制振と制震の違いで地震に対する効果が変わる?

制振と制震の違いで地震に対する効果が変わる? 地震対策について調べていると、耐震、制振、制震、免震というワードを目にします。この中にある制振と制震には違いがあるのでしょうか?もし違いがあるならより効果の高い方法を選ばなくてはなりません。

制振と制震の違いに加え、耐震との違いを確認し、地震対策への効果の高さや必要性について考えていきましょう。

この記事を読んだらわかること

・制振と制震は表記の違いだけであり、どちらであっても効果に変わりはありません。

・耐震性を維持する為に、制振(制震)は有効な地震対策となります。

制振と制震の違い

制振ダンパーで揺れが軽減されている住宅

一般的に、制振と制震は併せて表記されることが多いようです。デジタル大辞泉やGoo辞書では制振/制震(せいしん)と表記されています。

辞書や用語辞典での表記の違い

建物に施した装置で、地震や新幹線・大型トラックが付近を通過することなどによる振動を軽減すること。 引用:デジタル大辞泉 Goo辞書

一方、建築・土木関係の用語辞典類では制振が多く使われています。その中で「建築学用語辞典第2版」(日本建築学会編、99年)においては、制振と制震が分けて表記されています。

  • 制振構造 「制振(振動制御)のメカニズムをとり入れた構造。風や地震による構造物の揺れを目標値以下に抑える目的で用いられる(略)」
  • 制震構造 「制振構造のうち、特に地震に対する揺れを抑えるメカニズムを組み込んだ構造」

引用:「建築学用語辞典第2版」(日本建築学会編、99年)

建築業界での制振・制震使われ方

建築業界ではそれぞれの考えの方に基づいて制振と制震を使い分けている会社が少なくありません。

大成建設 制振  「揺れは地震だけではない。高層建築の風の揺れを制御するのが制振技術の始まり」

竹中工務店 制振 「全ての揺れを含む、広い意味で『てへん』を使っている」

大林組 強風などの揺れには制振、地震の揺れには制震を使い分ける
「震の字を使うと地震だけの揺れの意味になってしまう」

清水建設 制震と制振を併用
「建物に入っていく地震動や、地震が発生している間の揺れを抑えるのは『震』」

鹿島建設 制震
「地震による振動を制御するのは技術的に最も難しい。難度が最も高い地震を制御できれば、風による振動や機械振動など他の振動の制御はよりたやすくなる」
「制御技術の難易度からすれば、むしろ『制震』が『制振』を包含するとみなければならない」

引用 日本経済新聞 電子版「制振」から「制震」 2度の大震災が表記を変えた

地震対策での制振・制震使われ方

地震対策には耐震、制震、制振、免震があります。この中で制振以外にはすべて地震の震という文字が使われています。
その為、制震とした方が地震対策としてわかりやすいという考え方から制震が使われることが多くなっています。
従って、どちらの表記が使われていたとしても同じであり、効果による違いはありません。

制振・制震と耐震の違い

建築基準法における地震対策は耐震です。制振・制震と耐震の違いを確認しておきましょう

耐震

耐震とは地震の揺れに耐える力

地震対策の基本である耐震は、構造体に揺れに耐える力を持たせることです。耐震性の高さは柱、梁、耐力壁の位置と量、梁や柱の組み立て方、基礎など、構造体の造り方によって大きく変わります。

地震に耐えられないような住宅が建築されないよう、建築基準法では耐震等級1以上であることが義務付けられています。

耐震等級について

耐震性の高さは見たり触ったりして確認できる性能ではありません。その為、家を建てたり購入したりする消費者が、耐震性の高さを確認できるように住宅の品質確保の促進等に関する法律として住宅品質確保促進法、略して品確法が定められています。

この法律の中には長く安全に快適に暮らせる家にする為のあらゆる要素について定められている住宅性能表示制度があります。その中で地震に対する基準は3つの等級で定められています。この評価は柱、梁、主要な壁、基礎などの構造躯体の部分に対して行われます。

