【九州地方の地震】日向灘とは?周辺で起きる地震と南海トラフ地震
南海トラフ地震が30年以内に起きる確率は70~80%といわれています。
南海トラフ地震とは、静岡県の駿河湾から日向灘(ひゅうがなだ)にかけてある「南海トラフ」と呼ばれる場所で繰り返し発生してきた地震のことで、マグニチュード8~9クラスの地震が約100~150年周期で起きていました。
今回のコラムでは南海トラフに属している「日向灘」に注目し、南海トラフ地震との関連性や過去に起きた地震、今後予測される地震について解説します。
・日向灘について詳細を知ることができます。
・日向灘とその周辺で起きる地震について知ることができます。
・南海トラフ地震との関連性について知ることができます。
目次
日向灘とは
日向灘(ひゅうがなだ)とは、宮崎県の日南海岸の都井岬から大分県の日豊海岸の鶴御埼までの海岸・沖合のことで、フィリピン海(北西太平洋)の一部にあたります。
北部はリアス式海岸、中部は砂丘海岸、南部は岩石海岸となっており、日豊海岸や日南海岸はその美しい景観から国定公園に指定されています。
黒潮が沖合を流れているため漁場としても豊かでな場所で、イワシ、ハマチ、カツオ、マグロ業が盛んでもあります。
日向灘と南海トラフ地震との関連性
冒頭でもお伝えしたように日向灘は「南海トラフ」と呼ばれるエリアを形成する区域に含まれているため、南海トラフ地震とは深くつながっています。
南海トラフとは
「南海トラフ」とは静岡県の駿河湾から愛知にわたる遠州灘、和歌山県から三重県にかかる熊野灘から紀伊半島の南側の海域、そして高知県の土佐湾から宮崎県の日向灘沖までにわたって形成されているトラフ(舟状海盆)です。
日向灘は「南海トラフ」を形成する区域に含まれています。
南海トラフ地震とは
南海トラフではフィリピン海プレート及びユーラシアプレートが接しており、プレートの境界では、フィリピン海プレートとユーラシアプレートが沈み込んだりずれたりを繰り返しています。
- フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込む(1年あたり数cmの速度)
- そのときプレートの境界が強く固着し、ユーラシアプレートが地下に引きずり込まれひずみが蓄積される。
- ユーラシアプレートが引きずり込みに耐えられなくなり、限界に達して跳ね上がることで地震(南海トラフ地震)が発生する。
なお、南海トラフ沿いのプレート境界では1、2、3が繰り返し起きているため、南海トラフ地震は約100~150年周期で繰り返し起きています。
約100~150年間隔で繰り返し発生してきたマグニチュード8~9クラスの大規模地震が「南海トラフ地震」です。
<参考コラム>
南海トラフ地震は過去にも繰り返し発生している!経緯を知って未来に備えよう
南海トラフ地震と日向灘
南海トラフを形成している日向灘も南海トラフ地震の震源となり得る可能性は当然あり、震源が近ければそれだけ地震規模や被害も大きくなることが予測されます。
たとえば日向灘のある日南市沿岸域では、南海トラフ地震で想定される規模はマグニチュード9.1、最大震度7と予測されています。
日向灘周辺で過去に起きた地震
日向灘周辺では南海トラフ地震だけでなく、「日向灘地震」とよばれる地震も十数年~数十年に一度の割合で発生しています。
日向灘周辺で発生する地震では、震源域が浅い場合は津波の恐れもあるため、注意が必要です。
日向灘周辺で発生する地震の多くはフィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界で発生する「プレート間地震」であり、過去の地震によると
- マグニチュード7.6前後の規模の地震
- ひとまわり小さいマグニチュード7.0~7.2程度の規模の地震
の二種類であることがわかっており、マグニチュード8以上の巨大地震が発生したことは記録として残っていません。
では次に、過去に起きた地震の内容をみてみましょう。
1.マグニチュード7.6前後の規模の地震
マグニチュード7.6前後の規模の地震は、過去に2回発生しています。
<1662年10月31日に起きた地震>
- マグニチュード:7.6
- 最大震度:6強(推定)
- 死者:30名以上(不明を含むと多数)
- 建物全壊:約3,600棟
この地震では沿岸部で津波が発生し、宮崎を中心に延岡~大隅沿岸が浸水しました。
建物倒壊の中でも水没によるものが多く含まれています。
宮崎沿岸での津波の高さは4~5mあったとされており、日向灘で発生した最大級の津波であり、日向灘周辺で起きた地震でも最大の被害をもたらしたとされています。
