【地震】戸建では1階と2階のどちらが安全? メリットとデメリットを知っておこう
地震が発生したときに家にいた場合、1階と2階のどちらが安全なのでしょうか。
地震は、私たちが寝ていようが仕事をしていようが、容赦なく発生します。
そして私たちが「家にいる時間」は、平日で約15時間、土日は16~17時間と言われています。
コロナ禍を経て在宅勤務などもメジャーとなり、家にいる時間はかつてよりもっと増えているかも知れません。
そんな現状をふまえると、家にいるときに地震に遭う可能性は高いと言えるのではないでしょうか。
そこで今回のコラムでは一般的な戸建住宅において、家にいるときに地震が発生したケースを想定し、1階と2階のどちらが安全なのかについて解説していきます。
・戸建て住宅では1階と2階のどちらが安全か知ることができます。
・1階、2階の各メリットデメリットを知ることができます。
目次
1階・2階どちらが安全かは家の耐震性による
結論から言うと、地震の発生時に1階と2階のどちらが安全かは「家の耐震性による」という答えになります。
つまり家の耐震性によって、1階にいる方が安全な場合と2階にいる方が安全な場合がある、ということです。
耐震性が高い家なら1階、耐震性が低い家なら2階にいるのが安全といえます。
また、1階、2階にいた場合にそれぞれメリットだけでなくデメリットもあるため、把握しておく必要があります。
1階のメリットデメリット
まずは地震発生時に1階にいた場合のメリット・デメリットから解説します。
1階のメリット
1階にいた場合のメリットは次の2点が挙げられます。
- 耐震性が高ければ地震に強い
- 避難が比較的容易である
- 場合によっては火災被害を軽減できる
冒頭でお伝えした通り、一般的な戸建住宅では「耐震性」が高ければ1階の方が地震に強く安全といわれています。
耐震性が確保できている場合、1階は「逃げやすい」という点もメリットのひとつです。
大規模な地震がおきてしまった場合は外へ避難しなければなりませんが、1階であればすぐに玄関へ向かうことが可能です。
万が一寝ている間に避難を必要とする大規模地震が起きたとしても、1階であれば玄関から逃げやすいだけでなく、玄関から逃げられないような状況でも窓から逃げることができます。
また、地震の時に発生する「地震火災」にも注意しなければなりませんが、2階に火元となりやすいキッチンがある間取りの場合、火は上昇する性質があることから1階の方が火災被害に遭いにくいといった面もあります。
ただし、「耐震性が高い家だから1階が絶対に安心」というわけでもありません。
実は2016年におきた熊本地震では、現行の耐震基準では想定していなかった「震度7」規模の地震が2回も発生したため、「新耐震基準」で建てられた建物でも7.6%が倒壊してしまいました。
これは新耐震基準であっても、家の間取り(1階部分のリビングの広さ、吹き抜けの有無等)も関与していると考えられています。
このように、天災・地震というものは私たちの想定を超えておきることが常といえるため、「絶対」はないと考えてあらゆるリスクを想定しておかなければならないことがうかがい知れます。
1階のデメリット
地震発生時の1階のデメリットには次の点が挙げられます。
- 家の倒壊で圧し潰されたり下敷きになる可能性がある
1995年におきた「阪神淡路大震災」は、日本の震災史上でも大変被害の大きなものでした。
家などの建物被害もとても大きく、建物の倒壊被害は全壊104,906棟、半壊144,274棟にものぼり、亡くなった方の87.8%が建物や家具類などの倒壊による圧迫死とされています。
そしてその被害は現在の「耐震基準」を満たしていないいわゆる「旧耐震基準」の建物に集中しており、あわせて2階以上の建物でピロティー形式の建物のでも被害が多くみられたということです。
こうした震災に見る実際の被害状況からもわかるように、耐震性のない家の場合、1階は倒壊した家屋の下敷きになるリスクが高いというデメリットがあります。
2階のメリットデメリット
では地震が起きたときに2階にいる場合のメリットとデメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。
