災害レジリエンスとは?最近よく聞くキーワードから地震対策を考える
地震大国日本ではあらゆる方面から地震への対策が考えられています。
そんな中、最近よく「災害レジリエンス」「防災レジリエンス」といったワードを耳にするのではないでしょうか。
レジリエンス(resilience)自体は「回復力、復元力、弾力性」といった意味に和訳される単語で、物理の世界では「弾力、はね返す力」、心理学の世界では「精神的回復力」として用いられています。
では「災害レジリエンス」とは一体どのような意味で用いられるのか、災害の中でも「地震」におけるレジリエンスとはどのようなものなのかについて、国策などの例を挙げながらご説明します。
・災害レジリエンスとは何かがわかります。
・地震における災害レジリエンスを高める方法お伝えします。
目次
災害レジリエンスとは
レジリエンスとは冒頭でもお伝えしたように「回復力、復元力、弾力性」といった意味を持つ単語で、もともとは物理の世界で用いられるものでした。
心理学やビジネスシーンなどにおいては「精神的回復力」という意味で用いられており、様々なトラブルや困難、危機的な状況や強いストレスなどに直面したときに速やかに回復する力や適応する精神力を指します。
このようにレジリエンスは大きくは「環境が変化していく中でそれに適応できる力」という意味でよく用いられます。
そして本題の「災害レジリエンス」ですが、災害レジリエンスとは言い換えるといわゆる「災害対応力」となり、「防災レジリエンス」と呼ばれることもあります。
具体的には災害が起きたときのための対策や起きたときの対応力、被災してしまった後の復旧力や復興力などを指し、これらの力を高めることが求められています。
災害レジリエンスは2015年に宮城県仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」において、「災害に対するコミュニティや社会が、その基本構造や機能の維持・回復を通じて、災害の影響を適時にかつ効果的に防護・吸収し、対応するとともに、しなやかに回復する能力」と定義づけされています。
災害レジリエンスを構造的に考えるうえで大切な要素として、「予防力(予防策)」「順応力(順応策)」「転換力(転換策)」の3つがあります。
ではそれぞれをもう少し詳しく解説したいと思います。
予防力(予防策)
予防力(予防策)とは、直面する災害を防止し、被害を未然に防止する予防策や予防的対応のことです。
例としては
- 公共施設・木造住宅・マンション等の建物の不燃化
- 公共施設・木造住宅・マンション等の建物の耐震化
- 企業におけるBCM(事業継続マネジメント)の策定
- 企業におけるBCP(事業継続マネジメント)の演習
などが挙げられます。
災害の規模がこうした予防策の範囲内であれば、地域社会のシステムは大きな影響を受けることなく、通常レベルの活動を維持することができると考えられています。
また、こうした予防力をたかめるには、あらかじめ科学的根拠のある情報に基づいた「予測」をしておくことも大切です。
順応力(順応策)
順応力(順応策)とは、災害が事前の対策や想定を上回る状況になった場合、その影響を受け入れつつ社会の様々なシステムを変えるなど臨機応変に対応することです。
例として
- あらかじめ整備していた堤防が決壊する恐れがある場合には避難所へ避難する
- 病院や診療所が災害発生時に被災者への避難所や被災者への医療機関とする
などのように、通常の被害の程度を最小限にするための行動などが該当します。
想定を超えるレベルの災害が起きた場合、その災害による影響を一定程度受け入れつつ状況に応じて被害を最小限にすべく、社会のシステムを臨機応変に変えながら対応する力(順応力)が必要です。
災害による影響が消滅したときに以前のレベルまで回復可能な規模が、順応策によって対応できる範囲と考えられています。
転換力(転換策)
転換力(転換策)とは、以前の状態まで回復可能なレベルを超える災害がおきた場合、抜本的に対策を転換することです。
例としては、
- 堤防決壊後に被害を受けたオフィス等の建築物を別の場所へ移転する
- 津波被害を受けた地域の土地利用の見直しや高台への移転を行う
- 復興への経済力向上のために労働人口を増やす対策をとる
などが挙げられます。
順応策によるスムーズな復旧ができない場合は、土地や建物だけでなく、根本的に地域や社会のシステムの在り方を変えていかなければなりません。
国の災害レジリエンスへの取り組みは
国においても災害へのレジリエンスとして、2013年12月に「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」が制定され、「ナショナル・レジリエンス(国土強靱化)」として防災や減災を主軸にこれらを高められるよう取り組んでいます。
ナショナル・レジリエンス(国土強靱化)では、大災害が起きた場合でも
- 人命の保護
