震度6強~震度7の大規模地震が来るとどうなるの?住宅は大丈夫?
震度6強~震度7のいわゆる大規模地震が起きたとき一体どの様な状況になるのかは、経験していない我々にとって未知の世界でありすぐに想像することが難しいものです。
「揺れはどれくらいの体感レベル?」「家の外はどんな状況?」「電気やガスや水道はとまる?」など、考えると不安は尽きません。
自分の住んでいる住宅がこのような地震でも耐えられるのかどうかすらわからない人も多いのではないでしょうか。
住宅に関しては結論から言うと、1981年に改正された「新耐震基準」では震度6強~震度7の大規模地震でも建物が倒壊しない構造であることが義務付けられています。
また、事前にどんな状況が想定されるかを知っておけば取るべき対策や心構えをすることができ、いざ大規模な地震が起きても比較的落ち着いて行動できます。
そこで今回のコラムでは震度6強強~震度7の地震が起きた場合の状況をご説明するとともに、住宅の耐震性や地震対策についてご紹介します。
・震度6強~震度7の大規模地震が起きた際の揺れや周囲の状況を知ることができます。
震度6強~震度7の大規模地震が起きた際に住宅がどうなるかを知ることができます。
目次
震度6強の地震とは
地震も震度6強ともなると人はまともに立っていることができなくなり、床や地面を這わなければ移動できないと言われています。
実際に「今までに体験したことなのない揺れ」などと言い表されることも多く、
過去にも震度6強の地震はいくつも起きており、特に新潟県中越地震(新潟県中越大震災)の後や東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の後、熊本地震の前後などに比較的多く発生しています。
他にも2000年に発生した鳥取県西部地震や2007年の能登半島地震などでも震度6強が観測されており、最近では2022年3月16日に福島県沖で震度6強の地震が発生し死者も出ています。
震度6強の揺れの目安
気象庁による震度階級の開設によると、震度6強による揺れや状況の目安は次のようになっています。
【揺れの体感と屋内外の状況】
- 立っていることができず、はわないと動くことができない。
- 揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある。
- 固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものが多くなる。
- 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物が多くなる。
- 補強されていないブロック塀のほとんどが崩れる。
【地盤・斜面等の状況】
- 大きな地割れが生じることがある
- がけ崩れが多発し、大規模な地すべりや山体の崩壊が発生することがある。
これらに加え、体験談にもあるように沿岸部では津波に危険性があることも念頭に入れて置けなければなりません。
家具の下敷きによる圧死や怪我は大規模地震で多く発生してしまいます。
事前に必ず家具や家電の固定を行っておきましょう。
また、震度6強の揺れが起きたときの行動シミュレーションを行ってみたい方は、内閣府による「防災情報のページ」で「震度6強体験シミュレーション」というロールプレイングゲームを試してみてください。
<参考>震度6強体験シミュレーション(内閣府 防災情報のページ)
震度7の地震とは
震度7は現在の「気象庁震度階級」の中でも一番大きなレベルの震度であり、これまでに震度7を記録した地震では「震災」と名の付くものがあるほど甚大な被害を引き起こしています。
過去に震度7が観測された地震は次の6つです。
- 1995年1月17日 兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)死者・行方不明者約6,437名
- 2004年10月23日 新潟県中越地震(新潟県中越大震災)死者68名
- 2011年03月11日 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災) 死者・行方不明者約22,000名
- 2016年4月16日 熊本地震(前震) 死者9名
- 2016年4月16日 熊本地震(本震) 死者273名
- 2018年9月6日 北海道胆振東部地震 死者42名
実際に東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で震度7(震度6強)レベルの地震に遭った方々の体験談から、揺れの様子や周囲の状況が見て取れます。
