古い住宅の耐震性を知るには築年数が目安になる~耐震基準を知るには~
中古住宅の購入時や古い実家に住む場合など、「耐震性は大丈夫かな?」と気になるのではないでしょうか。
地震の多い国日本に住んでいるのであれば、そのように考えるのは当然といえるでしょう。
実はこのような古い住宅の耐震性は、築年数がひとつの目安になります。
今回の記事では古い住宅の耐震性と築年数の関係に注目し、築年数から耐震の基準を知る目安についてご紹介します。
・築年数とは何を意味するのかが分かります。
・築年数から耐震基準を知る目安がわかります。
目次
そもそも築年数とは
築年数とは「建築経過年数」を略したもので、建物が完成した後の経過年数のことです。
通常、建物登記簿(表題部分)に記載されている「登記原因及びその日付」を根拠として築年数を判断します。
築年数は特に不動産売買において大切な情報でああるため、不動産広告には築年数の表記が義務づけられています。
ちなみに不動産広告で築年数を「新築」と表記できるのは、建築後1年未満で未使用の場合のみです。
間違えやすい?「築年数」と「耐用年数」の違い
住宅に関する用語には、築年数と似た言葉で「耐用年数」というものがあります。
「耐用年数」とは税務上で減価償却処理をする場合の基準として設けられたものであり、「対象となる固定資産を使用できる期間」として法的に定められた年数のことをいいます。
正式には「法定耐用年数」といい、住宅だけでなく車やパソコン、工業用機械などにも設定されています。
一般的な住宅用物件の場合、木造・合成樹脂造のものは22年、木骨モルタル造のものは20年、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のものは47年と定められていますが、税務処理上の計算で使用されるものであり、実際に住宅の寿命や住める期間が22年や20年という意味ではありません。
なぜ築年数と耐震性が関係あるの?
ではなぜ古い住宅の耐震性を知る時に、築年数がポイントとなるのかというと、耐震基準が築年数によって異なるためです。
耐震基準は1920年に、建築基準法のもととなる「市街地建築物法施行」が定められて以降、大きな地震が起きた後にそられを教訓にしながら改正を繰り返してきました。
「市街地建築物法施行」は1923年に関東大震災が発生した翌年に耐震設計基準を盛り込んで改正し、その後1950年に市街地建築物法施行は「建築基準法」として制定され、改正をしながら現在に至っています。
耐震基準は1981年に大きな改正が行われた
中でも大きなポイントとなるのが、1981年に行われた耐震基準の大きな改正です。
1978年に発生した宮城県沖地震(マグニチュード7.4)の後、1981年に建築基準法が大きく改正され、現在のいわゆる「新耐震基準」が誕生しました。
したがって、1981年がそれ以前の「旧耐震基準」と新しい「新耐震基準」との境界ということになります。
旧耐震基準と新耐震基準の内容は、次の通りです。
旧耐震基準
旧耐震基準では、10年に一度発生すると考えられる「震度5強程度」の中規模地震において家屋や建物が倒壊せず、破損しても補修すれば居住可能であることが基準となっています。
そのため、震度5強以上の大きな地震が起きた場合についてあまり考慮されておらず、万が一震度6以上の地震が来た場合は旧耐震基準では倒壊する可能性が高いといった側面がありました。
新耐震基準
新耐震基準では、「震度5強程度」の中規模地震において家屋や建物がほとんど損傷しないこと、そして「震度6強~7程度」の大規模地震において家屋や建物が倒壊・崩壊しないことが基準となっています。
新耐震基準は地震による家屋や建物の倒壊を防ぐだけでなく建物内にいる人の安全を守ることに主眼がおかれ、旧耐震基準を大幅に強化しました。
木造住宅では2000年の改正もポイント
耐震基準は1995年に起きた「阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)」の教訓をもとに、2000年にも改正が行われています。
旧耐震基準、新耐震基準に対して、2000年に改正された耐震基準を「現行耐震基準」「新・新耐震基準」などと呼ばれることもあります。
2000年の改正では「木造住宅」に重きを置いたもので、地盤調査の事実上の義務化や耐震壁の配置バランス、基礎と柱など接合部の条件等が新たに定められました。
築年数から耐震基準を知る目安とは
以上の点を踏まえて、築年数から耐震基準を知る目安をまとめてみたいと思います。
節目は1981年と2000年