順にみていきたいと思います。
2階のメリット
大規模な地震が起きた場合に2階にいるメリットとして、次の点が挙げられます。
- 倒壊で下敷きになりにくい
まさに1階にいるデメリットの逆となっています。
2階にいた場合、(2階建ての場合は)倒壊した家屋の下敷きになりにくくなっています。
こちらもやはり家の耐震性が深く関与しており、耐震性に不安がある場合は、2階の方が倒壊した家屋に押しつぶされたり下敷きになったりするリスクが低くなります。
新耐震基準で建てられた最近の家であっても、震度7といった想定を超えた強い揺れが起きた場合や間取りによっては、倒壊する可能性があることを念頭に置いておきましょう。
2階のデメリット
一方で地震の際に2階にいるデメリットとしては、次の点が挙げられます。
- 避難時に脱出しにくい
こちらも1階のメリットの逆になりますが、やはり2階にいた場合のデメリットとして避難する際に外へ脱出しにくい点が挙げられます。
たとえば玄関までの経路がふさがれてしまった場合、2階の窓やベランダから脱出するには高さもあるためはしごやロープが必要になるなど、少々難しくなってしまいます。
また、1階で地震火災が起きてしまった場合、火が2階に上昇してきた際には避難が急がれるにもかかわらず逃げづらいといった状況に陥ることも考えられます。
特に家に高齢者や小さなお子様がいる場合は2階からの避難や脱出が難しくなるため、ロープ、はしごの常備といった対策も必要です。
耐震性とは?
では「耐震性」とは具体的にどういうものなのでしょうか。
耐震とは、「建物そのものの強度を高めることで、地震の揺れに耐えられるようにする技術」のことを指します。
つまり地震が来ても家が壊れたり倒れたりしないように、建物自体を頑丈にする方法です。
耐震の技術は日本の地震対策の基本であり、最もポピュラーな方法です。
したがって、戸建て住宅から高層ビル、商業施設、学校など大規模建築物まで広く取り入れられ、古い建物の耐震化工事にまで幅広く採用されています。
たとえば一般的な木造戸建て住宅の場合、耐力壁を増やしたり、柱や梁を太くしたり、その接続部を金具などで強固にしたり、筋交いを入れたりして耐震性を上げます。
また、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造)のマンションや高層ビルなどの場合、耐震壁を増やしたり、内部・外部ブレースを増やしたり、柱や梁を補強したり、腰壁やたれ壁にスリットを設置したりして耐震性を上げています。
耐震基準とは?
では文中に出てきた「耐震基準」とはどういうものでしょうか。
耐震基準とは、住宅や建築物等の構造物が満たすべき耐震能力の最低限度の基準のことです。
地震の多い日本では、建築基準法の中で建物の耐震性に関する「耐震基準」が定められています。
実は耐震基準自体は古くからありましたが、大規模な地震が発生した後に改正が繰り返されて現在に至っています。
特に1971年、1981年、2000年の改正は大きな変化をもたらしたもので、中でも1981年の大きな改正がひとつの節目となっており、1981年以降の耐震基準については「新耐震基準」、それ以前の耐震基準を「旧耐震基準」と呼んでいます。
繰り返しになりますが、先にお伝えした阪神淡路大震災の際に被害が集中した「旧耐震基準」の建物とは、1981年より前に建てられた比較的築年数が古い建物ということになります。
現行の新耐震基準では、建物の耐震性に関して次のように定められています。
- 中規模(震度5強程度)の地震に対して建物がほとんど損傷しない
- 大規模(震度6強~7程度)の地震に対して建物が倒壊しない
この内容は次の項目でご説明する「耐震等級1」に該当するレベルで、現在建てられる建物の耐震性に関しては、最低限この内容の耐震性が確保されていることが義務付けられています。
さらに2000年には基礎の設計方法、耐震壁の配置、基礎と柱など接合部への金具の取り付けなど、木造住宅に関してより耐震性を高めるための改正が行われています。
耐震等級とは?