- 経済社会の維持
- 迅速な復旧復興
- 財産及び公共施設の被害最小化
ができることを、行政、企業、地域、個人で目指して取り組もうというものです。
国土強靱化とは、地震や津波、台風などの自然災害に強い国づくり・地域づくりを目指す取組のことです。
引用:内閣官房HP 「すすめよう災害に強い国づくり」パンフレットより
国土強靱化(ナショナル・レジリエンス)、防災・減災の取組みは、国家のリスクマネジメントであり、強くてしなやかな国をつくることです。また、日本の産業競争力の強化であり、安全・安心な生活づくりであり、それを実現する人の力を創ることです。国民の命と財産を守り抜きます。
引用:内閣官房HP
国の取り組み例
ナショナル・レジリエンスとして、国として次のような取り組みを行っています。
①防災のための重要インフラ等の機能維持
- 大規模な浸水、土砂災害、地震・津波等による被害の防止・最小化
- 救助・救急、医療活動などの災害対応力の確保
- 避難行動に必要な情報等の確保
②国民経済・生活を支える重要インフラ等の機能維持
- 電力等エネルギー供給の確保
- 食料供給、ライフライン、サプライチェーン等の確保
- 陸海空の交通ネットワークの確保
- 生活等に必要な情報通信機能・情報サービスの確保
このような内容を柱として、国として全国各地で取り組みがなされています。
具体例として、
- 最上川の堤防法尻補強(山形県)
- 自衛隊施設の耐震化(栃木県)
- 災害対策に必要な資機材の整備(全国)
- 災害対応システムの標準仕様策定による避難行動の推進
- 耐震補強で地震による高圧ガス設備の人的被害の抑制(全国)
- 災害に強い浄化槽の整備等による防災対策の拡充(全国)
- 携帯電話基地局等の迅速な応急復旧のための体制整備
- 耐震補強による学校施設の安全性の確保(福岡県)
など他にも多数の取り組みが、全国各地で実施されています。
地域の取り組み例
ナショナル・レジリエンスへの取り組みは、地域でも行われています。
一例では、
- 防災おやこ手帳の制作(岡山県)
- 「札幌時計台ビル」地区防災計画策定(北海道)
などが挙げられます。
防災おやこ手帳では分散避難に関する「マイ避難先」、避難行動のタイミングを示した「避難スイッチ」、避難時の「持ち出しグッズ」などがわかりやすく掲載されています。
「札幌時計台ビル」ではテナント従業員が災害時にビル内に3日間滞在できるよう、充電スペースや休憩所の設置、物資の支援、情報提供などを行っています。
また、
ビル内の各テナントが集結し、保育園児の安全を守る「保育園対応チーム」も立ち上げています。
私たちが取り組める災害レジリエンス
では個人で災害レジリエンスを高めるにはどのようなことができるでしょうか。
上記グラフはナショナル・レジリエンスにおいて個人がどれくらい災害に備えているかのアンケートです。
グラフからもわかるように、アンケートが実施された令和3年実施で何らかの対策をしている個人は56%と、約半分強です。
これらの数字をみてどう感じるでしょうか。
私たちが個人で取り組める災害レジリエンスには、次のようなことが挙げられます。
- 食料や飲料水の備蓄
- 避難場所や避難経路の確認
- 家具や家電の固定
- 自治体等の災害情報メールへの登録
- 災害時の家族の安否確認方法の共有
- 防災訓練への参加
- 家屋の耐震化
- 家具の配置の工夫
- ハザードマップの確認
この中にはすぐに取り組めることもたくさんあるのではないでしょうか。
地震に対する災害レジリエンスを高めるには
さまざまな災害がありますが、地震は地震大国日本で懸念される災害の筆頭に挙げられるのではないでしょうか。
個人の地震に対する災害レジリエンスを高めるには、
- 家具や家電の固定
- 家具の配置の工夫
- 家屋の耐震化
- 地震が起きたときの避難経路の確認と確保
- 地震発生後に取るべき行動の把握
はぜひ行っておきたい内容です。
家具や家電の固定、家具の配置に関する詳細はこちらのコラムをご参考下さい。
これらは実施してない場合、すぐにでも取り掛かれる内容です。
<参考コラム>
地震が起きたときの避難経路は、ハザードマップは実際に歩いて確認しておくこと以外にも、屋内から外へ出るための通路が確保できるかどうかも重要です。
また、地震が起きた後すぐにどのような行動をとればよいのかもしっかりと把握しておきましょう。
状況別の詳しい行動については、次のコラムをご参考下さい。
<参考コラム>
そして地震対策における建物被害の大小を左右するのが家屋の耐震化です。
家屋の耐震化は、マンション等の集合住宅では対策として行われているケースがほとんどでしょう。
では戸建て住宅ではどうでしょうか。
一般的な戸建住宅では、新築の場合一定の耐震基準が設けられているため、耐震等級1レベルの耐震性は確保されています。
また、築年数が経過している戸建住宅についても、耐震化工事をおこなうことで耐震性を高めることができます。
