災害時の自助・公助・共助とは?地震に備えた自助をわかりやすく解説
地震に限らず災害の多い昨今、「自助・公助・共助」という言葉を耳にする機会が増えました。
一方で、具体的な内容がわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回のコラムでは「自助・公助・共助」とは何かをわかりやすくご説明するとともに、地震に備えた「自助」について、どのようなことをすればよいのかご紹介します。
・自助・公助・共助とは何かがわかります。
・特に地震に備えた自助ではどんなことをすればよいかがわかります。
目次
自助・公助・共助とは
最近よく耳にする「自助・公助・共助」という言葉は、もともとは社会福祉の分野からうまれた言葉です。
1994年に「高齢社会福祉ビジョン懇談会」において、21世紀の少子・高齢社会について示した「21世紀福祉ビジョン」が提言されました。
その中の地域福祉システムの構築に関する考えとして「自助・共助・公助」という言葉が出ています。
そして2000年頃から、「自助・共助・公助」という言葉が防災や災害支援分野で使われ始めました。
では地震などの防災や災害時における「自助・共助・公助」とは具体的にどのようなことを指すのでしょうか。
次項より、自助、共助、公助のそれぞれについてもう少し詳しくみていきたいと思います。
自助とは
自助とは「自分(家族)の命は自分(家庭)で守る」という意識のもとに、日頃から災害に備えたり、災害時には事前に避難したりするなど、自分(家族)で防災に取り組むことをいいます。
「自助」の具体的な例
では「自助」では具体的にどのような事をすればよいのでしょうか。
1.水・食糧・常備品の備蓄
一番身近な自助として、まずは家庭で飲料水や食糧、常備品の備蓄を行っておきましょう。
備蓄の目安は次の通りです。
- 食糧:発災後3日分(できれば7日分)を乗り切る人数分
※米、即席麺、缶詰、レトルト食品、調味料、スープ、みそ汁、チョコレート、あめなど
- 水(1 人 1 日 3 リットルが目安)
- 燃料:カセットコンロ、予備のボンベ、ランタンなど
- 災害用トイレ:(1人分の目安:5回/1日当たり)
- 紙類:トイレットペーパー、ウエットティッシュ、ティッシュ
- 衛生用品:タオル、消毒、マスク、歯ブラシ、生理用品、おむつなど
- 医療品:常備薬、絆創膏・消毒薬、体温計
※米、即席麺、缶詰、レトルト食品、調味料、スープ、みそ汁、チョコレート、あめなど
- 食器類:鍋、やかん、割り箸、紙皿、紙コップ、ラップ、アルミホイルなど
- 着替え:衣類、下着類
- 寝具:毛布、タオルケット、寝袋など
- 生活備品:めがね、補聴器、杖など
- 暖がとれるもの:アルミシート、使い捨てカイロなど
- その他:新聞紙、ポリ袋、ブルーシート、ロープ、スコップ、安全靴など
2.非常持ち出し品の準備
家庭で蓄えておく備蓄品とは別に、避難する際に持ち出せる非常持ち出し品の準備もしておきましょう。
非常持ち出し品の目安は次の通りです。
- 飲料水(ペットボトル)
- 非常食(缶詰、栄養補助食品など)
- 携帯電話・充電器(充電器、手動充電器)
- 貴重品(現金、預金通帳、健康保険証、権利証書のコピーなど)
- 懐中電灯(予備の電池)
- 携帯ラジオ(予備の電池)
- 衛生用品:タオル、ティッシュ、ウエットティッシュ消毒、マスク、歯ブラシ、生理用品、おむつなど
- 着替え:衣類、下着類
- 医療品:常備薬、絆創膏・消毒薬、体温計
- ポリ袋、レジ袋
- 雨具:レインコート、折りたたみ傘など
- その他:軍手、ライター、マッチ、ろうそく、ナイフ、缶切り、栓抜きなど
- ヘルメット、防災ずきん
3. 災害時の家族の連絡方法・安否確認方法の共有
災害時には携帯電話の通信状況が悪くなったり、家族が学校や会社などそれぞれの場所にいるため、すぐに家族と連絡が取れない状況が想定されます。
地震などの災害発生時にどのように連絡を取り合うか、あらかじめ家族で話し合って共有しておきましょう。
災害時に有効な連絡の手段には次の二つがあります。
【三角連絡法】
離れた場所に住む家族や親戚、知人の家を連絡先に決め、そこを中継点にして家族の安否確認や連絡をとる方法。
携帯電話、LINE、メール等を使わない方でも活用できる方法。
【災害用伝言サービス災害用伝言ダイヤル(171)】
固定電話で「171」をダイヤルすれば安否等の伝言を録音、確認が可能。
- 災害用伝言板
携帯電話やPHS 等から利用可能。
- 災害用ブロードバンド伝言板(web171)
インターネットを利用した伝言板
4.ハザードマップ・避難経路の確認
近年の自然災害の増加をふまえて、自治体によるハザードマップが作成されています。
自分達の住んでいる地域や通っている学校・会社がある地域のハザードマップをあらかじめ確認しておき、危ない箇所の確認と避難経路の確認をしておきましょう。
