地震の「縦揺れ」と「横揺れ」はどちらが怖い?特徴や揺れのしくみを知ろう

地震の縦揺れと横揺れどちらが怖いか

地震の揺れには「縦揺れ」「横揺れ」があります。

地震が起きた後、「ものすごい縦揺れで怖かった」といった話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

一般的には縦揺れの方が怖いというイメージを持たれていますが、実際は縦揺れと横揺れのどちらが怖いのでしょうか?

今回の記事では地震の「縦揺れ」と「横揺れ」に注目し、それぞれの特徴と揺れが起きるしくみ、縦揺れや横揺れと混同されやすい「縦波・横波」との違いや関係をご紹介するとともに、縦揺れと横揺れのそれぞれの怖さについてお伝えしたいと思います。

この記事を読んだらわかること

・地震の「縦揺れ」と「横揺れ」について、特徴やどちらが怖いかについてが分かります。
・混同しやすい「縦波と横波」について知ることができます。

地震の揺れには「縦揺れ」と「横揺れ」がある

ご存知の通り、地震の揺れには縦揺れと横揺れがあります。

はじめに地震の縦揺れ横揺れについて整理しておきましょう。

縦揺れとは「地面に対して垂直方向(縦)に揺れる振動横揺れとは「地面に対して水平方向(横)に揺れる振動」のことを言います。

単純に、自身がいる場所で起きた地震の揺れが縦に上下しているように感じれば縦揺れ、横にグラグラ揺れているように感じれば横揺れということになります。

縦揺れと横揺れでは先に縦揺れが来た後に横揺れを感じるケースが多いですが、一概に縦揺れが先とも言えず、初めから横揺れだけを感じることもあります。

では次の項目で、縦揺れや横揺れを感じる仕組みについて見ていきたいと思います。

地震の揺れは「地震波」の伝達によって生じる

出典:「国土交通省 四国四方整備局HP]

地震は岩盤のひずみや断層のずれなどによって発生し、そのエネルギーが震源から地震波として地中を伝達していきます。

私たちが地震の時に感じる地面の揺れ(地震動)は、地中を伝わる地震波が地面に到達することで生じています

地震とは、地下の岩盤が周囲から押される、もしくは引っ張られることによって、ある面を境として岩盤が急激にずれる現象のことをいいます。この岩盤の急激なずれによる揺れ(地震波)が周囲に伝わり、やがて地表に達すると地表が「揺れ」ます。私たちはこの「揺れ」で、地震が地下で発生したことを知ります。

引用:「気象庁HP 地震について」

地震波「P波(縦波)・S波(横波)」とは

地震波には表面波実体波とがあり、実体波にはP波(縦波)S波(横波)があります。

P波(縦波)のPPrimary(最初の)頭文字、S波(横波)のSSecondary(二番目の)の頭文字をとったものです。

P波(縦波)は波の進行方向と同じ方向(縦)に振動する波のことで、S波(横波)は波の進行方向と直交の方向(横)に振動する波です。

それぞれが伝わるスピードはP波が約7㎞/秒、S波が約4㎞/秒で、P波の方が早く伝わります。

したがって、P波(縦波)とS波(横波)の特徴は次のようになります。

P波(縦波)】

地震波の進行方向と同じ方向(縦)に振動初めに感じる小さな揺れ(初期微動)をもたらす。

S波(横波)】

→地震波の進行方向と直交の方向(横)に振動P波の後に感じる大きな揺れ(主要動)をもたらす。

たとえば遠方で大きな地震が起きた場合、最初に小さな揺れを感じた後に大きな揺れを感じることが多いのは、P波(縦波)とS波(横波)の伝わるスピードが異なるためです。

地震波自体は同時に発生していますが、震源地から離れるにしたがって伝わってくるまでの時間に差が出るのです。

出典:「政府HP 文部科学省 研究開発局 地震・防災研究課 参考資料」

ちなみにこれらP波(縦波)とS波(横波)の伝わる速度の差と、もたらす揺れの大きさの違いを利用したのが「緊急地震速報」です。

大きく強いS波の到達よりも先にP波を検知し解析することで、強い揺れが来る前に私たちに知らせてくれます。

ただし直下型地震のように内陸の浅い場所で地震が発生した場合など、震源に近い場所では緊急地震速報が強い地震の到達に間に合わないので注意が必要です。

出典:「気象庁HP」

<参考コラム>緊急地震速報は震度何から?仕組みを把握して落ち着いた行動をとろう

「縦揺れ・横揺れ」と「P波(縦波)・S波(横波)」は違う

ここで、「縦揺れ=P波(縦波)によるもの、横揺れ=S波(横波)によるもの」というように思いやすいのですが、実はそうとも限りません。

地震の縦揺れや横揺れは、あくまでも地表面で上下(縦)に揺れたか、水平(横)に揺れたかを表しています。

一方でP波(縦波)・S波(横波)は、地表に対してではなく進行方向に対する揺れの方向を表しています。

つまり、自身のいる場所と震源地との位置関係によっては、P波とS波はそれぞれ縦揺れにも横揺れにもなり得る可能性があります。

したがって、地震では必ず最初に縦揺れが来るとは限りません。

一般的には、P波(縦波)が縦揺れである場合、S波(横波)が横揺れである場合が多いので混同されやすいですが、正しくは異なることを覚えておくとよいでしょう。

縦揺れと横揺れはどちらが怖い?