この地震はマグニチュード8以上の巨大地震としての記録は残ってはいませんが、その後の見解では被害状況などから巨大地震であった可能性があるといわれています。
<1938年4月1日に起きた地震(1968年日向灘地震)>
- マグニチュード:7.5
- 最大震度:5
- 負傷者:15名
- 建物全半壊:3棟
負傷者・建物全半壊の被害は高知県を中心に、宮崎、愛媛、熊本、大分の5県で記録されています。
この地震でも津波が発生し、四国南西部で最大3m以上の高さを記録し、床上浸水56棟、船沈没破損3隻の被害がありました。
2.ひとまわり小さい規模の地震
ひとまわり小さい規模の地震は、過去に4回発生しています。
<1931年11月2日に起きた地震>
- マグニチュード:7.1
- 最大震度:5
- 死者:1名
- 負傷者:29名
- 建物全半壊:26棟
宮崎県、鹿児島県、熊本県、山口県で震度5が観測され、宮崎県や愛媛県、高知県で最大50㎝の津波が発生しました。
<1941年11月19日に起きた地震>
- マグニチュード:7.2
- 最大震度:5
- 死者:3名
- 負傷者:23名
- 建物全壊:33棟
宮崎県、高知県、熊本県で最大震度5を観測し、日向灘沿岸で最大津波高1mの津波が発生しました。
宮崎県ではほとんどの家の壁に亀裂や剥落が見られました。
<1961年2月27日に起きた地震>
- マグニチュード:7.0
- 最大震度:5
- 死者:2名
- 負傷者:7名
- 建物全半壊:18棟
宮崎県で最大震度5が観測され、高知県では最大津波高50㎝の津波が発生しました。
規模は小さい小津波であるものの、宮崎県の油津では地震後1分足らずで津波が到来しました。
<1984年8月7日に起きた地震>
- マグニチュード:7.1
- 最大震度:4
- 負傷者:9名
- 建物一部損壊:29棟
大分県、宮崎県、愛媛県、熊本県で震度4の地震が観測されました。
津波は規模の小さい小津波が宮崎県、高知県で発生しました。
日向灘周辺で予測される地震
政府機関である「地震調査研究推進本部」では日向灘周辺エリアなどのような地震の発生が予測される区域を対象に、将来発生が想定される場所や地震の規模、発生確率について長期評価を行い公表しています。
長期評価は過去の地震の状況や周期などのほか、これまでに得た新しい調査結果や観測結果、研究の成果を取り入れてなされます。
そして同機関は令和4年3月、日向灘周辺エリアについて「日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価(第二版)」「日本海南西部の海域活断層の長期評価(第一版)」を公表しました。
日向灘及び南西諸島海溝周辺ではユーラシアプレート(陸のプレート)の下側にフィリピン海プレートが沈み込んでおり、境界部では大規模地震の発生頻度が高いため、同機関では隣接しているこのエリアを「日向灘及び南西諸島海溝周辺」といったくくりでまとめて評価を行っています。
次の表をご参照ください。
これらの長期評価によると、日向灘周辺でこれから30年以内の地震発生確率は「日向灘の巨大地震(M8程度)」と「九州中央部の沈み込んだプレート内のやや深い地震(M7.0 ~ 7.5 程度)」については不明であるものの、「日向灘のひとまわり小さい地震(M7.0 ~ 7.5 程度)」では80%、「安芸灘~伊予灘~豊後水道の沈み込んだプレート内のやや深い地震(M6.7 ~ 7.4 程度)」では40%といった結果が出ています。
ひとまわり小さい地震とはいえマグニチュード7.0~7.5はかなり大きな地震であることには想像に難くなく、同レベルの地震の際には多くの場合で震度6~7が観測されています。
たとえば2008年に発生した「岩手・宮城内陸地震」ではマグニチュード7.2で最大震度は6強、2018年に発生した「熊本地震」ではマグニチュード7.3、最大震度7が観測されています。
このような大きな地震が30年以内に発生する確率が80%と考えると、現実味を帯びてくるのではないでしょうか。
<参考コラム>
まとめ
今回のコラムでは日向灘周辺エリアの地震についてお伝えしました。
南海トラフにも含まれている日向灘周辺では、南海トラフ地震だけでなく日向灘地震が起こる可能性もあります。
また、南海トラフ地震は広い範囲にわたってその発生と影響が心配されている大規模地震です。
近年は九州地方でも各地で地震が起きていることもふまえ、これから日向灘の周辺で発生する地震、そして南海トラフ地震を念頭に置いて、私たちが今できる準備をすすめておく必要があるのではないでしょうか。
住宅の新たな地震対策として「耐震+制震」が注目されている
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