【2023年最新版】耐震リフォームの補助金制度|利用の流れや注意点を解説
「家を建てて随分経つけど、耐震性は大丈夫かしら?」
「家の耐震性は気になるけど、費用が心配…。」
このような心配や不安を抱えている方は、少なくありません。
既存の住宅の耐震性を上げるには、耐震リフォームがおすすめです。
耐震リフォームには費用が発生しますが、補助金制度があるのはご存知でしょうか?
今回のコラムでは一般的な住宅の耐震リフォームに使える補助金制度について、利用の流れや注意点をお伝えするとともに、実際の自治体の例をご紹介します。
また、耐震リフォームと同時に行えるおすすめの地震対策も、あわせてご紹介します。
ご自宅の耐震性が気になる方、耐震リフォームを検討中あるいは興味のある方、住まいの地震対策力をより強化したい方はぜひ、ご参考下さい。
・耐震リフォームについて内容や費用の目安がわかります。
・耐震リフォームに使える補助金制度について、利用の流れや注意点、各自治体の例を知ることができます。
目次
耐震リフォームとは
耐震リフォームとは、建物が地震に耐えられるよう改修や補強をおこなうリフォームのことです。
一般的な戸建住宅の耐震リフォームには様々な方法がありますが、具体的に次のような内容が挙げられます。
- 基礎の補強
- 壁の増設や補強
- 接合部の補強
- 屋根の軽量化
- 床の補強
- 窓ガラスの補強
この中で窓ガラスの補強は、耐震性そのものを高めるというよりも、地震によって窓ガラスが割れてけがの原因となるのを防止するために、耐震リフォームの一部として行われることがあります。
耐震リフォームの流れ
耐震リフォームは、一般的に次のような流れで進めていきます。
- 耐震診断
- 耐震診断の結果に基づいた耐震補強の検討
- 耐震補強の設計
- 耐震補強の見積もり
- 工事請負契約を締結
- 耐震補強工事の実施
耐震リフォームを行う前に、耐震診断を受けましょう。
各自治体の窓口や耐震診断に関する各種協会などに相談し、耐震診断を依頼する業者を決めます。
その際、必要書類(設計図、竣工図、建築確認申請など)を準備しておきましょう。
耐震診断の結果に基づいて耐震補強設計など工事方法や対策の提案を作成したのちに、業者へ耐震リフォームを依頼するというのが一般的な流れです。
耐震リフォームの費用目安
では耐震リフォームを行うと、どれくらい費用がかかるのでしょうか。
前項でお伝えしたとおり、通常、耐震リフォームの前に耐震診断を受けます。
耐震診断にも費用は発生しますが、場合によっては耐震リフォーム費用に耐震診断費用が含まれている場合もあるので、注意しましょう。
耐震診断の費用目安
一般的な耐震診断の費用目安は、120m2木造住宅で「10~50万円」といわれています。
ですが、耐震診断の費用については全国のほとんどの自治体で補助金制度を設けて支援しています。
というのも、地震大国である日本では、国が耐震診断や耐震改修を促進し耐震化を支援しています。
国土交通省では、「令和12年までに耐震性が不十分な住宅、令和7年までに耐震性が不十分な耐震診断義務付け対象建築物をおおむね解消する」ことを目標として掲げ、所有者による耐震化を支援しています。
出典:国土交通省HP
たとえば大分県では諸条件を満たした住宅について、耐震診断を受ける場合の所有者負担が5,500円になるように補助金が出されるようです。
耐震診断を受ける際に自治体の窓口であらかじめ内容を確認し、上手に活用しましょう。
耐震診断に関しては次のコラムをご参照ください。
耐震リフォームの費用目安
では耐震リフォームの費用目安はどれくらいなのでしょうか。
次のデータをご覧ください。
木耐協(日本木造住宅耐震補強事業者協同組合)が実施した耐震リフォームに関して補強工事実施者から得られたデータによると、工事の実施金額は次の通りです。
50万円未満 | 10.9% |
50~100万円未満 | 17.4% |
100~200万円未満 | 39.3% |
200~300万円未満 | 20.7% |
300万円以上 | 11.7% |
また、同協会が2018年1月に発表した調査結果では、耐震補強工事の平均施行金額が161万4,920円、耐震補強工事の施行金額中央値は140万円となっています。
さらに2016年の調査結果では、旧耐震基準の住宅と新耐震基準の住宅とで耐震リフォームに係る費用に違いがあることもわかっています。
旧耐震基準の住宅 | 新耐震基準の住宅 | |
耐震補強工事の平均施行金額 | 182万9,944円 | 145万9,843円 |
耐震補強工事の施行金額中央値 | 155万円 | 125万円 |
