日本海溝・千島海溝について知っていますか?周辺域での巨大地震に備えて
日本の周辺の海底にはいくつもの「海溝」が存在しています。
その中でも日本の北部にある日本海溝・千島海溝では、2011年に起きた東北地方太平洋沖地震に代表されるような巨大地震が何度か起きていることはご存知でしょうか。
今回のコラムでは記事では日本海溝・千島海溝についてご説明するとともに、今後このエリアで想定される巨大地震についてご紹介します。
・日本海溝・千島海溝周辺で想定される地震を知ることができます。
・巨大地震が起きることを想定していれば備えができます。
目次
海溝とは
はじめに「海溝」とは何かについて、あらためて確認しておきたいと思います。
海溝とは
海溝とは海底が深く細長い溝状になっている地形のことで、通常プレート境界にあり、プレートの一方が他方へ沈み込むことによって形成されます。
非常に深い溝であり、溝の両側斜面が比較的急で断面は非対称となっているのが特徴です。
水深は通常6,000m以上のものを海溝と呼び、最大で10,000mに達するものも存在します。
トラフとは
海溝と似ている海底構造に「トラフ」があり、日本の周りにも南海トラフ、相模トラフなどが存在しています。
トラフとは舟状海盆とも呼ばれ、海溝と比較して水深が浅く(6,000m未満)幅も広いものを指し、両側斜面は比較的緩やかになっています。
基本的には海溝と同じくプレートの沈み込みに伴って形成されますが、中には海洋底の拡大などによって形成されているものもあります。
日本海溝・千島海溝とは
海溝日本海溝と千島海溝は、太平洋プレートの沈み込みによって形成されている海溝です。
では日本海溝、千島海溝についてもう少し詳しくみてみましょう。
日本海溝とは
日本海溝とは北海道の襟裳岬沖から房総半島沖にかけて続く巨大な海溝のことで、海溝の長さは800km、海溝の平均幅は100kmです。
北部は襟裳岬沖から東へ向けて千島海溝へと続き、南は伊豆・小笠原海溝へと続いています。
大変要側の海底に、日本の海岸線とほぼ並行して存在し、最も深いところで8,020mにも達します。
太平洋プレートは東南東の方向から年間8cm程度の速さで日本列島へ向けて移動しており、太平洋プレートが陸のプレート(北米プレート)の下に沈み込む場所に日本海溝は形成されています。
千島海溝とは
千島海溝はカムチャツカ半島の東から千島列島南岸に沿って北海道の南東に延びる海溝で、海溝の長さは2,200km、海溝の平均幅は120kmです。
千島・カムチャッカ海溝やクリル海溝とも呼ばれます。
南部は日本海溝へ続き、北端はアリューシャン海溝と接しています。
千島海溝の大部分は水深7,000m以上あり、最も深い所は9,550mに到達します。
千島海溝も日本海溝と同様に、太平洋プレートが陸のプレート(北米プレート)の下へ沈み込むことによって形成されています。
日本海溝・千島海溝沿いで起きた巨大地震
冒頭でもお伝えしたように日本海溝・千島海溝沿いでは、プレート境界での地震、地殻内や沈み込むプレート内での地震など、マグニチュード7~9クラスの巨大地震が過去に幾度となく発生し大きな被害をもたらしてきました。
これらを震源とする地震ではしばしば津波の被害もあるため警戒されています。
一方で日本海溝・千島海溝沿いで発生した地震に関する資料は意外と少なく、日本海溝沿いでは869年にあった貞観地震の記録を除いて約400年前までの資料、千島海溝沿いでは約200年前までの資料しか残ってないことがわかっています。
その中で記録に残されている主な地震を海溝別にご紹介します。
日本海溝沿いで発生した巨大地震
日本海溝沿いで発生する地震は、震源域のエリアによって「三陸沖地震及び三陸沖北部地震(青森県東方沖・岩手県沖北部・岩手県沖南部)」「宮城県沖地震」「福島県沖地震」「茨城県沖地震」「房総沖地震(千葉県東方沖地震)」に大きく分けられます。
中には震源域が広くいくつかのエリアにまたがっている地震もあり、過去に発生した地震の中でも特に大きなものなどは個別の名称がつけられています。
<三陸沖地震及び三陸沖北部地震(青森県東方沖・岩手県沖北部・岩手県沖南部)>
- 東北地方太平洋沖地震(2011年):マグニチュード9.0(※震源域に含まれる)
- 三陸はるか沖地震(1994年):マグニチュード7.8
- 十勝沖地震(1968年):マグニチュード8.2
- 昭和三陸地震(1933年):マグニチュード8.4
- 明治三陸地震(1896年):マグニチュード8.5
- 安政八戸沖地震(1856年):マグニチュード7.5~7.7
- 寛政地震(1793年):マグニチュード8.0~8.4(※震源域に含まれる)
- 宝暦八戸沖地震(1763年):マグニチュード7.4~7.9
- 延宝八戸沖地震(1677年):マグニチュード7.4~7.9
- 慶長三陸地震(1611年):マグニチュード8.5
- 貞観地震(869年):マグニチュード8.3~8.6
<宮城県沖地震>
- 東北地方太平洋沖地震(2011年):マグニチュード9.0(※震源域に含まれる)
- 8・16宮城地震(2005年):マグニチュード7.2
- 宮城県沖地震1978(1978年):マグニチュード7.4
- 金華山沖地震(1936年):マグニチュード7.4
- 宮城県沖地震(1937年、1933年、1897年、1861年、1835年):マグニチュード7.0~7.4
- 寛政地震(1793年):マグニチュード8.0~8.4(※震源域に含まれる)
<福島県沖地震>
- 東北地方太平洋沖地震(2011年):マグニチュード9.0(※震源域に含まれる)
- 東北地方太平洋沖地震の余震(2011年):マグニチュード6.5
- 塩屋崎沖地震(1938年):マグニチュード7.5
- 貞観地震(869年):マグニチュード8.3~8.6(※震源域に含まれる)
<茨城県沖地震>
