【住宅の地震対策が不安?】国の取り組みとは?個人で出来る地震対策も解説
地震の多い日本において、地震に備えて対策を講じておくことは、自分や家族の命を守るためにとても大切です。
国では様々な地震対策がなされていますが、中でも普段私たちが過ごす時間の多い「住宅」に関する地震対策への取り組みが多岐にわたって行われているのはご存知でしょうか。
国の住宅に関する地震対策では、主に耐震化の促進と宅地に関する取り組みを行っています。
これからはこうした国の取り組みを知っておくこと、そして個人でできる地震対策を適切に行うことがより大切になってくるのではないでしょうか。
この記事では住宅の地震対策について、国の取り組みと個人でできる対策についてお伝えします。
・住宅に関する国の地震対策への取り組みについて知ることができます。
・個人でも取り組める住宅への地震対策がわかります。
目次
住宅の地震対策に関する国の取り組み(耐震化の促進)
住宅に関する地震対策について、国の取り組みのひとつに建物の耐震化の促進が挙げられます。
国土交通省では、「令和12年までに耐震性が不十分な住宅、令和7年までに耐震性が不十分な耐震診断義務付け対象建築物をおおむね解消する」ことを目標として掲げ、所有者による建物の耐震化を支援しています。
こうした目標は、
- 「住生活基本計画(全国計画)」(令和3年3月閣議決定)
- 「国土強靭化年次計画2022」(令和4年6月21日国土強靭化推進本部決定)
によって明確にされています。
また法律でも、
- 「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」(平成7年12月25日施行)
の基本方針に明記されています。
加えて一般の戸建て住宅等でも活用できる、
- 住宅・建築物の耐震化に関する支援制度
も設けられています。
ではそれぞれについて、もう少し詳しくみていきたいと思います。
住生活基本計画(全国計画)
「住生活基本計画(全国計画)」とは、国民の住生活の安定の確保や向上の促進に関する基本的な計画のことで、「住生活基本法」(平成18年法律第61号)に基づいて平成18年に策定されたものです。
この計画では、上記に関する目標や基本的な施策などを定め、目標を達成するために必要な措置を講ずるよう努めることとされています。
その中で国の取り組みとして、「住宅の耐震化」について次のように目標を掲げています。
[基礎的な安全性の確保]
出典:国土交通省HP 住宅・建築物の耐震化について「住宅・建築物の耐震化の現状と目標」より
耐震基準(昭和56年基準)が求める耐震性を有しない住宅ストックの比率
【13%(平成30)→おおむね解消(令和12)】
国土交通省の調べによると、「住宅の耐震化率」の推移は次の通りです。
- 平成20年:約79%
- 平成25年:約82%
- 平成30年:約87%
そして令和12年までに耐震性が不十分な住宅をおおむね解消するという目標が、令和3年3月に閣議決定されています。
国土強靭化年次計画2022
「国土強靭化年次計画2022」とは、「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」(平成 25 年法律第 95 号)に基づいて策定された計画で、中長期的な施策の推進方針を示したり、内容の見直し等が行われています。
その中で国の取り組みとして、「耐震診断義務付け対象建築物」に対して次のような目標を掲げています。
(第2章各プログラムの推進方針、主要施策、重要業績指標等)
出典:国土交通省HP 住宅・建築物の耐震化について「住宅・建築物の耐震化の現状と目標」より
住宅については、令和12年までに耐震性が不十分なものをおおむね解消すべく、
耐震化を促進する。
耐震診断義務付け対象建築物については、令和7年までに耐震性の不十分なものを
おおむね解消すべく、重点的に取組を推進する。
「耐震診断義務付け対象建築物」は、病院・店舗・学校など不特定多数の者が利用する大規模な建築物等が該当し、次項で説明する「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」にて詳細が定められています。
そして令和7年までに耐震性が不十分な耐震診断義務付け対象建築物をおおむね解消するという目標が、令和4年6月に国土強靭化推進本部にて決定されています。
建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)
建築物の耐震化の促進は「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)※以下耐震改修促進法と記述」によってその取り組みが定められています。