耐震リフォームの補助金制度とは
このように大変高額な費用が掛かると予測される住宅の耐震リフォームですが、補助金制度にはどのようなものがあるのでしょうか。
国の補助金制度
国の耐震リフォームに関する補助金制度や支援は次の通りです。
- 住宅・建築物安全ストック形成事業(地方公共団体に対する助成)
- 耐震改修促進税制(所得税と固定資産税の特別措置)
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業(耐震リフォームのみでは申請不可)
このように、耐震リフォームに対する個別の国の補助金は、設けられていません。
その代わり、耐震リフォームに関して税制優遇を行ったり、耐震リフォームとあわせた改修工事への補助金制度などが設けられています。
●住宅・建築物安全ストック形成事業
補助金制度は対個人ではなく、「住宅・建築物安全ストック形成事業」として地方公共団体に対する助成が設けられています。
耐震診断や補強設計、耐震改修に対して交付されています。
●耐震改修促進税制
個人への支援は「耐震改修促進税制(住宅・建築物)」として、住宅の耐震リフォームに関して所得税控除と固定資産税の減額といった税制優遇という形で行われています。
所得税:耐震改修工事に係る標準的な工事費用相当額の10%等を所得税から控除
固定資産税:固定資産税額(120㎡相当部分まで)を1年間1/2に減額
(特に重要な避難路沿道にある耐震診断義務付け対象の住宅は、2年間1/2減額)
参考リンク:国土交通省 住宅・建築物の耐震化について 住宅・建築物の耐震化に関する支援制度(令和4年度)
●長期優良住宅化リフォーム推進事業
耐震リフォームのみの場合は申請ができませんが、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」もあります。
こちらは「既存住宅の性能向上や子育てしやすい環境等の整備に資する優良なリフォームを支援する」という主旨のものです。耐震化だけでなく省エネ化などの住宅の性能向上リフォーム工事費などが対象となります。
具体的な対象事業は、次の①②の両方を満たしている戸建住宅または共同住宅のリフォーム工事です。
①インスペクションを実施し、維持保全計画・履歴を作成すること
②工事後に耐震性と劣化対策、省エネルギー性が確保されていること
こちらは耐震リフォームのみでは対象とならず、また、耐震診断ではなくホームインスペクションを受けていることが条件となっている点に注意が必要です。
耐震リフォームとあわせて該当条件の工事をおこなう場合は活用を検討するとよいでしょう。
参考リンク:長期優良住宅化リフォーム推進事業HP
各自治体の補助金制度
耐震リフォームの補助金は、全国ほとんどの自治体で補助金制度が設けられています。
ただし自治体によって条件が異なり、一部に補助金制度を設けていない自治体もあります。
耐震リフォームを検討される場合は、耐震診断も含めてお住まいの自治体に補助金の有無や条件を確認しておきましょう。
参考リンク:国土交通省 地方公共団体の支援制度に関する問い合わせ窓口一覧
各自治体の耐震リフォームに関する補助金制度の例
それでは実際に自治体で行われている、耐震リフォームの補助金制度の例として、東京都八王子市の木造住宅を対象とした補助金内容をご紹介します。
日本の戸建て住宅の80%以上は木造と言われていることから、今回は一般的な補助金制度等をピックアップしてご紹介します。
例:東京都八王子市
東京都八王子市では木造住宅の耐震化において、「八王子市居住環境整備補助金制度」として市内の住宅の所有者等に対し、安全で安心して住み続けることができる居住環境を確保するための住宅の改修工事(リフォーム)等を行う場合に、その費用の一部を補助しています。
■申請受付期間:令和5年(2023年)4月18日(火)~令和6年(2024年)1月末まで
※予算額に達した時点で受付終了 ※工事契約前に申請が必要
■工事完了期限:令和6年(2024年)2月末まで
■対象者・対象条件:次のいずれにも該当する方
・補助の対象となる住宅の所有者(バリアフリー化改修工事又は耐震シェルター・防災ベッド設置工事をする場合は借主でも可)
・市内に住所を有する、または転入し市内に住所を有する予定の方
・補助の対象となる住宅に改修工事等の完了後、引き続き居住する方
・分譲マンション止水板設置工事及び分譲マンション共用部分LED化改修工事は、管理組合が対象
・分譲マンション共用部分LED化改修工事ついては、管理計画の認定を受けたマンションの管理組
■補助金内容(補助額)
【木造住宅耐震改修工事】