”あの3月11日、福島県いわき市の自宅にいた私は、その揺れと、地響きに驚き、飛び出した。人々は地べたに座り込み、恐怖に引きつった顔で這いつくばっていた。大地は揺れ、電線が波打ち、長く、長く、とてつもない時間を感じた。”
”瓦が飛び、池の水は波うつ、家の中の物が落ちガラスが割れる音がする。猫が飛ぶように逃げていくのが目に入った。”
”隣の家の屋根瓦がガラガラと崩れ落ち、自分の家の瓦も落ち、庭の灯籠も倒れ、駐車していた自動車もグラグラと波うち倒れるかのように揺れていました。地震後、家に入ると足の置く所もなく、滅茶苦茶に物が散乱し、これが私の家かと思うほど、初めて見る光景でした。”
”地震による縦横の、今まで経験した事のない大きな揺れであった。外に居た私は、つかまる所も無くその場に立ち竦んだ。”
”周辺の様子を確認しようと外に出ると、電柱は傾いており、液状化現象で道路に水が出ていました。”
”私は立っていられなかったが支えになるものもなく、座っているだけでは自分の身体もどこへ行くかわからないくらいの揺れだった…”
”川沿いの道に出た時には、水面が道と同じ高さまで達していた。ガレキと津波が追いかけるなか、後を振り返らずに、山へ山へと逃げました。バリバリと、ガレキと泥水が追いかけ、ただただ林道を山奥へと夢中で車を走らせました。”
”黒く大きな盛り上がった波は、家々を押し潰し、流し、町は3分30秒で海と一体化し火災も発生した。これが本当の「火の海。」恐ろしさに震えた。波が引き、鎮火した後は、深く積もった「ヘドロと瓦礫」が残った。とても口惜しい思いでした。”
引用:「消防防災博物館HP」
文面からだけでも、その恐ろしさと尋常ではない様子がうかがい知れます。
私たちはこのような貴重な体験談を読ませていただくことで、あらためて日頃から地震への意識を高めておかなければなりません。
震度7の揺れの目安
気象庁による震度階級の開設によると、震度7による揺れや状況の目安は次のようになっています。
【揺れの体感と屋内外の状況】
- 立っていることができず、はわないと動くことができない。
- 揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある。
- 固定していない家具のほとんどが移動したり倒れたりし、飛ぶこともある。
- 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物がさらに多くなる。
- 補強されているブロック塀も破損するものがある。
【地盤・斜面等の状況】
- 大きな地割れが生じることがある。
- がけ崩れが多発し、大規模な地すべりや山体の崩壊が発生することがある。
震度6強と同様に、これらに加えて沿岸部では津波の危険があります。
震度6強~震度7の地震で想定されるライフラインへの影響
震度6強~震度7の大規模地震が起きた場合、電気・ガス・水道などのライフラインへも大きな影響が出ます。
兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)においてライフラインの復旧までにかかった日数は、神戸市の例で電気は7日間、ガスは85日間、水道は91日間でした。
東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)では東北電力管内のほぼ全戸で電気が断たれ、復旧率95%までに要した日数は7日間でしたが、完全復旧までは約3カ月かかったとされています。
電力に関しては同震災では復旧後も計画停電があったのも、記憶に新しいのではないでしょうか。
ガスではLPガスは東北全域でおよそ20日後に復旧しましたが、被害が特に甚大であった被災3県(宮城・岩手・福島)で復旧したのは約1ヶ月後で、都市ガスは復旧まで約2ヶ月を要しています。
また、水道の復旧率が95%となるまでには4ヶ月以上を要しました。
このようなライフラインに関して、気象庁では次のような影響があることが示されています。
【ガス供給の停止】
安全装置のあるガスメーター(マイコンメーター)では震度5弱程度以上の揺れで遮断装置が作動し、ガスの供給を停止する。
さらに揺れが強い場合には、安全のため地域ブロック単位でガス供給が止まることがある
【断水・停電の発生】
震度5弱程度以上の揺れがあった地域では、断水、停電が発生することがある。
いずれにしても震度5弱以上の地震であれば、なにかしらライフラインへの影響があると考えておいてよいでしょう。
