地震による建物倒壊について知っておこう|倒壊しやすい住宅の特徴と対策
地震の被害には様々ありますが、その中のひとつに「建物倒壊」があります。
地震は昼間だけでなく、夜中や早朝などいつ起きるかわかりません。
もしも寝ている時間帯に大きな地震が発生した場合、迅速な避難や対応等は難しいかもしれないため、建物が倒壊しやすいかどうかは被害の大小を大きく左右します。
また、所有している建物が倒壊しやすい場合は自身がその建物の中に居なくても、周囲の人へ被害を与えてしまうかもしれません。
そこでこの記事では今までの地震による建物被害とともに、地震によって倒壊しやすい住宅の特徴、そして建物倒壊を防ぐための対策についてお伝えします。
・地震によって建物倒壊しやすい住宅の特徴が分かります。
・建物倒壊を防ぐための対策がわかります。
目次
地震による建物倒壊の被害状況
ご存知の通り日本では現在までに、東日本大震災に代表されるような大きな地震による被害がありました。
特に1995年の阪神淡路大震災においては、亡くなった方の87.8%が建物や家具類などの倒壊による圧迫死とされています。
では過去の大きな地震において、建物倒壊の被害は全壊・半壊・一部損壊がどれくらいあったのか事例を挙げてみてみましょう。
地震の規模、地震の起きた地域の人口などにより被害状況は異なりますが、ご覧の通り甚大な建物倒壊などの被害が発生していたことがわかります。
こうした地震による建物倒壊の被害は、一般的な住宅をはじめ、公共の建築物や商工業築物全般に及んでいます。
被害を受けた原因には、地震の揺れによる倒壊や破損、津波による倒壊や破損、火災による焼失、地滑りや崖崩れによる倒壊や破損、地盤の液状化による倒壊や破損などが考えられます。
建物倒壊しやすい住宅の特徴とは?
では地震の揺れによって建物倒壊しやすい住宅にはどんな特徴があるのでしょうか。
ここでは6つの項目に分けて目安となる特徴をご紹介します。
旧耐震基準で建てられている建物
耐震基準とは、「住宅や建築物等の構造物が満たすべき耐震能力の最低限度の基準」のことで、「建築基準法」によって定められています。
耐震基準は1950年に制定されて以降、大地震が起きた後に見直され、1971年、1981年、2000年に大きく改正され現在に至っています。
特に1981年6に行われた建築基準法の改正では耐震基準が大幅に改正されたため、1981年6月を境としてそれより前の耐震基準を「旧耐震基準」、それ以降の耐震基準を「新耐震基準」と呼んでいます。
旧耐震基準と新耐震基準の大まかな違いは次の通りです。
【旧耐震基準】
- 震度5強程度の地震でほとんど損傷しない
【新耐震基準】
- 震度5強程度の地震でほとんど損傷しない
- 震度6強~7に達する程度の地震で倒壊・崩壊しない
このように旧耐震基準では震度5強より大きな地震への想定がないため、旧耐震基準で建てられている住宅は新耐震基準で建てられている住宅よりも地震によって倒壊しやすいといえます。
旧耐震基準かどうかを知るには、「建築確認申請がおこなわれた日が1981年5月31日以前かどうか」が1つの目安となっています。
冒頭でもお伝えした1995年の阪神淡路大震災では、建物倒壊の被害は現在の耐震基準を満たしていない1981年以前に建てられた建物に被害が集中していたという調査結果もあります。
したがって旧耐震基準で建てられた住宅で現在までに耐震補強がなされていない場合は、建物倒壊の心配が比較的高いといえます。
2000年6月におこなわれた建築基準法の改正では木造住宅の耐震基準がより強化されているので、「建築確認申請がおこなわれた日が2000年6月1日以降」であれば、地震による建物倒壊の心配がより軽減できるでしょう。
壁に問題のある建物(耐力壁がない・壁量が少ない・配置が悪い )
建物の耐震性において、耐力壁や壁の量や配置など、壁はとても重要です。
新築の間取りを考える際や、リフォームで間取り変更をする際に、よく「この壁は動かすことができない・壊せない」といったいわゆる「耐力壁」があります。
もちろん諸条件が揃えば移動等が可能な場合もありますが、建物ではこのような耐力壁を中心に、壁の量や壁の配置が耐震性を大きく左右します。