- 東北地方太平洋沖地震の余震(2011年):マグニチュード7.6
- 茨城県沖地震(2008年、2000年、1982年、1965年、1961年、1943年、1938年、1924年、1896年):マグニチュード6.4~7.1
<房総沖地震(千葉県東方沖地震)>
- 房総半島南東沖(1984年):マグニチュード7.6
- 房総沖地震(1953年、1909年):マグニチュード6.5~7.4
- 延宝房総沖地震(1677年):マグニチュード7.4~7.9(※震源域に含まれる)
- 慶長地震(1605年):マグニチュード8.0
特に2011年に発生した「東北地方太平洋沖地震」は震源域が広く、その後の余震も規模が大きいものが何度も発生しました。
千島海溝沿いで発生した巨大地震
千島海溝沿いでは周期的にマグニチュード8クラスの巨大地震が発生しています。
特に北海道や東北地方を中心に、津波による大きな被害が予想されるため警戒されています。
千島海溝沿いで過去に発生した巨大地震は次の通りです。
- 千島列島沖地震(2007年、2006年):マグニチュード8.1~8.3
- 十勝沖地震 (2003年、1952年、1915年、1843年):マグニチュード8.3~8.9
- 北海道東方沖地震(1994年):マグニチュード8.2
- 年釧路沖地震(1993年):マグニチュード7.5
- 根室半島沖地震 (1973年、1894年):マグニチュード7.1~7.9
- 択捉島沖地震(1963年、1958年、1918年):マグニチュード 8.0
- カムチャツカ地震(1952年):マグニチュード 9.0
- ウルップ島沖(1918年):マグニチュード7.7~8.0
- 千島列島沖地震(シムシル島沖)(1915年):マグニチュード 8.0
いずれも規模の大きな地震が発生していることがわかります。
日本海溝・千島海溝沿いで想定される巨大地震
では今後、どの様な地震が日本海溝・千島海溝沿いで想定されているのでしょうか。
地震調査研究推進本部内に設けられた「地震調査委員会」は、将来の発生が想定される地震の場所や規模、発生確率について評価を行い、それを「長期評価」として公表しています。
この評価は日本海溝沿い・千島海溝沿いの地震活動についても行われています。
日本海溝沿いの地震活動の長期評価
日本海溝沿いに関する長期評価は、東北地方太平洋沖地震の直後に「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価(第二版)」が公表されました。
その後新たな知見を取り入れられ、平成31年2月に「日本海溝沿いの地震活動の長期評価」を公表しました。
なお、表中の「青森県東方沖及び岩手県沖北部」「岩手県沖南部」エリアは、先述の日本海溝における過去の地震で「三陸沖地震及び三陸沖北部地震」に含まれているエリアです。
これらの地域で、今後30年以内に発生が想定される地震の規模と発生確率が評価されたものが、次の表になります。
超大型地震(東北地方太平洋沖型)については東北地方太平洋沖地震の発生からあまり時間が経っていないため、発生確率が3%未満(Ⅰランク)となっていますが、多くのエリアが30年以内の発生率が26%以上(Ⅲランク)と評価されており、マグニチュード7~8、そして9の巨大地震が発生する確率はとても高いといえます。
千島海溝沿いの地震活動の長期評価
では千島海溝沿いの長期評価はどのようになっているでしょうか。
次の表をご覧ください。
プレート間巨大地震の中でも十勝沖の領域では2003年の地震発生からあまり時間が経っていないため、地震発生確率は7%となっていますが、その他の領域ではほとんどが高い確率で発生すると評価されていることがわかります。
また、令和4年3月には政府が開催した「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会」の最終報告がなされました。
同検討会では「中央防災会議」の報告書の内容の見直しや、およそ6,000年間分の「津波堆積物資料」を基に最大クラスの地震の推計が行われ、各海溝での巨大地震として、
- 日本海溝地震:マグニチュード9.1
- 千島海溝地震:マグニチュード9.3
と想定されました。
これにより両地震において、
- 北海道から千葉県にかけて高い津波
- 岩手県宮古市で約30mの津波
- 青森県太平洋沿岸、岩手県南部の一部で震度6強
また、千島海溝地震では、
- 北海道えりも町沿岸で約28mの津波
- 北海道厚岸町付近で震度7
も想定されています。
こうした同検討会の想定数値は確度が高いという訳ではないそうですが、これくらいの巨大地震がきて津波被害が想定されると知らせることで我々の避難意識を高め、巨大地震が起きたときに少しでも被害を軽減することを目的として発表がなされているようです。
巨大地震に備えて私たちにできることとは?
政府機関による発表等を踏まえても、私たちは今の平時な時にこそ、巨大地震への備えを見直すことが大切です。
非常持ち出しや備蓄品の準備をしている方は多いと思われますが、いざという時のために日頃から地震に関する情報収集を行い、巨大地震が起きたときの身の安全確保方法や迅速な避難のための経路確認、連絡の取り方など家族やグループでも共有しておく必要があります。
まとめ
今回のコラムでは日本海溝・千島海溝に注目し、いままでに起きた地震やこれから起きうる地震についてお伝えしました。
南海トラフや首都直下型地震に意識がいきがちな中、やはり日本中のいたる所で巨大地震をはじめとする大きな地震の発生が懸念されています。
やはりいざという時に被害を最小限にとどめられるよう、日頃から意識して行動していくことが望まれるのではないでしょうか。
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