1・17の阪神淡路大震災について|原因や被害とその後の地震対策の変化
1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震によってもたらされた阪神淡路大震災から、今年で28年が経ちます。
マグニチュード7.3という強い地震によって近畿地方を中心に甚大な被害が発生し、東北から九州にかけて広い範囲で地震が観測されました。
今回は阪神淡路大震災について、被害や原因をあらためて確認しておくとともに、阪神淡路大震災を教訓として後に地震対策がどのように変化したかについて詳しくお伝えします。
・阪神淡路大震災について原因や被害状況がわかります。
・阪神淡路大震災を教訓としてその後どんな地震対策が行われたかについて知ることができます。
目次
阪神淡路大震災とは
冒頭で述べた通り、阪神淡路大震災とは兵庫県南部地震によって発生した災害のことです。
兵庫県南部地震の地震規模や詳細は次の通りです。
- マグニチュード:7.3
- 最大震度:7
- 震央:淡路島北部・明石海峡付近
- 震源の深さ:16㎞
- 死者:6,434名
- 重軽傷者:43,792名
- 建物・家屋倒壊(全壊):104,906棟
- 建物・家屋倒壊(半壊):144,274棟
- 焼失家屋:約7,500棟
- 避難者:約35万人
- 断水:130万世帯
- 停電:260万戸
- ガス停止:86万世帯
- 電話不通:30万回線
- 同時多発火災約:290件
阪神淡路大震災は人口密集地(約350万人)である大都市の直下で発生した、いわゆる都市直下型であったため甚大な被害をもたらし、人的被害は戦後最多の人数を記録してしまいました。
阪神淡路大震災の原因とは
阪神淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震の原因は、活断層のずれによる「活断層型地震」であったことがわかっています。
大阪府北西部から兵庫県の淡路島にかけて、「六甲・淡路島断層帯」という活断層があります。
六甲・淡路島断層帯は長さ約50㎞、深さ約5~18㎞の断層で、南部にあたる淡路島北側の江井崎から伊丹市中心部付近まで南西~北東に向けて伸びています。
この断層帯の中に「野島断層」があり、阪神淡路大震災ではこの野島断層のずれによって大規模な地震が生じました。
野島断層は南西から北東にかけて約10㎞の長さの断層で、阪神淡路大震災では南東側が南西方向に約1〜2m横ずれを起こし、更に0.5〜1.2m隆起しました。
淡路島北部ではこうした野島断層のずれが地表にまで現れています。
ちなみに震災後の調査によると、前回この活断層エリアで地震が起きたのは約2000年も前だとわかりました。
阪神淡路大震災では家屋の倒壊が目立った
人的被害が甚大であった阪神淡路大震災ですが、地震発生当日に亡くなった方の死因の9割が建物の下敷きになったことによる圧迫死であったことがわかっています。
当日以降に亡くなった方々を含めても、死因が「家屋、家具類等の倒壊による圧迫死と思われるもの」が全体の8割を占めていました。
膨大な数の木造家屋が倒壊し、2階建て木造住宅では屋根瓦と2階部分の重みで1階の柱が折れて家屋が潰れるケースが多くみられました。
また、被害の大きかった神戸市灘区付近は学生が多く住んでおり、木造アパートの倒壊によって住んでいた学生が下敷きになったケースも多かったようです。
地震が発生した時刻(午前5時46分)はまだ就寝中であった人が多かったことも関係しており、特に木造住宅や木造アパートの1階で寝ている最中に地震に遭い、下敷きとなってしまった方が多くみられました。
阪神淡路大震災後の地震対策の変化
このように甚大な被害をもたらした阪神淡路大震災の教訓を活かし、震災後にはさまざまな地震対策の見直しなどの変化がありました。
特に大きな変化として、建物倒壊の被害の多さを教訓に住宅への地震対策にも力を入れました。
では順にみてみましょう。
災害対策の基本的な法令・制度・体制の見直し
災害対策基本法に関して、阪神淡路大震災後の1995年6月と12月に大幅な改正が行われました。
その主な内容は、
- 政府の災害対策本部の充実・強化
- 地方公共団体の防災対策の強化
- 交通規制の強化
- 防災活動の環境整備
- 配慮事項の追加
等が挙げられます。
政府の災害対策本部の充実や強化については、「緊急災害対策本部」を設置する際の要件の緩和や、現地災害対策本部の法定化などが盛り込まれています。
地方公共団体においては自衛隊の災害派遣要請の法定化などが進められました。
また、交通規制の強化や防災活動の環境整備では防災活動が潤滑に行われるよう整えられ、高齢者や障害のある方などへの配慮に関しても追加されています。
震災後の1995年7月には、自然災害に関する防災基本計画や地方における地域防災計画が全面的に修正されています。
緊急対応の充実
阪神淡路大震災の教訓をもとに、緊急時の対応について次の3つの項目が充実されました。
- 初動体制・情報システムの整備
- 消火・救出活動に係る連携体制の強化
- 災害医療
それぞれを少し詳しくみていきたいと思います。
1.初動体制・情報システムの整備
大地震発生時に迅速な対応や情報の収集・管理を行うために、初動体制や情報システムの整備として、
- 平成7年:総理官邸での緊急参集チーム会議の開催と情報の集約を行うことを決定
- 平成8年:内閣情報集約センターを設立
- 平成11年:応急活動支援システム(EMS)の稼働開始
- 平成14年:新たな総理官邸の完成に伴い危機管理センターを設置
といった内容が整備・強化されました。