耐震等級とは、地震に対する躯体構造の強度を知る指標のひとつです。
2000年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称:品確法)」が施行され、それに基づいて住宅の品質を客観的に評価する「住宅性能表示制度」の運用が始まりました。
耐震等級は「住宅性能表示制度」ににおいて、住宅の耐震性を知る目安として用いられています。
耐震等級は1~3のレベルに分けられており、耐震等級3>耐震等級2>耐震等級1の順に、耐震レベルが高くなっています。
ちなみに「耐震基準」の内容は「耐震等級1」に相当するレベルとなっています。
耐震等級1 | 震度6強~7程度の数百年に一度レベルの地震ではすぐに倒壊や崩壊をしない 震度5程度の数十年に一度発生する地震ではすぐに住宅が損傷しない ※現行の建築基準法で定められた最低限の耐震性能を満たしている |
耐震等級2 | 「耐震等級1の1.25倍」の地震が起きてもすぐに建物が倒壊や損壊、損傷しない |
耐震等級3 | 「耐震等級1の1.5倍」の地震が起きてもすぐに建物が倒壊や損壊、損傷しない |
家の耐震性を知るには?
家の耐震性を知るには、次の方法が考えられます。
- いつ建てられたかを知る
- 耐震等級を知る
- 耐震診断を受ける
いつ建てられたかを知る
既存の住宅であれば1981年以前に建てられたものかそれ以降に建てられたものかで耐震基準が「旧耐震基準」か「新耐震基準」かを知ることができます。
また、木造住宅の場合、2000年以降に建てられたものであればさらに耐震性が強化された基準で建てられていることがわかります。
確認する際は、いつ完成したかではなく「いつ建築確認申請がいつ行われたか?」を見るようにしましょう。
- 1981年6月1日以降 → 旧耐震基準か新耐震基準かがわかる
- 2000年6月1日以降 → 木造住宅の場合、さらに強化された耐震基準で建てられている
耐震等級を知る
耐震等級は家の新築時に作成する「住宅性能評価書」に記載されてるので、そちらを確認しましょう。
ただし「住宅性能評価書」の作成は2000年から始まったものであり、義務ではなく任意であることから、ない場合もあります。
その場合に耐震等級を知るには、耐震診断を受けるとよいでしょう。
耐震診断を受ける
耐震診断は、専門家によって家の現在の耐震性を把握でき、耐震基準との合致や耐震等級を知ることのできる方法です。
また、診断後は診断結果に基づいて、必要に応じて地震対策の提案を含めた報告書を提出し、耐震補強工事などを行うこともあります。
耐震診断は各自治体によって補助金が給付されるケースが多いため、管轄の自治体へ確認してみるとよいでしょう。
また、家がどのような間取りかも倒壊しやすさに関係します。
一般的に1階のリビングが広い、吹き抜けがある、1階がガレージといった場合は同じ耐震性を持つ家でも倒壊のリスクは若干上がると考えられています。
家の耐震性や構造は個々で異なりますが、あらかじめ考慮しておくと良いでしょう。
耐震性にプラスしてより安全にするには「耐震+制震」
お伝えしたように、日本では耐震基準の改正や各種法の策定等によって、建物の耐震性は年々向上しています。
そして近年、耐震性の向上にプラスして制震の技術を取り入れる、「耐震+制震」が住宅の地震対策として注目されています。
制震とは「制震装置(制震ダンパー)の設置によって地震の揺れを吸収し、建物の揺れを抑制する技術」のことを言います。
「耐震」には建物の倒壊リスクを下げる効果がありますが、頑丈な分地震の揺れによるダメージを蓄積してしまうため、繰り返しの揺れに弱いという弱点があります。
一方「制震」はそれ単体では建物を頑丈にすることは難しいですが、制震装置によって揺れのエネルギーを吸収するため、建物へのダメージを大幅に軽減し、繰り返しの揺れにも効果を発揮します。
つまり耐震と制震を組み合わせることでお互いの弱点をカバーするだけでなく、相乗効果によってより安全な地震対策を施すことができるのです。
制振装置は一般的に制震ダンパーが用いられます。
