部材同士の取り合い部分をつなぐためだけのものではないのです。

耐震金物に関しては、2000年(平成12年)6月1日より施行された建築基準法施行令第四十七条第一項の規定に基づく「建設省告示第1460号」(出典:国土交通省:木造の継手及び仕口の構造方法を定める件)によって、木造住宅用において耐震金物を正しく施工することが義務付けられています。

耐震金物の効果

耐震金物によって、

  • 建物の耐震性の向上
  • 安全な住環境の確保

といった効果が得られます。

木造の戸建て住宅では耐震性や建物の強度という点において、木材の部材同士の接合部(つなぎ目)は弱点となりがちです。

地震による揺れや台風等の強風による揺れによって接合部が緩むと、建物倒壊の危険性も高まってしまいます。

そこで耐震金物を用いて接合部を強固にすることによってこのような木造住宅の弱点部分を補い、耐震性を向上させます。

柱や梁の強度が向上したりすることで地震発生時の建物の揺れを抑制することもでき、建物全体の耐震性が高くなります。

また、建物の耐震性が向上することで建物倒壊を防止することができ、中の居住者の安全を確保することができます。

耐震金物の種類

耐震金物を用いる箇所は、主に「柱と梁」「柱と基礎(土台)」「筋交い」です。

耐震金物には使用する箇所や目的別に様々な種類があり、代表的なもには次のものが挙げられます。

  • 筋交い金物
  • ホールダウン金物
  • アンカーボルト
  • 仕口金物

ではそれぞれについてもう少し詳しく解説していきます。

筋交い金物

筋交い金物

筋交い金物は、筋交いの接合部を強化するために用いる金物です。

筋交いとは柱と柱の間に斜めに入れる補強材のことで、筋交いをいれることで耐力壁などの変形を防止し、建物の強度と耐震性を増します。

筋交い金物には「平形」「箱型」「L字型」などの種類があり、接合する部分によって適したものを用います。

【関連コラム】
耐力壁は大事?筋交いとは?耐震性を高めより地震に強い住宅にする方法とは

ホールダウン金物

ホールダウン金物

ホールダウン金物とは、地震の揺れによるいわゆる「引き抜きの力」によって柱が土台(基礎)や梁から抜けないよう、柱と土台、柱と梁を強く固定するために用いる金物で、通常は柱の上下に設置されます。

冒頭でお伝えした2000年の建設省告示によって義務化されたため、それ以降に建てられた木造住宅には必ずホールダウン金物が設置されています。

1995年に発生した阪神淡路大震災では建物倒壊の被害が著しかったのですが、特に旧耐震基準で建てられてた木造住宅を中心に被害が広がっていました。

そんな中でもホールダウン金物が使用されている住宅(3階建て住宅など)では、倒壊被害があまり見られなかったとのことです。

このことからもホールダウン金物が耐震性に大きく影響していることがわかります。

アンカーボルト

アンカーボルト

アンカーボルトとは、木造住宅の基礎と建物本体(土台)をつなげるボルトのことです。

アンカーボルトもホールダウン金物と同様に建物と基礎との緊結ですが、アンカーボルトは建物本体(土台)と基礎を固定し、地震の揺れ等によるずれを防ぎ建物が倒壊するのを防ぎます。

いくら住宅にさまざまな耐震対策を施したとしても、基礎と建物本体(土台)がきちんと固定されていなければまったく意味をなさないことになるため、アンカーボルトは大事な役割を担っています。

仕口金物

仕口金物

仕口とは、柱と梁の交点のことです。

仕口金物とは、地震などの揺れによって梁が抜けてしまわないよう、そうした接合部を補強し強固にするために用いる金物です。

風揺れや地震時の建物の変形を小さくして、揺れを早く止めます。

仕口金物には羽子板のような形をした「羽子板ボルト」をはじめ、「L型」「T型」などの種類があり、それぞれの箇所に応じた仕口金物を用いて補強します。

また、最近ではより耐震性を向上させるために、ただ強固にするだけでなく揺れを吸収するための粘弾性体が接着された「仕口ダンパー」と呼ばれる仕口金物もよく用いられています。

ハウスメーカー独自の耐震金物も多い

こうした耐震金物は様々なメーカーのものがありますが、ハウスメーカーによっては独自の耐震金物を開発したり、接合方法に工夫を施しているケースもみられます。

例えば住友林業ではビッグコラムと呼ばれる幅560mmの大断面集成柱と梁を接合する際や、基礎と土台を接合する際にオリジナルの耐震金物を用いて、金物同士を接合するメタルタッチ接合という手法を用いています。