築年数から耐震性を知るには、1981年に行われた大きな改正がひとつ目のポイントです。
ここが旧耐震基準で建てられた住宅なのか、新耐震基準で建てられた住宅なのかの境目となるからです。
また、木造住宅に限っては2000年に行われた改正もポイントです。
つまり、
- 1981年6月1日以降に建てられた建物かどうか → 旧耐震基準か新耐震基準かがわかる
- 2000年6月1日以降に建てられた建物かどうか → 木造住宅の場合、さらに強化された耐震基準で建てられている
築年数の目安としては、
- 築41年以内かどうか(2022年9月時点)→新耐震基準で建てられている可能性が高い
- 築22年以内かどうか(2022年9月時点)→木造住宅の場合、さらに強化された耐震基準で建てられている可能性が高い
ということになります。
正確には「建築確認日」を確認しよう
ここで注意したいのが、築年数は耐震性を知る目安にはなりますが、旧耐震基準か新耐震基準かを正しく見分けるには「建築確認申請がいつ行われたか?」というのがポイントとなるため、「建築確認日」を確認しなければならないという点です。
建築確認日は、「建築確認証」や「検査済証」で確認することができます。
ちなみに建物が完成した日を「竣工日」といいますが、竣工日が1981年6月1日以降であったとしても、建築確認日が1981年5月31日以前であれば「旧耐震基準の建物」ということになります。
したがって、耐震基準を正確に確認する時は必ず「建築確認日」を確認するようにしましょう。
旧耐震基準の場合は耐震補強の有無も調べよう
築年数や建築確認日から旧耐震基準であることがわかったら、現在まで耐震補強工事が行われているかどうかも調べておくとよいでしょう。
耐震補強工事が行われていない場合、耐震診断を受けることをおすすめします。
耐震診断の結果によって耐震補強工事が必要かどうかが判断され、必要な場合は工事に向けて計画・実施と進めていくことになります。
まとめ:築年数は新旧耐震基準のどちらかを知る目安となる
古い住宅の耐震性を知るには築年数が大きな目安となります。
築41年が境目となるため、築20年や築30年といった住宅であれば新耐震基準で建てられていると言えるでしょう。
正確に知るには、建築確認証や検査済証で「建築確認日」が1981年6月1日以降かどうかを確認しましょう。
なお、築年数や耐震基準の新旧に関わらず耐震性に不安のある場合は専門機関による耐震診断を受け、必要であれば耐震補強工事をすることをおすすめします。
築年数が古い住宅であっても耐震補強を施して耐震化しておけば、安心して住まうことができるでしょう。
地震対策には耐震性プラス「制震」を取り入れよう~制震ダンパー「αダンパーExⅡ」
地震大国日本において、住宅の耐震化は新築のみならず中古住宅など古い住宅でもすすめられています。
そして近年、住宅への地震対策として注目されているのが、耐震化された住宅へ「制震ダンパー」を設置する方法です。
制震ダンパーとは、「地震による揺れを吸収して振動伝達量を抑えるための装置」です。
制震ダンパーには 素材や形状の違いから、オイルダンパー、ゴムダンパー、鉄鋼ダンパーなどいくつかの種類と特徴があり、住宅へ制震ダンパーを設置することで建物の揺れを低減し、建物を地震から守ることができます。
<参考コラム>制震ダンパーは効果や種類を検討し最適なものを設置しよう
トキワシステムがおすすめする制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は、特殊オイルを用いたオイルダンパーです。
- 建物の変形を約1/2に低減し、建物の損傷を大幅に軽減する高い性能
- 副資材が不要、半人工以下の簡易施工を実現する施工性の高さ
- 120年の製品保証とメンテナンスフリーの実現による耐久性の高さ
- コストパフォーマンスの高さ
- さまざまな研究機関などで実施した実証実験による信頼性
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このような点において、 数ある制震ダンパーの中でも安心・高品質な制震装置です。
圧倒的な小型化により施工も容易なため、 住宅の新築時の施工はもちろん、既存住宅への設置も可能です。
次の実証実験結果をご覧ください。
耐震工法で建てられた住宅に制震ダンパー「αダンパーExⅡ」を設置することで、柱の変位量が最大55%低減できることがわかります。
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