また、これらを家族間で共有しておきましょう。
5. 近隣の人と顔なじみになっておく
万が一の時には近隣の人たちと助け合う、いわゆる共助(共助の詳しい内容については後述)も大切になってきます。
共助ができるためには自助として普段から近隣の人と顔なじみなっておき、いざという時に協力できる関係づくりを行っておくことが大切です。
6.防災訓練への参加
学校や会社、そして地域での防災訓練に積極的に参加しておくのも自助のひとつです。
やはり災害時にどうすればよいかを一度でも経験しておくことで、実際に起きたときに慌てず行動することができます。
特に地域で行われる防災訓練がある場合は、先述の近隣の人と顔なじみになれる機会でもあるので積極的に参加しておくと良いでしょう。
7.家具類の転倒防止
過去の地震を振り返っても、室内での家具や家電等の下敷きになるといった事例は死亡や負傷の原因の大半を占めています。
家具や大型家電などは固定しておくことで転倒の危険を大きく回避することができ、手間や費用もほとんどかからないため、自分たちの身の安全を守る「自助」の一環としてすぐ出来ることのひとつです。
地震に備えた家具の固定方法に関する参考コラムを載せていますので、有効な固定方法を知って実践してみましょう。
8. 個人住宅の耐震化・地震対策
地震による死因や負傷の原因の多くが家屋の倒壊による圧死でした。
阪神淡路大震災ではなくなった方の8割は圧死によるものとの調査結果もあります。
このような震災など大きな地震による被害を経て、近年は法整備等により個人の住宅の耐震化が進められておりその効果もみられています。
最近では住宅の耐震化だけでなく、「制震」の技術を取り入れる方法も注目されています。
地震は夜寝ている間に起こる可能性も高く、個人でもできる住宅の地震対策は被害を軽減するための大きなポイントとなります。
共助とは
続いて「共助」についてお伝えします。
共助とは、災害時に自分(家族)の安全を確保したのちに、地域や組織のみんなと助け合うことです。
自助の項目でもお伝えしたように、万が一の時にお互い円滑に助け合うことができるよう、日頃から協力できるような関係づくりをしておくことも大切です。
「共助」の具体的な例
共助の具体的な内容は、地域におられる災害時要援護者の避難の際に協力したり、地域の方々と消火活動を行うなどといった行動が挙げられます。
また、平時に自主防災組織の活動に参加するのも共助のひとつです。
自主防火組織とは地域などで自主的に防災活動を行う組織のことを指します。
自主防災組織の活動は、大規模災害の発生に備えて地域内の安全点検や防災知識の啓発を行ったり、初期消火訓練や搬送訓練など防災訓練を行ったりします。
また、実際に地震などの災害発生時には初期消火活動、被災者の救出・救助、情報の収集や避難所の運営といった活動をおこないます。
公助とは
公助とは国や県や市町村、消防や警察や自衛隊等による救助や災害支援、復旧活動といった公的機関が行う援助のことをいいます。
「公助」の具体的な例
公助の内容は国や県や市町村、公的機関などそれぞれに担う内容は異なってきますが、一般的にプッシュ型支援とよばれる避難所への水や食料の提供、ライフラインの復旧、情報収集と発信・伝達、避難所の開設、災害時の人命救助や復旧・復興などが挙げられます。
レスキュー隊や自衛隊による被害に遭われた方の救助活動や、支援物資の提供なども公助です。
災害が起きたときだけでなく、土砂をせき止めるための砂防ダムの建設や氾濫を防ぐための河川敷の整備、水・食糧・備蓄品を蓄えている防災倉庫の整備なども公助にあたります。
こうした「公助」はとても大きな役割を担ってはいますが、大規模災害が起きた場合は救助や援助をする人手の不足など、公助にも限界が生じてしまいます。
災害においてまずは平時からの「自助」と「共助」がとても大切であることから、自治体による「自助・共助」の啓発活動や支援活動なども公助に含まれます。
東京都の災害時「公助」の例
ここで公助の具体的な例として、「東京防災プラン2021」より東京都が災害に備えて行っている公助の取り組みの一例をみてみましょう。
東京都では計画期間を2021~2023年度(令和3~5年度)として、次の目的で「東京防災プラン2021」を実施しています。
「自助」、「共助」の担い手である都民や地域、企業等の理解と協力、「公助」を担う都が一体となって、本プランに掲げる取組を推進することで、安全・安心な東京の実現を目指すこと。
防災分野におけるDXの推進や、感染症と自然災害との複合災害、近年の災害の教訓等を踏まえた新たな対策を取り入れ、地震や風水害・火山噴火等の防災対策を充実・強化していくこと。
引用:東京都防災ホームページ「東京防災プラン2021」より
この中で公助の主な取組として、次のような事柄に取り組んでいます。