そもそも耐力壁が必要な個所にない住宅、壁の量が少ない住宅、そして壁の配置バランスが悪い住宅はその分耐震性でも劣ってしまい、地震によって倒壊しやすい建物といえます。
一般的に、次のような住宅は壁の問題を抱えているケースが多い傾向にあります。
- 大開口の窓が多い
- 1階がガレージ
- 1階と2階のバランスをずらしたデザイン
- 築年数がきわめて古い
大開口の窓が多いということは風通しもよくあかるイメージですが、その分どうしても壁量が減ります。
1階がガレージの場合も同様に壁量が少なくなったり、耐力壁や壁が片側に多く配置されてしまうなど配置バランスが悪いケースがあります。
また、1階と2階で壁の位置をずらしたようなデザインの場合、見た目はおしゃれですが壁の配置という面ではバランスが崩れがちです。
築年数が極端に古く、壁が土壁であったりそもそも耐力壁のない住宅も、建物倒壊の心配は高くなるでしょう。
建物に何らかの理由による傾きがある
そもそもの地盤の問題や過去に起きた地震の影響、経年劣化による地盤の沈下など、なんらかの理由によって傾きが生じている建物も、倒壊リスクが高くなります。
傾きが生じている住宅は、自然に改善されることはまずありません。
基本的には低くなっている方向へさらに傾きが進行し、柱や基礎への負担増加によるひび割れや住宅の重心のずれなどによって、小さな地震ではなくても建物倒壊につながりやすいです。
- 窓やドアの建てつけが悪くなった
- 外壁や基礎部分に亀裂がみられる
- 室内を歩くと床や畳がきしむ
- 柱と壁の間にすき間ができている
- 排水の流れが悪い
などは住宅に傾きが生じている兆候といわれているので、これらが見られた場合は「家が傾いているかも?」と注意が必要です。
屋根が重たい建物
建物の一番上に載っているのが「屋根」ですが、屋根の重さも建物倒壊に大きく関係しています。
屋根が重いとなぜ地震による建物倒壊につながるのかというと、次の2つ理由が挙げられます。
- 地震の揺れに加えて、屋根の重さに耐えきれず1階部分がつぶれる
- 建物の上部が重い場合、同じ大きさの揺れでも振り子の原理で揺れが大きくなる
特に日本で一般的な「瓦」の屋根は重量が重いため、耐震という面では優れているとは言い難い屋根材です。
最近では耐震性を考えて、瓦でも軽量瓦であったり、化粧スレートやガルバリウム合板などの屋根材が用いられるケースが増えています。
シロアリ被害がある建物
シロアリは、住宅の柱などといった木材を食害することはよく知られています。
住宅でシロアリ被害に遭いやすい箇所は、モルタル壁の内側の柱、外壁の隅柱、在来工法の浴室まわり、水回り、そして基礎の土台部分で、シロアリは地面からやってくるため特に基礎の上にある土台部分と柱部分の辺りへの食害が多いといわれています。
一般的な木造住宅の基礎は、土台(コンクリート)と柱(木材)が金具によって緊結されて耐震性を高めています。
また、当然ですが柱や壁によって住宅を支えています。
そのような部分をシロアリの食害されてスカスカになると住宅は弱体化し、耐震性が危うくなり、地震による建物倒壊の危険性が極めて高くなります。
実際に阪神淡路大震災や熊本大地震では、シロアリ被害のあった建物の方が倒壊率が高かったという調査報告もあるようです。
玉石基礎(石積み基礎)で建てられた建物
古民家といわれる住宅や築年数が極めて古い場合、住宅の基礎が「玉石基礎(石積み基礎)」の可能性があります。
玉石基礎(石積み基礎)とは石(玉石)の上に柱を直接載せて基礎とし建てる構造で、先述の古民家や、神社仏閣などによく用いられています。
実はこの玉石基礎を用いた工法は「石場建て工法」といい、基礎と柱を強固に固定しないことで地震の揺れを逃して建物に伝えないようにし、建物倒壊を防ぐ「免震」のような構造です。
しかし、やはり経年による玉石の地面への沈み込みや柱のずれ・腐食などによって地震の揺れをうまく逃せず、住宅が倒壊する恐れがあります。
古い家屋であればあるほど、基礎の形状を確認しておく必要があるでしょう。
地震による建物倒壊を防ぐには?