最低等級である等級1(建築基準法レベル

  • 損傷防止 数十年に一回は起こりうる大地震で、大規模な工事をしなくては修復できないような損傷を受けない
  • 倒壊等防止 数百年に一回は起こりうる大地震で、損傷は受けても、人命は損なわれない

等級2 等級1の1.25倍の耐震性 等級3 等級1の1.5倍の耐震性

参考サイト 一般社団法人 住宅性能評価・表示協会 地震などに対する強さ

コラム 地震に強い家の形とは?更に地震に強い家にするためにできることとは

コラム 耐震等級はどうやって決められているの?|耐震性能を高めるためのポイントを解説

コラム 長期優良住宅であれば地震が来ても安心?耐震等級との関係性とは

制振

制震とは揺れを吸収する地震対策

制振は住宅の構造体に地震の揺れを吸収する力を持たせることです。揺れを吸収して揺れが構造体に与えるダメージを少なくします。 耐震は住宅の構造体によってその働きの大きさが変わります。建築後に耐震補強することができるとは言っても、新築時の構造体の造り方が非常に重要です。

一方、制震は取り付ける装置によって、揺れを吸収する働きの大きさと設置のしやすさが変わります。

制振ダンパーの種類

制振は制振ダンパーを取り付けて住宅に制振の力を備えさせるのですが、その制振ダンパーのは3つのタイプがあります。

オイルダンパー

制振ダンパーの中で最もコンパクトなオイルダンパー

シリンダーのような筒状の容器の中に注入されたオイルが揺れを吸収する制振ダンパーです。揺れを受けるとピストンが作動して、筒状の容器に開けられた穴からオイルが移動してオイルの溜まっている場所のバランスが変わり、圧力が生まれます。

オイルが通る穴の大きさや形状、オイルの粘着度合いによって、ピストンの作動状態が変わり、その結果、地震の揺れを吸収する効果の高さが変わるという複雑な仕組みの制振ダンパーです。 他の2つの制振ダンパーと比較するとコンパクトで耐久性の高い制振ダンパーです。

・コンパクトなので新築時には間取りや設計に制限を与えない、

・リフォーム時には部分的に壁を剥がすだけで取り付けできる、

どちらの場合も職人1人で施工できるという良さがあります。

新築の施工事例 有限会社鈴木建設工房様・S様邸

リフォームの参考施工事例 寺本工業株式会社様・M様邸【三重県桑名市】

ゴムダンパー

ゴムやシリコンなどを使い、素材の持つ弾力性によって地震の揺れを吸収する仕組みの制振ダンパーです。

素材の性質上、暑さや寒さによって伸びたり縮んだりする為、地域の気候や素材の配合によって効果の高さが変わったり、劣化の速度が早まったりする恐れがあります。

サイズが大きい為、設計や間取りに影響が出ることがあります。リフォームの場合には、壁を剥がす範囲が拡がります。

鋼材ダンパー

曲がるときに熱を持つ金属の性質を利用し、地震の揺れを受けると熱エネルギーが揺れを吸収する仕組みの制震ダンパーです。 金属は一定以上の力が加わらないと折れ曲がりが始まらない為、小さな揺れには反応しません。

また、大きな揺れを繰り返し受けると、金属疲労によって折れてしまう恐れもあります。

ゴムダンパーと鋼材ダンパーは、サイズが大きい為、設計や間取りに影響が出ることがあります。リフォームの場合には、壁を剥がす範囲が拡がります。

コラム 制振ダンパーの仕組みをタイプ別に解説します

コラム 制震装置の種類は主に3つ!それぞれの基本的な特徴を比べてみた

制振・制振の役割は耐震性を守ること

制振・制振の役割は耐震性を守ること

地震が発生した際に、耐震だけで地震対策をしている住宅が受ける被害は、耐震性の高さによって変わります。どんなに高い耐震性の高さを備える構造体であっても、揺れが大きいほどダメージも大きくなっていきます。