また、被害状況やいち早く把握するために中央防災無線網の充実・強化が図られ、地震発生直後に被害規模を把握することのできる「地震被害早期評価システム(EES)」の整備も行われました。
2.消火・救出活動に係る連携体制の強化
阪神淡路大震災では地震火災が各所で多発したため、消火・救出活動のために県外から応援部隊が多数駆けつけました。
また家屋の倒壊も著しかったため、救出活動も消防・警察・自衛隊が連携して行いました。
このような経験から大規模災害時の連携体制を強化するために、
- 緊急消防援助隊の発足
- 消防組織法を改正
- 消防用資機材の統一規格化
- 消防・救急無線の全国共通波の増波
- 災害対策基本法の改正
- 自衛隊法の改正
といった内容の取り組みや改正を行い、消化・救出活動の際の連携が大幅に強化されました。
3.災害医療
阪神淡路大震災では大勢の負傷者の治療やメンタルケアのため、救護所・避難所救護センターを設置して医師や看護師を常駐しておくことや、更なる医師や医官の派遣を必要としました。
こうした経験から大規模地震などにおける災害医療に関して、
- 災害時における応援協定の締結
- 広域災害・救急医療情報システムの整備
- 災害拠点病院の整備
- 災害時における消防機関との連携
- 緊急医療チームの派遣体制の整備
について現在も提言や検討が進められています。
被災者生活再建支援対策の充実
阪神淡路大震災ではこれまでの歴史上にないほど多くの被災者が発生し、避難所の供給や被災者のその後の生活に関する支援などが必要とされ、対応も大変なものとなりました。
そこで阪神淡路大震災での教訓を活かし、今後の大規模地震や大規模災害に備え、
- 避難所対策
- 被災者生活再建支援制度の創設
- 居住安定支援制度の創設
の3つを軸に被災者生活再建支援対策の充実が図られ、避難所の防災拠点化や情報拠点化が進められました。
平成10年に「被災者生活再建支援法」の成立によって「被災者自立支援金」制度が創設され、平成16年には「被災者生活再建支援法の一部を改正する法律」が成立したことによって、居住安定支援制度を含む被災者生活再建支援制度が拡充されました。
ボランティアや救援物資の受入体制等の充実
阪神淡路大震災では全国から大勢のボランティアが被災地に集まりました。
その一方で、これまでここまでの大規模な震災の経験がなかったため、受け入れ体制が整っていなかったりボランティア側の宿泊や食事の手配が大変であったことなど、ボランティアに関する問題も数多く発生しました。
また、多くの救援物資が届けられましたが、それまで送る側・受け取る側の両方において経験がなかったため、うまく配布等ができるまでとても大変でした。
それらを教訓とし、政府はボランティアの受入と救援物資の受入れについて整備や充実を図りました。
ボランティアに関しては、
- 災害対策基本法改正時にボランティアに関する内容も盛り込まれる
- 特定非営利活動促進法が制定
- 「災害ボランティア・データバンク」の設置
- 「防災エキスパート制度」を発足
といった内容の取り組みが行われました。
また、阪神淡路大震災のあった1月17日を「防災とボランティアの日」とし,1月15日から21日までを「防災とボランティア週間」とし啓蒙活動などにも取り組んでいます。
救援物資に関しては、地域防災計画等において物資の備蓄・集積拠点の想定や輸送機関との支援協定の締結などが行われたほか、最近ではリアルタイムで情報を共有できるインターネット等を通じた仕組みづくりの必要性も挙がっています。
住宅の耐震性への対策
先にもお伝えしたように、阪神淡路大震災では建物の倒壊が多数発生しました。
繰り返しになりますが、この震災で亡くなられた方の死因の約8割が「家屋、家具類等の倒壊による圧迫死と思われるもの」という結果がでています。
震災後の検証で、建物の倒壊被害は現在の耐震基準を満たしていない昭和56年以前に建てられた建物に被害が集中していたこともわかりました。
これらを教訓として、住宅や建物の耐震性に関する法改正を中心とした対策が取られてきました。
平成7年に「耐震改修促進法(建築物の耐震改修の促進に関する法律)」が施行され、現在の新耐震基準を満たさないいわゆる「旧耐震基準」によって建てられた建築物に関して、耐震診断や改修に積極的に進めることとされました。
平成18年には一部を改正した「改正耐震改修促進法」が施行され、大規模地震に備えて学校や病院などの建築物や住宅の耐震診断・改修を早急に進めるため、数値目標を盛り込んだ計画の作成が都道府県に義務付けさせることになりました。
さらに東日本大震災を経て平成25年にも改正が行われ、不特定多数の方が利用する建築物(病院、店舗、学校など)や避難に配慮を必要とする方が利用する建築物(老人ホームなど)のうち大規模なものに関して、耐震診断の実施及び報告を義務付けし、その結果を公表することとしています。
このように阪神淡路大震災をはじめとする大規模震災を経て、住宅など建物の耐震性が高められ、来るべき次の大規模地震の被害を最小限にするよう努められています。
まとめ
阪神淡路大震災から28年。
そして1月17日は防災の日でもあります。
大震災の記憶はとても辛くいたたまれないものですが、私たちにできるのは、これらを決して過去のこととせず教訓として活かし、将来に備えておくことではないでしょうか。
政府や行政機関も法や制度、体制などの変化や向上に努めています。
私たちが大規模地震に備えてできること、もう一度再確認してみてはいかがでしょうか。
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