震度6強~震度7の地震で想定される建物被害
では私たちの住んでいる住宅など建物へはどのような影響があるのでしょうか。
現行の耐震基準(通称:新耐震基準、1981年より施行)に基づいて建てられた建物に関しては、冒頭でお伝えした通り震度6強~震度7の大規模地震でも建物が倒壊しない構造であることが義務付けられています。
大規模な地震が起きた場合、それ以前の旧耐震基準で建てられた建物と比較すると被害の差が出てしまいます。
実際に兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)や東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の震災では、築年数の古い建物に倒壊被害が集中していたという検証結果も出ています。
では次項目で、耐震性の高い建物と低い建物でそれぞれどのような影響が出るのか見てみましょう。
住宅の状況
住宅を「木造住宅」と「鉄筋コンクリート造建物」に区別した場合、震度6強・震度7それぞれの地震による住宅への影響は次の通りです。
【木造建物】
震度 | 耐震性が高い建物 | 耐震性が低い建物 |
震度6強 | 壁などにひび割れ・亀裂がみられることがある。 | 壁などに大きなひび割れ・亀裂が入るものが多くなる。 傾くものや、倒れるものが多くなる。 |
震度7 | 壁などのひび割れ・亀裂が多くなる。 まれに傾くことがある。 |
傾くものや、倒れるものがさらに多くなる。 |
【鉄筋コンクリート造建物】
震度 | 耐震性が高い建物 | 耐震性が低い建物 |
震度6強 | 壁、梁、柱などの部材に、ひび割れ・亀裂が多くなる。 | 壁、梁、柱などの部材に、斜めやX状のひび割れ・亀裂がみられることがある。 1階あるいは中間階の柱が崩れ、倒れるものがある。 |
震度7 | 壁、梁、柱などの部材に、ひび割れ・亀裂がさらに多くなる。 1階あるいは中間階が変形し、まれに傾くものがある。 |
壁、梁、柱などの部材に、斜めやX状のひび割れ・亀裂が多くなる。 1階あるいは中間階の柱が崩れ、倒れるものが多くなる。 |
この場合の「耐震性が高い建物」に明確な定義はありませんが、築年数の新しいものほど耐震性が高い傾向にある、新耐震基準によって建てられた建物は耐震性が高い傾向にあるといった点が大きなポイントとなります。
そういった意味でも、新旧どちらの耐震基準で建てられた建物であるかを把握しておくことはとても大切です。
マンションなどの集合住宅であれば、旧耐震基準で建てられている場合の多くは耐震化工事が行われていることと思います。
もしも戸建て住宅で旧耐震基準で建てられている住宅であるならば、耐震化について考える必要性があります。
もっとも耐震性の高低は築年数だけで決まるものではありません。
耐力壁の配置や大開口の有無、建築構法の違い等によって個々の耐震性は異なります。
自身の住む住宅の耐震性を把握するには、新築であれば耐震等級や構法、地盤の強度やその他の免震や制震といった地震対策が施されているかどうかを確認しましょう。
築年数がある程度経っている建物であれば、建築年月日(厳密には建築確認申請が行われた年月日)を調べて新旧どちらの耐震基準で建てられているかを確認したり、建築構法や耐震化工事の有無、地盤の強度などを確認し、正確な耐震性を知りたい場合は耐震診断を受けるとよいでしょう。
まとめ
震度6強~震度7の大規模地震が起きた場合の揺れや周囲の状況、住宅の状況についてお伝えしました。
南海トラフ巨大地震、首都直下型地震など、大規模地震が近く発生することが懸念されています。
これら以外にも、地震大国日本ではいつどこで震度6強や震度7レベルの地震が起きるかわかりません。
私たちは過去の地震から学び、未来に起きるかもしれない被害を想定して、今できる対策や備えをしておくことが大切です。
大規模地震に備えて住宅に対策を―「制震ダンパー」設置のすすめ
南海トラフ巨大地震における建物被害では、建物の全壊・焼失が最大で約2,386,000棟と想定されています。
私たちが普段過ごしている住宅の地震対策は万全でしょうか?
住宅を耐震化するだけで本当に安心でしょうか?
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<参考コラム>制震ダンパーは効果や種類を検討し最適なものを設置しよう
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