耐震改修促進法は、大規模な建物被害と人的被害を及ぼした平成7年の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)での教訓をもとにつくられ、平成7年12月25日より施行された法律で、後に平成18年、平成25年、平成31年に改正が行われています。
同震災では建物の倒壊による被害が著しく多く、全体の死者は6,434人、建物の全半壊被害は約24万9千棟強にものぼり、亡くなった方の87.8%が建物や家具などの倒壊による圧迫死でした。
また、こうした建物の倒壊被害は現行の新耐震基準(昭和56年施行)以前に建築された、いわゆる旧耐震基準で建てられた建物に多くみられたという調査結果もでています。
これらを踏まえて、耐震改修促進法は次のような目的で制定されました。
この法律は、地震による建築物の倒壊等の被害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、建築物の耐震改修の促進のための措置を講ずることにより建築物の地震に対する安全性の向上を図り、もって公共の福祉の確保に資することを目的とする。
引用:国土交通省「建築物の耐震改修の促進に関する法律」
耐震改修促進法では、病院、店舗、学校など不特定多数の方が訪れる「要緊急安全確認大規模建築物」と、避難路の沿道等の「要安全確認計画記載建築物」を対象に耐震診断を義務付けており、現行の耐震基準に適合しない建築物の所有者は耐震診断を行い、必要に応じて耐震改修を行うよう努力することが義務付けられました。
また、耐震診断や耐震改修を促進するために、建築基準法の特例等も規定されています。
主な内容は次の通りです。
国による基本方針の作成
- 住宅、耐震診断義務付け対象建築物の耐震化の目標の設定
- 耐震化の促進を図るための施策の方針
- 相談体制の整備等の啓発、知識の普及方針
- 耐震診断、耐震改修の方法(指針)
- ブロック塀等の安全対策
都道府県・市町村による耐震改修促進計画の作成
- 建築物の耐震診断及び改修の目標
- 目標達成のための具体的な施策
- 緊急輸送道路等の指定(都道府県、市町村)
- 防災拠点建築物の指定(都道府県)
耐震化の促進のための規制措置
- 所管行政庁による指導・助言
- 所管行政庁による指示・公表
- 耐震診断の義務付け・結果の公表
耐震化の円滑な促進のための措置
- 耐震改修計画の認定
- 区分所有建築物の耐震改修の必要性に係る認定
- 耐震性に係る表示制度(任意)
- 耐震改修支援センター
特に耐震診断義務付け対象建築物の詳細な規定や耐震診断の義務付けは、耐震化の向上に大きく関与しています。
住宅・建築物の耐震化に関する支援制度
国は昭和56年以前に建築された、いわゆる旧耐震基準で建てられた建物の耐震診断・耐震改修を呼びかけています。
耐震診断や耐震改修には費用がかかるため、国は地方公共団体と協力して次のような支援制度を設けサポートをしています。
- 住宅・建築物安全ストック形成事業(社会資本整備総合交付金、防災・安全交付金の基幹事業)
- 地域防災拠点建築物整備緊急促進事業(建築物耐震対策緊急促進事業)
- 耐震改修促進税制(住宅・建築物)
- 住宅金融支援機構による融資制度
耐震診断、耐震改修を行う際はこうした支援制度を有効に活用するとよいでしょう。
宅地の地震対策に関する国の取り組み
住宅に関する地震対策において、先述の「耐震化の促進」は国の取り組みとして広く知られているのではないでしょうか。
一方、国では宅地の地震対策として「宅地耐震化推進事業」の取り組みを行っています。
こうした住宅の地盤からも地震対策が行われていることを知っておきましょう。
宅地耐震化推進事業
「宅地耐震化推進事業」とは、大地震時等における滑動崩落や液状化による宅地の被害を軽減するため、変動予測調査を行い住民への情報提供等を図るとともに、対策工事等にかかる費用について補助を行うものです。
主な内容は次の通りです。
大規模盛土造成地の変動予測調査等
- 大規模盛土造成地の変動予測調査
- 宅地液状化の変動予測調査
- 宅地擁壁の変動予測調査
大地震等が発生した際に大被害が生ずるおそれのある、大規模盛土造成地・宅地の液状化・宅地擁壁等について、安全性把握のための調査や液状化ハザードマップの作成、住民への情報提供等を目的とした事前調査といった変動予測調査を行っています。
大規模盛土造成地滑動崩落防止事業
大規模盛土造成地の安全対策において、次の3段階で取り組みが行われています。
- 大規模盛土造成地の抽出
- 大規模盛土造成地の調査
- 対策工事
第1段階となる「大規模盛土造成地の抽出」は、令和元年度末に全国の大規模盛土造成地マップが作成・公表され完了しています。
宅地液状化防止事業
大地震等で液状化現象が発生する可能性のある地域において、液状化による宅地被害を抑制するため、道路・下水道等の公共施設と隣接宅地等との一体的な液状化対策を推進しています。
個人で出来る住宅への地震対策とは?