- 補助率:対象工事費の2/3以内
- 上限額:100万円
【木造住宅簡易耐震改修工事】
- 補助率:対象工事費の50%以内
- 上限額:25万円
また、「八王子市木造住宅耐震診断補助制度」として耐震診断を対象とした補助金制度もあります。
■申請の受付期限:令和6年(2024年)1月末日まで
※予算額に達した時点で受付終了 ※工事契約前に申請が必要
■耐震診断の完了期限:令和6年(2024年)2月末日まで
■対象者・対象条件:次の1から7のすべてを満たすもの(※建物の構造・形態によっては診断できない場合あり)
1 八王子市内にあること
2 一戸建住宅(住宅以外の用に供する部分の床面積が延べ床面積の1/2未満の併用住宅を含む)であること
3 木造在来(軸組)工法であること
4 昭和56年5月31日以前の耐震基準で建てられていること
5 所有者の世帯員全員及び共有者全員の市税等の滞納がないこと
6 建築基準法その他関係法令に適合した状態であること
7 次のいずれかに該当するもの
(1)個人が所有し、自らが居住している又は転入し市内に住所を有する予定であること
(2)「令和5年(2023年度)八王子市未耐震空き家除却支援補助金交付要綱」第7条による事前相談において補助要件を満たすために耐震診断が必要とされた住宅
■補助金内容(補助額)
耐震診断費用の4分の3以内で、15万円を限度とする
(千円未満の端数があるときは、切り捨て)
なお、八王子市では「木造住宅耐震化普及啓発事業」として、木造住宅の耐震化についてアドバイスを行う専門家「耐震お助け隊」を、無料で自宅に派遣する事業も行っています。
数多くの実績がある地元の建築士と施工業者の2名が、条件を満たす対象者の元へ出向き、耐震診断や改修工事の進め方、補助制度や工事費用などの説明のほか、家具の転倒防止など日頃できる防災対策についてもアドバイスを行っています。
■申込期間:令和5年(2023年)6月1日から令和6年(2024年)2月末日まで
■対象住宅:次のすべてに該当する住宅
- 木造である。
- 一戸建て専用住宅または併用住宅(2分の1以上居住部分があること)である。
- 昭和56年5月31日以前の古い耐震基準で建てられている。
- 市の補助金利用による耐震強度1.0以上の耐震改修工事を実施していない。
■対象者:次のすべてに該当する方
- 対象住宅を所有している。
- 対象住宅に住んでいる、または住む予定である。
こうした補助金制度の活用はもちろん、「耐震お助け隊」のような相談サポートも上手に活用すると安心ですね。
自治体の耐震リフォームの補助金申請から交付までの流れ
では自治体に設けられた、耐震リフォームの補助金申請から交付までの流れはどのようになっているのでしょうか。
第2項でお伝えした「耐震リフォームの流れ」に、太字で補助金申請に関する項目をプラスして記載したものが以下になります。
- 耐震診断
- 耐震診断の結果に基づいた耐震補強の検討
- 耐震補強の設計
- 耐震補強の見積もり
- 耐震リフォーム工事の補助金申請
- 申請承認後、工事請負契約を締結
- 耐震補強工事の実施
- 工事完了後、完了報告書を提出
- 完了報告書が承認された場合、補助金が交付
一般的にこのような流れで行いますが、地域や自治体によって手続きや申請手順が異なる場合があるので、事前に詳細を各自治体や関係機関に確認しておきましょう。
補助金制度に関する注意点
このような耐震リフォームに関する補助金を利用する際には、次の点に注意する必要があります。
- 住んでいる自治体に、補助金制度があるか確認する
- 申請期間を確認する
- 申請のタイミング(着工前であること、など)を確認する
- 申請期間内であっても申請者が多いと申請できない可能性があることを知っておく
- 制度の内容(条件、金額、内容に例年と変更がないか、など)を確認する
まず、47都道府県中ほとんどの自治体で補助金制度が設けられていますが、補助金制度自体がない自治体もあります。
お住まいの自治体窓口で補助金制度の有無や申請に関する条件(期間・タイミング等も含めて)を確認しておきましょう。
例に挙げた八王子市の補助金制度にもあるように、「工事契約前に申請が必要」「着工前の申請が必要」などといった条件がある自治体がほとんどです。
「工事契約後に申請したため補助金が交付されなかった…」といった事態を招かないためにも、どのタイミングまでに申請が必要かを必ず確認しておきましょう。
より強い家にするには?リフォームとあわせて行いたい「制震装置」の設置
耐震リフォームの目的は、大きな地震に備えて地震に強くすることがメインではないでしょうか。