- 防災分野におけるDXの推進
- 複合災害(感染症×自然災害)対策
- 防災上重要な公共建築物や住宅・マンション等の耐震化
- 防災ブック活用等による意識醸成、各種防災訓練等の指導
- 消防団員の確保、不燃化特区制度の取組推進
- 要配慮者等の避難対策の推進、都内全域の無電柱化の推進
- 関係機関と連携した情報収集及び多様なツールによる情報発信
- 一斉帰宅抑制等に関する普及啓発、一時滞在施設等の確保
- 施設の安全性確保、避難所運営における多様な視点での配慮
- 水道施設等の耐震化、要配慮者や女性の視点に配慮した食料・生活必需品の備蓄や輸送体制の強化
- 緊急輸送道路の機能確保、救出救助に係る資機材整備や訓練
- 多様な輸送手段確保、住家被害認定調査・罹災証明の迅速化
- 津波避難施設等の整備、火山噴火に備えた施設の整備促進
- 港湾・漁港施設の耐震化等による緊急輸送機能の確保
- 非常用電源の設置促進、東京マイ・タイムライン等による啓発
- 雨量や河川の水位・映像等の発信機能強化
- 中小河川・下水・海岸保全施設の整備、地下鉄等の浸水対策
都では今までの災害を基に公助としてできること、すべきことを年々積み重ね、さらにこのように新たにすべきことを計画し、進捗の振り返り等も行っています。
このように公助も日々内容をアップデートしながら私たちの災害に備えてくれていることがわかります。
まとめ
今回のコラムでは災害時の「自助・公助・共助」についてお伝えしました。
国や自治体は大きな災害があるごとや定期的に公助について見直しを行い、内容がより充実するように取り組んでいますが、まずは日頃から「自助」と「共助」としてできることをしておくことがとても大切だということがわかりました。
自然災害はいつ起きるかわかりません。
特に地震は南海トラフ巨大地震や首都直下型地震など、甚大な被害が予測される地震の発生が危惧されています。
平時である今こそ、自助や共助としてまだ取り組んでいないことがあれば、できることから始めてみてはいかがでしょうか。
住まいへの「自助」として取り入れたい「制震ダンパー」の設置
住宅の耐震化は今や欠かせない地震対策のひとつです。
私たちの命や財産を守るために「自助」として私たちができる地震対策として、住宅へ「制震ダンパーの設置」ができるのはご存知でしょうか。
法改正等により住宅の耐震化は随分進められもはや常識となってきている今、耐震化された住宅へ「制震」の技術をとりいれる方法が注目されています。
こうした「耐震化+制震」は大手ハウスメーカーなどでも広く取り入られるようになってきています。
制震を取り入れるには、住宅に「制震ダンパー」と呼ばれる制震装置を設置する方法が最も一般的です。
制震ダンパーとは、「地震による揺れを吸収して振動伝達量を抑えるための装置」です。
制震ダンパー「αダンパーExⅡ」とは
トキワシステムがおすすめする制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は特殊オイルを用いたオイルダンパーで、次のような特長があります。
- 建物の変形を約1/2に低減し、建物の損傷を大幅に軽減する高い性能
- 副資材が不要、半人工以下の簡易施工を実現する施工性の高さ
- 120年の製品保証とメンテナンスフリーの実現による耐久性の高さ
- コストパフォーマンスの高さ
- さまざまな研究機関などで実施した実証実験による信頼性
- 18,000棟以上にもおよぶ採用実績
次の制震装置付き耐力壁の実験動画をご覧ください。
続いて実証実験結果をご覧ください。
耐震工法で建てられた住宅に制震ダンパー「αダンパーExⅡ」を設置することで、柱の変位量が最大55%低減できることがわかります。
このように数ある制震ダンパーの中でもトキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は安心・高品質な制震装置で、小型化により施工も容易なため住宅の新築時の施工はもちろん、既存住宅への設置も可能です。
大切なあなたの家族を守りたい ―KEEP YOUR SMILE―
いつ起きるかわからない地震。
恐ろしい地震から、誰もが家族や住宅を守りたいと願うものです。
トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は、耐震化された住宅の弱点を補いつつ、建物の倒壊防止に効果を発揮します。
耐震性の優れた住宅に制震ダンパーをプラスして、より安心・安全な住宅を目指してみませんか?
「αダンパーExⅡ」があなたの大切な住宅をしっかりとサポートします。
「この住宅には設置できるの?」
「取り入れてみたいけれどどうやって設置するの?」
などご質問やご不明な点等ございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。