ここまで国が行っている、住宅の地震対策への取り組みをご紹介しました。
私たちが個人で取り組める地震対策には非常持ち出しや備蓄の準備など様々ありますが、とりわけ住宅に関して考えると、どの様な事柄が挙げられるでしょうか。
知識をつけておく
まずは住宅の地震対策に関する知識をしっかりとつけておくと良いでしょう。
住宅と地震で考えた場合、やはり「耐震性」について基本的な事は理解しておく必要があります。
これから住宅を建てる場合はもちろん、今お住まいの既存住宅に対しても耐震性は大事なキーワードです。
住宅の耐震性を知るには「耐震基準」や「耐震等級」が目安となります。
耐震基準については、次のコラムをご参考下さい。
また、耐震等級については、次のコラムをご参考下さい。
今回ご説明したように、住宅の地震対策に関して、国の取り組みを把握しておくこともひとつです。
既存住宅は耐震診断を受ける
建てられたのが昭和56以前などの築年数が古い住宅の場合やお住まいの住宅の耐震性が気になる場合は、耐震診断を受けることををおすすめします。
耐震診断を受けることによって住宅の耐震性に関する現状を正しく把握することができ、耐震改修が必要かどうかもわかります。
耐震診断を受ける際は、国や地方公共団体によるサポートや費用支援を活用しましょう。
制震装置の設置
「制震」という技術はご存知でしょうか?
制震とは制震とは地震の揺れによるエネルギーを吸収・抑制する技術のことで、住宅に制震装置を設置することによって取り入れることができます。
住宅の地震対策が重視される昨今、耐震性の向上とともに、住宅に「耐震+制震」の技術を取り入れる方法が注目されています。
耐震性を高くすることで住宅は頑丈になりますが、「地震によるダメージが蓄積される」「繰り返しの揺れに弱い」といった弱点も存在します。
こうした耐震性の持つ弱点をカバーするのが制震の技術です。
「耐震+制震」はいまや大手ハウスメーカーを始め、多くの新築住宅でスタンダードになりつつあります。
なお、制震装置に関する詳細については、下記バナーよりお気軽に資料をご請求ください。
まとめ
南海トラフ巨大地震や首都直下型地震の発生が懸念される昨今、住宅の地震対策は私たちにとって大きな意味をもつ事柄のひとつです。
国もあらゆる面で地震対策を実施しており、住宅に関しても様々な計画や法律によって取り組みがなされています。
私たちひとりひとりも他人事と思うことなく、個人でもできる地震対策に取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。
住まいの地震対策として注目の「制震ダンパー」
制震ダンパーの設置は新築の際はもちろん、リフォームやリノベーションと合わせて制震ダンパーを設置したり、耐震工事と合わせて制震ダンパーを設置するケースも増えています。
制震の技術を取り入れるには、どんな制震ダンパーでもよいわけではありません。
- 確かなエビデンスに基づいた性能
- 確固たる実績
を必ずご確認ください。
平時の今だからこそ、制震のメリットを大切な住まいへ取り入れてみてはいかがでしょうか。
制震ダンパー「αダンパーExⅡ」とは
トキワシステムの制振装置である制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は特殊オイルを用いたオイルダンパーです。
「αダンパーExⅡ」は東京工業大学・静岡大学・豊田工業高等専門学校・岐阜県立森林文化アカデミーなどの数多くの学術研究機関による性能試験をクリアし、その確かな性能が認められています。
制振ダンパー「αダンパーExⅡ」の特徴を簡単にまとめました。
- 建物の変形を約1/2に低減し、建物の損傷を大幅に軽減する高い性能
- 副資材が不要、半人工以下の簡易施工を実現する施工性の高さ
- 120年の製品保証とメンテナンスフリーの実現による耐久性の高さ
- コストパフォーマンスの高さ
- さまざまな研究機関などで実施した実証実験による信頼性
- 18,000棟以上にもおよぶ採用実績
- 新築へも既存住宅へもフレキシブルに施工可能
次の耐力壁試験の動画をご覧下さい。
続いて、次の実証実験結果をご覧ください。
耐震工法で建てられた住宅に制震装置『αダンパーExⅡ』 を設置すると、設置前に比べて大きく地震の揺れが軽減されることがわかります。
(※radとは、radian(ラジアン:層間変形角を意味する国際単位)の略で、柱の傾きを示し、分母の数字が大きくなるほど実際の傾きは少なくなります。)
このように数ある制震ダンパーの中でもトキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は十分な採用実績、きちんとした裏付けに基づいた安心の技術でお施主様のご自宅をお守りします。
大切なあなたの家族を守りたい ―KEEP YOUR SMILE―
いつ起きるかわからない地震。
恐ろしい地震から、誰もが家族や住宅を守りたいと願うものです。
トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は、耐震化された住宅の弱点を補いつつ、建物の倒壊防止に効果を発揮します。
この機会に、ご自宅に制震ダンパーを取り入れてみませんか?
「この住宅には設置できるの?」
「取り入れてみたいけれどどうやって設置するの?」
などご質問やご不明な点等ございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせフォームはこちらからどうぞ。
資料請求フォームからもご質問等受け付けております。