こうした既存住宅の地震対策として、耐震リフォームとあわせて「制震装置(制震ダンパー)」の設置をされるケースが増えています。
というのも、近年新築の住宅においても耐震性の高い住宅に制震装置をプラスして、「耐震+制震」の組み合わせで地震対策を講じるのが新しい流れとなりつつあるのです。
「耐震+制震」の方法は、大手ハウスメーカーを始め、多くのハウスメーカーや工務店等で取り入れられています。
耐震:建物そのものの強度を高めることで地震の揺れに耐えられるようにする技術
制震:制震装置(制震ダンパー)の設置によって地震の揺れを吸収し、建物の揺れを抑制する技術
耐震性を高た建物は、繰り返し地震の揺れを受けることで建物自体にダメージが蓄積されてしまいます。
蓄積されたダメージが極限まで達すると、耐震性の高い建物でも倒壊する可能性も出てきます。
こうした繰り返しの揺れに弱いという耐震の持つ弱点を上手くカバーするのが「制震」です。
制震装置を設置することで地震の揺れによるエネルギーを吸収し、建物へのダメージを低減します。
つまり「耐震+制震」を取り入れることで、耐震性の弱点を補いつつ耐震性の継続をサポートすることができるのです。
耐震リフォームと制震装置の設置は同時に施行することも可能です。
制震装置(制震ダンパー)に関しては詳しい資料を準備しております。下記バナーよりお気軽にお問い合わせください。
まとめ
今回は耐震リフォームについて、雪崩や費用、補助金制度や補助金制度を利用する際の注意点についてお伝えしました。
また、耐震リフォームとあわせてできる地震対策として、制震装置の設置についてもご紹介しました。
いつ来るかわからない地震。
平時のいまこそ、ご自宅の地震対策を万全に行っておいてはいかがでしょうか。
住まいの地震対策として注目の「制震ダンパー」
法改正等により住宅の耐震化が当たり前となってきている今、耐震化された住宅へ「制震」の技術をとりいれる方法は住宅への地震対策として年々広がりを見せています。
繰り返しになりますが、制震ダンパーの設置は住宅を新築する際はもちろん、リフォームやリノベーションと合わせて制震ダンパーを設置したり、耐震リフォームと合わせて制震ダンパーを設置するケースも増えています。
制震の技術を取り入れるにはどんな制震装置でもよいわけではありません。
- 確かなエビデンスに基づいた性能
- 確固たる実績
を必ずご確認ください。
制震ダンパー「αダンパーExⅡ」とは
トキワシステムの制振装置である制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は特殊オイルを用いたオイルダンパーです。
「αダンパーExⅡ」は東京工業大学・静岡大学・豊田工業高等専門学校・岐阜県立森林文化アカデミーなどの数多くの学術研究機関による性能試験をクリアし、その確かな性能が認められています。
制震ダンパー「αダンパーExⅡ」の特徴を簡単にまとめました。
- 建物の変形を約1/2に低減し、建物の損傷を大幅に軽減する高い性能
- 副資材が不要、半人工以下の簡易施工を実現する施工性の高さ
- 120年の製品保証とメンテナンスフリーの実現による耐久性の高さ
- コストパフォーマンスの高さ
- さまざまな研究機関などで実施した実証実験による信頼性
- 18,000棟以上にもおよぶ採用実績
- 新築へも既存住宅へもフレキシブルに施工可能
次の耐力壁試験の動画をご覧下さい。
続いて、次の実証実験結果をご覧ください。
耐震工法で建てられた住宅に制震装置『αダンパーExⅡ』 を設置すると、設置前に比べて大きく地震の揺れが軽減されることがわかります。
(※radとは、radian(ラジアン:層間変形角を意味する国際単位)の略で、柱の傾きを示し、分母の数字が大きくなるほど実際の傾きは少なくなります。)
このように数ある制震ダンパーの中でもトキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は十分な採用実績、きちんとした裏付けに基づいた安心の技術でお施主様のご自宅をお守りします。
大切なあなたの家族を守りたい ―KEEP YOUR SMILE―
いつ起きるかわからない地震。
恐ろしい地震から、誰もが家族や住宅を守りたいと願うものです。
この機会に、ご自宅に制震ダンパーを取り入れてみませんか?
「この住宅には設置できるの?」
「取り入れてみたいけれどどうやって設置するの?」
などご質問やご不明な点等ございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせフォームはこちらからどうぞ。
資料請求フォームからもご質問等受け付けております。