<参考コラム>
大規模な地震が懸念されている今、住宅の耐震性だけでなく「耐震化+αの地震対策」として、住宅へ「制震」の技術を取り入れる方法が注目されているのはご存知でしょうか。
現在、大手ハウスメーカーを始め工務店等でも制振装置も標準で装備されているところが増えており、「耐震+制震」が新たなスタンダードになりつつあります。
家屋の耐震化を行う際は、ぜひ制震もあわせて取り入れることをおすすめします。
制震の技術は制震装置である制震ダンパーを住宅へ設置することで取り入れることができます。
制震装置の多くは新築時に設置されますが、製品によっては既存の住宅への設置も可能です。
「制震」に関する詳しい内容は次のコラムをご参考下さい。
<参考コラム>
また、制震ダンパーについて詳しく知りたい方は、下記バナーより詳しい資料をお送りしております。
お気軽にご請求ください。
まとめ
今回のコラムでは災害レジリエンスについてお伝えしました。
こうした取り組みは国でも行われていることからもわかるように、災害、特に地震におけるレジリエンスは高めておくに越したことはありません。
国が、地域が、企業が、そして個人が災害レジリエンスを高めることで、万が一災害が起きたときに被害を最小限にとどめることができるのではないでしょうか。
住まいへ取り入れたい「制震ダンパー」
法改正等により住宅の耐震化が当たり前となってきている今、耐震化された住宅へ「制震」の技術をとりいれる方法は住宅への地震対策として年々広がりを見せています。
住宅を新築する際はもちろん、リフォームやリノベーションと合わせて制震ダンパーを設置したり、耐震工事と合わせて制震ダンパーを設置するケースも増えています。
制震の技術は耐震性の継続に効果を発揮し、耐震の弱点をカバーする。
そんな制震の技術を住まいへ取り入れて、ご家庭の災害レジリエンスを高めてみてはいかがでしょうか。
制震の技術を取り入れるには、どんな制振装置でもよいわけではありません。
- 確かなエビデンスに基づいた性能
- 確固たる実績
を必ずご確認ください。
制震ダンパー「αダンパーExⅡ」とは
トキワシステムの制振装置である制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は特殊オイルを用いたオイルダンパーです。
トキワシステムの振動計測器メーカーとしての経験と技術が認められ、名古屋の国立研究機関からの要請による「木造住宅専用の振動測定装置」の開発を経て、振動を吸収する技術に特化した「αダンパーExⅡ」を開発しました。
10年以上、そして中部圏(東南海地震警戒地区)を中心に18,000棟の実績があり、おかげさまで東海地域ではナンバーワンの実績です。
また、「αダンパーExⅡ」は東京工業大学・静岡大学・豊田工業高等専門学校・岐阜県立森林文化アカデミーなどの数多くの学術研究機関による性能試験をクリアし、その確かな性能が認められています。
制振装置「αダンパーExⅡ」の特徴をまとめると、次の通りです。
- 建物の変形を約1/2に低減し、建物の損傷を大幅に軽減する高い性能
- 副資材が不要、半人工以下の簡易施工を実現する施工性の高さ
- 120年の製品保証とメンテナンスフリーの実現による耐久性の高さ
- コストパフォーマンスの高さ
- さまざまな研究機関などで実施した実証実験による信頼性
- 18,000棟以上にもおよぶ採用実績
- 新築へも既存住宅へもフレキシブルに施工可能
次の制震装置付き耐力壁の実験動画をご覧ください。
続いて、次の実証実験結果をご覧ください。
耐震工法で建てられた住宅に制震装置『αダンパーExⅡ』 を設置すると、設置前に比べて大きく地震の揺れが軽減されることがわかります。
(※radとは、radian(ラジアン:層間変形角を意味する国際単位)の略で、柱の傾きを示し、分母の数字が大きくなるほど実際の傾きは少なくなります。)
このように数ある制震ダンパーの中でもトキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は十分な採用実績、きちんとした裏付けに基づいた安心の技術でお施主様のご自宅をお守りします。
大切なあなたの家族を守りたい ―KEEP YOUR SMILE―
いつ起きるかわからない地震。
恐ろしい地震から、誰もが家族や住宅を守りたいと願うものです。
トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は、耐震化された住宅の弱点を補いつつ、建物の倒壊防止に効果を発揮します。
「この住宅には設置できるの?」
「取り入れてみたいけれどどうやって設置するの?」
などご質問やご不明な点等ございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせフォームはこちらからどうぞ。
資料請求フォームからもご質問等受け付けております。