では倒壊しやすい住宅にはどのような対策があるのでしょうか。
おすすめはやはり「耐震診断」をうけ、必要に応じて「耐震補強工事」を行うことです。
耐震診断
耐震診断とは、建物の耐震性や耐震補強の必要の有無を専門家によって診断してもらうことです。
専門家とは「建築士」かつ「国土交通大臣が定める講習を修了した者」と定められており、耐震診断を受けたい場合は住んでいる地域の窓口(住宅・建築担当窓口)に問い合わせてみるとよいでしょう。
建築士などの専門家が、建物の壁の強さ・バランス・接合部の状況や劣化状況などを調査・検査して耐震性を総合的に評価し、耐震改修の要否を判定します。
耐震診断にかかる費用は建物の大きさ等にもよりますが、一般的な木造住宅で建物の図面がある場合、約20~50万円といわれています。
自治体によっては耐震診断費用や耐震補強工事への補助金が出る場合があるので、耐震診断について問い合わせる際にあわせて確認しておきましょう。
耐震補強工事
耐震診断の結果として、「倒壊しない」「一応倒壊しない」「倒壊する可能性がある」「倒壊する可能性が高い」の4段階で判定が付けられます。
ここで「倒壊する可能性がある」あるいは「倒壊する可能性が高い」という判定がつけられた場合、耐震補強工事の必要があります。
耐震補強工事は診断結果に基づいて、どの部分をどのように補強するかといった耐震補強設計が組み立てられ、主に耐震診断を行った専門家の属する業者、もしくは別の工務店等と契約して行います。
なお、契約の際は見積もり書や設計書をよく読み、場合によっては相見積もりを取るなどして確認しましょう。
まとめ:地震によって建物倒壊する前に耐震診断を
繰り返しになりますが、地震による建物倒壊は地震のあらゆる被害の中でも人命にかかわるもののひとつです。
今お住まいの住宅の耐震性に不安のある方やこれから中古住宅の購入をお考えの方、大切な親御さんたちの住む実家の耐震性が気になる方は、ぜひ倒壊しやすい特長に当てはまらないか確認してみましょう。
そして耐震性に不安がある場合は最寄りの自治体窓口に相談し、耐震診断を受けることをおすすめします。
耐震化された住宅へプラスの地震対策「制震」をプラスしよう
いつ起きるかわからない地震。
特に昨今は南海トラフ地震や首都直下型地震など発生確率の高い地震がいくつもあり、多くの人々が不安を抱いています。
<参考コラム>日本で地震の多い場所はどこだろう
非常持ち出しの準備や火案経路の確認などと合わせて、住宅の耐震化を進めて建物倒壊を防ぐことは地震による被害を軽減する手段のひとつです。
そしていま住宅への地震対策として注目されているのが、耐震化された住宅へ「制震」の技術を取り入れる方法です。
住宅へ制震技術をプラスすることで、耐震だけでは補いきれない弱点を制震によってカバーすることができます。
制震を取り入れるには、住宅に「制震ダンパー」と呼ばれる制震装置を設置する方法が最も一般的です。
制震ダンパーとは、「地震による揺れを吸収して振動伝達量を抑えるための装置」です。
<参考コラム>制震ダンパーとは?その種類や特徴について解説
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- 建物の変形を約1/2に低減し、建物の損傷を大幅に軽減する高い性能
- 120年の製品保証とメンテナンスフリーの実現による耐久性の高さ
- コストパフォーマンスの高さ
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いつ起きるかわからない地震。
恐ろしい地震から、誰もが家族や住宅を守りたいと願うものです。
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トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」製品サポート
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