制震ダンパーにはゴムダンパー、鋼材ダンパー、オイルダンパーなど種類がありますが、用途によって選択し設置します。
このように耐震性を高めた住宅に制震ダンパーを設置する方法は、大手ハウスメーカーを始め、多くの住宅メーカーや工務店で取り入れられています。
標準仕様として制震ダンパーを設置しているハウスメーカーも増えています。
なお、制震ダンパーについては詳しい資料がございます。ご興味のある方は下記のバナーよりお気軽にご請求ください。
まとめ:1階・2階どちらが安全かは建物の耐震性による
地震の発生時に1階と2階のどちらが安全かは、「家の耐震性」によります。
基本的に、
- 耐震が高い場合は1階がより安全
- 耐震が低い場合は2階がより安全
ということになります。
間取りの影響も少なからず受けるので間取りにも注目しておきたいところです。
自分達の住んでいる家が1階、2階どちらが安全かを考える際は、まずは今住んでいる家、またはこれから建てる家の耐震性を把握しておくことが大切です。
より安全な家にするためには、耐震性の向上+制震ダンパーの設置がおすすめです。
住まいの地震対策として注目の「制震ダンパー」
制震ダンパーの設置は新築の際はもちろん、リフォームやリノベーションと合わせて制震ダンパーを設置したり、耐震工事と合わせて制震ダンパーを設置するケースも増えています。
制震の技術を取り入れるには、どんな制震ダンパーでもよいわけではありません。
- 確かなエビデンスに基づいた性能
- 確固たる実績
を必ずご確認ください。
平時の今だからこそ、制震のメリットを大切な住まいへ取り入れてみてはいかがでしょうか。
制震ダンパー「αダンパーExⅡ」とは
トキワシステムの制振装置である制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は特殊オイルを用いたオイルダンパーです。
「αダンパーExⅡ」は東京工業大学・静岡大学・豊田工業高等専門学校・岐阜県立森林文化アカデミーなどの数多くの学術研究機関による性能試験をクリアし、その確かな性能が認められています。
制振ダンパー「αダンパーExⅡ」の特徴を簡単にまとめました。
- 建物の変形を約1/2に低減し、建物の損傷を大幅に軽減する高い性能
- 副資材が不要、半人工以下の簡易施工を実現する施工性の高さ
- 120年の製品保証とメンテナンスフリーの実現による耐久性の高さ
- コストパフォーマンスの高さ
- さまざまな研究機関などで実施した実証実験による信頼性
- 18,000棟以上にもおよぶ採用実績
- 新築へも既存住宅へもフレキシブルに施工可能
次の制震装置付き耐力壁試験の動画をご覧ください。
続いて、次の実証実験結果をご覧ください。
耐震工法で建てられた住宅に制震装置『αダンパーExⅡ』 を設置すると、設置前に比べて大きく地震の揺れが軽減されることがわかります。
(※radとは、radian(ラジアン:層間変形角を意味する国際単位)の略で、柱の傾きを示し、分母の数字が大きくなるほど実際の傾きは少なくなります。)
このように数ある制震ダンパーの中でもトキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は十分な採用実績、きちんとした裏付けに基づいた安心の技術でお施主様のご自宅をお守りします。
大切なあなたの家族を守りたい ―KEEP YOUR SMILE―
いつ起きるかわからない地震。
恐ろしい地震から、誰もが家族や住宅を守りたいと願うものです。
トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は、耐震化された住宅の弱点を補いつつ、建物の倒壊防止に効果を発揮します。
この機会に、ご自宅に制震ダンパーを取り入れてみませんか?
「この住宅には設置できるの?」
「取り入れてみたいけれどどうやって設置するの?」
などご質問やご不明な点等ございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせフォームはこちらからどうぞ。
資料請求フォームからもご質問等受け付けております。