そのほかにも各ハウスメーカーで金物や取り付けに用いるピン、接合方法などにオリジナル性を持たせ、強度の向上や耐震性の向上を図っています。

こうした面からも、耐震金物が耐震性に大きく関与していることがうかがい知れます。

耐震金物の豆知識

お住まいの住宅に耐震補強を施す場合や、中古住宅の購入時などに耐震補強を施す場合でも、耐震金物による補強は比較的コストも抑えながら耐震性を上げることができます

ここまでお伝えしたように耐震金物にはさまざまな種類があり、使う場所や建物の受ける力の大きさなどによって使い分けます。

言い換えると、どこへどのような耐震金物を設置するかによって効果に差が出てしまいます。

質の良い耐震金物を使用しているか、耐久性や強度の高い素材の金物やピンを用いているか、設置個所は適切かといった点が重要になってきます。

その辺りを質問した際に、安心できる回答を得られるハウスメーカーや工務店で施工されることをおすすめします。

まとめ:より地震に強い家にするには「耐震金物」にも注目

これから家を建てるとき、あるいはすでにお住まいの家や既存住宅を購入する際に耐震補修をするとき、より地震に強い家にしたいと誰もが考える事でしょう。

1981年に耐震基準が改正されて以降、新たに建てられる住宅では最低でも耐震等級1レベルの耐震性は確保されています。

それ以上の耐震性も、現在は多くの木造住宅で実現することができます。

ただそうした面だけでなく、耐震性について「どの様な耐震金物を使用しているか」という点にもぜひご注目下さい。

高い耐震性にプラスしたい「制震」の技術

制震

住宅の耐震性を高めるだけで安心ですか?

近年、木造住宅における地震対策として、「耐震+制震」が定着しつつあるのはご存知でしょうか。

仕口金物の解説でお伝えした「仕口ダンパー」とよばれる制震機能の備わった金物が使用されていることからもわかるように、より安全な住宅にするにはただただ住宅の強度を上げる耐震だけでは足りない部分があるのです。

耐震性の高い住宅はその分揺れによるダメージを建物に蓄積していってしまいます。

そのダメージが限度を超えると、建物の損壊や、ひいては倒壊につながってしまいます。

つまり耐震性の向上だけでは、何度も何度も地震にあうとダメージが蓄積されてしまうという弱点があるのです。

こうした弱点を補ってくれるのが「制震」の技術です。

現在は大手ハウスメーカーを始め多くのハウスメーカーや工務店で、耐震と制震の組み合わせで地震対策が施されています。

木造住宅へ制震の技術を取り入れるには、通常、「制震ダンパー」とよばれる制震装置を設置します。

制震ダンパーにはオイルダンパー、粘性ダンパー、鋼材ダンパーなど種類がいくつかありますが、仕口ダンパーの粘弾性体が揺れを吸収するように、それぞれの制震ダンパーを住宅の構造部に設置することで、地震の揺れを吸収し、建物へのダメージを低減します。

制震ダンパーに関する詳細について、下記バナーより質問の受付や資料の発送を行っております。

ご興味のある方はぜひ、お気軽にご請求ください。

住まいの地震対策として注目の「制震ダンパー」

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」

制震ダンパーは新築時をはじめ、リフォームやリノベーション、耐震工事とあわせて設置するケースも増えています。

平時の今だからこそ、「制震」の力を大切な住まいへ取り入れてみてはいかがでしょうか。

制震ダンパーはを選ぶ際は、

  • 確かなエビデンスに基づいた性能
  • 確固たる実績

を確認し、最も適したものをお選びください。

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」

トキワシステムの制震装置である制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は特殊オイルを用いたオイルダンパーです。

「αダンパーExⅡ」は東京工業大学・静岡大学・豊田工業高等専門学校・岐阜県立森林文化アカデミーなどの数多くの学術研究機関による性能試験をクリアし、その確かな性能が認められています。

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」の特徴を簡単にまとめました。


  • 建物の変形を約1/2に低減し、建物の損傷を大幅に軽減する高い性能
  • 副資材が不要、半人工以下の簡易施工を実現する施工性の高さ
  • 120年の製品保証とメンテナンスフリーの実現による耐久性の高さ
  • コストパフォーマンスの高さ
  • さまざまな研究機関などで実施した実証実験による信頼性
  • 18,000棟以上にもおよぶ採用実績
  • 新築へも既存住宅へもフレキシブルに施工可能

次の耐力壁試験の動画をご覧下さい。

続いて、次の実証実験結果をご覧ください。

耐震工法で建てられた住宅に制震装置『αダンパーExⅡ』 を設置すると、設置前に比べて大きく地震の揺れが軽減されることがわかります。

(※radとは、radian(ラジアン:層間変形角を意味する国際単位)の略で、柱の傾きを示し、分母の数字が大きくなるほど実際の傾きは少なくなります。)

このように数ある制震ダンパーの中でもトキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は十分な採用実績、きちんとした裏付けに基づいた安心の技術でお施主様のご自宅をお守りします。

参考コラム】
制振ダンパーの施工画像20選を住宅タイプ別に紹介!地震後の画像もあり
制震ダンパー ランキング オイルダンパーはαDamperExIIが第一位

大切なあなたの家族を守りたい ―KEEP YOUR SMILE―

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」

いつ起きるかわからない地震。

恐ろしい地震から、誰もが家族や住宅を守りたいと願うものです。

この機会に、ご自宅に制震ダンパーを取り入れてみませんか?

「この住宅には設置できるの?」

「取り入れてみたいけれどどうやって設置するの?」

などご質問やご不明な点等ございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせフォームはこちらからどうぞ。

資料請求フォームからもご質問等受け付けております。

監修者情報

株式会社トキワシステム

株式会社トキワシステム

制震ダンパー・地震対策の情報について発信しています。
トキワシステムが提供する制震ダンパー『αダンパーExⅡ』は、地震から建物を守り、住まいの安心と安全をご提供いたします。

保有資格
・二級建築士
・フォークリフト運転技能者
・木材加工用機械作業主任者
・第二種電気工事士

受賞歴
・GOOD DESIGN AWARD 2021