地震から受けるダメージには目に見えないダメージも多数ありますが、これらのダメージは小さな地震であっても受けることあり、住宅の構造体の歪みとして蓄積されていきます。そうなってしまうと、本来の構造体の地震への強さが損なわれてしまいます。

一方、同じ大きさの地震であっても、制震ダンパーによって住宅の構造体が受ける揺れの大きさが抑えられていれば、受けるダメージの大きさが著しく変わります。

参考施工事例 「αダンパーExⅡ」を取り付けてある住宅の被災後の様子 Zelkova Design株式会社様・O様邸【大阪府高槻市】

1回目の地震で地震の揺れを100%受け止めた住宅と、揺れが吸収され、小さくなった揺れを受けた住宅とでは、受けるダメージが変わります。 余震が続いたり、数年後に別の大きな地震が起きたりした時、1回目の地震によるダメージの蓄積がある住宅は、より大きなダメージを受けます。

揺れが吸収された住宅ではダメージの蓄積がない為、本来の構造体の持つ耐震性が維持されていることに加え、新たな地震からの揺れも吸収されるので、ダメージを受けずにすみます。

コラム 震度4以下の地震の揺れが住宅に及ぼす影響とは|繰り返す揺れの恐怖

コラム いつまでも続く余震に強い住宅とは|耐震性の向上だけでは不十分?

これが、「制振・制振の役割は耐震性を守ること」という意味です。制振・制振は住宅の構造体が備えている耐震性を低下させない働きをします。耐震性を高めることは住宅を地震から守るために絶対に必要ですが、その耐震性を守る制振も非常に重要です。

オイルダンパーは確実な効果があるだけではなく、新築時にもリフォーム時にも取り付けやすい制振ダンパーです。メンテナンスなしで120年の保証がついているほど耐久性にも安心感があります。

耐震性を高めると共に、その耐震性を100%活かすためにオイルダンパーでの地震対策を計画されませんか?

大切なあなたの家族を守りたい 制震ダンパー「αダンパーExⅡ」 ―KEEP YOUR SMILE―

制震ダンパー「αダンパーExⅡ」

いつ起きるかわからない地震。 恐ろしい地震から、誰もが家族や住宅を守りたいと願うものです。 トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は、耐震住宅の弱点を補いつつ建物の倒壊防止に効果を発揮します。

多くの研究機関で実証

「αダンパーExⅡ」は、東京工業大学・静岡大学・豊田工業高等専門学校・岐阜県立森林文化アカデミーなどの数多くの学術研究機関による性能試験をクリアして、その効果が認められています。

16,000棟以上の導入実績

「αダンパーExⅡ」は、木造住宅用の油圧制震ダンパーとして信頼と実力No.1で、16,000棟以上の供給実績があります。これからもより多くのお住まいを地震や自然災害から守り続けていきます。

グッドデザイン賞を受賞

制震装置「αダンパーExⅡ」は、2021年度グッドデザイン賞(主催:公益社団法人日本デザイン振興会)を受賞いたしました。

低コストで高い効果

耐震工法+αダンパーEXの効果検証データ

「αダンパーExⅡ」は、『免震』工法に比べて、施工効率が高く、低コストでの設置が可能です。『耐震』工法では、対応できない繰り返しの地震にも有力です。

耐震性の優れた住宅に制震ダンパーをプラスして、より安心・安全な住宅を目指してみませんか?

技術力の高いトキワシステムが提供する120年製品保証でメンテナンスフリーの安心・高品質な制震ダンパー 「αダンパーExⅡ」 で、住宅をしっかりとサポートします。

ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください

 

監修者情報

株式会社トキワシステム

株式会社トキワシステム

制震ダンパー・地震対策の情報について発信しています。
トキワシステムが提供する制震ダンパー『αダンパーExⅡ』は、地震から建物を守り、住まいの安心と安全をご提供いたします。

保有資格
・二級建築士
・フォークリフト運転技能者
・木材加工用機械作業主任者
・第二種電気工事士

受賞歴
・GOOD DESIGN AWARD 2021