地震の揺れのイメージ

では結局、地震で起きる縦揺れと横揺れではどちらが怖いのでしょうか。

結果から言うと、「どちらも同じくらい怖い」ということになってしまいます。

縦揺れと横揺れにはそれぞれ次のような脅威があります。

縦揺れの怖さ

縦揺れの地震では、上下の揺れによって住宅など家屋の柱が引き抜かれるような力が働き、土台から柱が外れるなどの被害が予測されます。

家具や大型家電などは横揺れでは横滑りのように揺れますが、縦揺れの場合は下から突き上げられるような揺れのため、震度によっては床から浮き上がったり衝撃で食器棚の食器が破損したりする恐れもあります。

免震装置を設置している住宅やビルなどの場合、免震装置は上下方向の揺れに対応していないケースが多いため、縦揺れに弱く倒壊しやすいといった面もあります。

また、縦揺れは急に強く揺れる傾向が多いため、発生時の恐怖心は縦揺れの方が高いとも言われています。

基本的に急な強い縦揺れの地震であれば震源地が近いということが予測されます。

近年心配されている、震源地が浅く内陸部で発生する「直下型地震」は、初期微動がほとんどないままいきなり縦揺れがくるといった特徴があるため、直下型地震である可能性が高いというのも縦揺れの怖さのひとつです。

横揺れの怖さ

横揺れの怖さで一番に挙げられるのは、住宅やビルなどの建物倒壊被害が極めて多い点です。

もともと建物を構成する柱は縦よりも横からの力に弱いといわれており、横揺れは住宅やビルなどの建物倒壊を引き起こしやすい揺れ方です。

近年は建物の耐震化が進んでいますが、先述のように縦揺れで柱等が破損して不安定となった状態の所へ横揺れが来ると、建物が倒壊する危険はさらに高くなります。

家具や大型家電の転倒も横揺れの方が引き起こしやすく、地震の震源地が海底である場合は津波が発生するといった怖さもあります。

まとめ:「縦揺れ」「横揺れ」どちらもそれぞれの怖さがある

地震の縦揺れと横揺れ

縦揺れ、横揺れにはそれぞれに怖さがあり、いずれにしても地震の規模(マグニチュード)や震度が大きければ、縦揺れでも横揺れでも甚大な被害を引き起こすことが考えられます。

急な強い縦揺れを感じたら直下型地震である可能性が高く、その後にくるであろう横揺れも強い可能性も高くなるため、特に注意が必要かもしれません。

また、縦揺れでも横揺れでも小さな揺れを感じたらその後に大きな地震が来ることも考えられるため、それにそなえた行動をとることが大切です。

したがって地震では「縦揺れの方が怖い」「横揺れの方が怖い」といった考え方をするのではなく、まずは「小さな揺れ」を感じたら次に大きな地震が来ることを想定してそなえることが第一であるといえます。

そして突然大きな地震が発生した場合に備えて、普段から家具の固定や住宅の耐震化など被害を最小限に抑えられるよう対策を行っておくことが大切です。

<参考コラム>地震が起きたときに取るべき行動とは?正しく把握して安全に避難しよう

揺れから住宅を守る注目の方法「制震ダンパー」の設置

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」

地震大国日本において、住宅の耐震化は新築の住宅をはじめ既存の住宅でもすすめられています。

そして近年、住宅への地震対策として注目されているのが、耐震化された住宅へ「制震ダンパー」を設置する方法です。

制震ダンパーとは、「地震による揺れを吸収して振動伝達量を抑えるための装置」です。

制震ダンパーには 素材や形状の違いから、オイルダンパー、ゴムダンパー、鉄鋼ダンパーなどいくつかの種類と特徴があり、住宅へ制震ダンパーを設置することで建物の揺れを低減し、建物を地震から守ることができます。

<参考コラム>制震ダンパーは効果や種類を検討し最適なものを設置しよう

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耐震等級2へαダンパーExⅡを設置した実験結果

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トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」よくある質問

 

 

監修者情報

株式会社トキワシステム

株式会社トキワシステム

制震ダンパー・地震対策の情報について発信しています。
トキワシステムが提供する制震ダンパー『αダンパーExⅡ』は、地震から建物を守り、住まいの安心と安全をご提供いたします。

保有資格
・二級建築士
・フォークリフト運転技能者
・木材加工用機械作業主任者
・第二種電気工事士

受賞歴
・GOOD DESIGN AWARD 2021