首都直下型地震について知ろう|5月に被害想定が10年ぶりに見直された
連日のように日本のどこかで発生している地震。
そして今後も危惧されている大きな地震のひとつに、「首都直下型地震」があります。
首都直下型地震については都が被害想定を検討し発表していましたが、今年の5月、東京都は10年ぶりに被害想定の見直しを実施し新たな被害想定を発表しました。
そこでこの記事では首都直下型地震について、その概要と最新の被害想定についてお伝えしたいと思います。
・首都直下型地震とはどういったものかがわかります。
・今年5月に見直されたばかりの被害想定について知ることができます。
目次
首都直下型地震とは
首都直下型地震と聞くと”首都である東京都を直撃する巨大地震”といったイメージを持つ方も多いかもしれません。
実際は、「東京都、千葉県、埼玉県、茨城県、神奈川県、山梨県を含む南関東地域のいずれか又は複数の地域を震源とする、マグニチュード7クラスの大規模な地震」のことを首都直下型地震といい、「南関東直下地震」と呼ばれることもあります。
なお直下型地震とは内陸部の比較的浅いところを震源として起きる地震のことをいいます。
最新の首都直下型地震の被害想定
東京都では平成24年に公表された「首都直下地震等による東京の被害想定」そして平成25年に公表された「南海トラフ巨大地震等による東京の被害想定(平成25年公表)」を策定していました。
これらについて都は東京都防災会議のもとに地震部会を設置し、前回想定してからの10年間に起きた様々な変化や最新の科学的知見、そして全国各地で発生した大規模地震を踏まえて10年ぶりに見直し、最新版の「首都直下地震等による東京の被害想定」を発表しました。
首都直下型地震として想定される地震
今回の見直しでは首都直下型地震として、都心南部直下地震をはじめとする次の直下型地震を中心に検討されています。
- 都心南部直下地震
- 多摩東部直下地震
- 立川断層帯地震
- 大正関東地震
- 南海トラフ巨大地震
これらの地震が首都直下型地震として検討の対象となった理由として、都心南部直下地震では首都中枢機能への大きな影響や、交通網・木造住宅密集地帯の火災延焼などの大きな被害が想定されるため選ばれています。
多摩東部直下地震および立川断層帯地震は多摩地域に大きな影響を及ぼすことが考えられるため、大正関東地震は現時点では発生確率が低いものの、100年後頃には発生する確率が高くなっていると想定されるため、選ばれています。
また、南海トラフ巨大地震は、該当地域の島しょ部への津波の影響が大きいと考えられること、そして内陸部では長周期地震動による被害が発生する恐れがあると考えられることから対象として選ばれています。
ではそれぞれの、最新版の被害想定についてみていきたいと思います。
想定規模(マグニチュード)と発生確率
想定される地震の規模は、都心南部直下地震、多摩東部直下地震ではマグニチュード7.3で、今後30年以内に発生する確率はともに70%とされています。
立川断層帯地震ではマグニチュード7.4が想定され、今後30年以内に発生する確率は0.5~2%と予測されています。
一方でマグニチュード8クラスが想定される大正関東地震は発生間隔は180~590年とみられており、今後30年以内に発生する確率は0~6%とされています。
また、南海トラフ巨大地震ではマグニチュード9クラスが想定され、今後30年以内に発生する確率は70~80%とされています。
【首都直下型地震として想定される地震と規模(マグニチュード)】
人的被害
具体的な被害想定については季節や時間帯により差が生じるため、冬の早朝・昼・夕方に分けて検討しています。
これは都内に時間帯による滞留する人々の活動内容の違いや、季節による火器器具の使用状況の違いなどがあるためです。
都心南部直下地震の人的被害想定は死者・負傷者のいずれも冬の夕方に最も多いと想定されており、想定人数は死者6,148名、負傷者93,435名となっています。
要因としては、揺れによる建物倒壊が大多数を占めています。
多摩東部直下地震では最大の想定死者数が冬の早朝で5,104名、負傷者は冬の夕方で81,609名が想定されており、要因としてはやはり揺れによる建物倒壊が大多数を占めていますが、都心南部直下地震よりも固定していない家具や大型家電等による下敷きや火災による死者・負傷者数が増えると想定されています。
立川断層帯地震の人的被害想定は死者・負傷者のいずれも冬の夕方に最も多く、想定される人数は死者1,490名、負傷者19,229名、大正関東地震ではいずれも冬の早朝に最も多く、想定される人数は死者1,971名、負傷者39,445名となっており、どちらも揺れによる建物倒壊による要因が大多数を占めています。
また、南海トラフ巨大地震における人的被害想定では死者・負傷者のいずれも冬の早朝に最も多く、想定される人数は死者953名、負傷者31名です。
南海トラフ巨大地震での人的被害の要因は、ほとんどが津波によるものと想定されています。
建物被害
大規模地震による大きな被害のひとつに、建物被害があります。
首都直下型地震では都心部ということもあり住宅が密集しているため、甚大な建物被害が想定されます。
建物被害は揺れや液状化による全壊、火災による焼失などが含まれており、南海トラフ巨大地震においては建物被害の要因として津波と急傾斜地崩壊が含まれており、揺れによる建物被害では老朽化や耐震性の低い木造建物やビル・マンションの倒壊、中間階の圧壊の発生、歴史的建造物の倒壊などが想定されています。
建物戸数も、区部を中心に都全体ではこの10年間(平成20~30年)で113.1%増加しています。(出典:東京都防災HP「首都直下地震等による東京の被害想定報告書」)
その一方で建物の耐震化や不燃化が進んでおり、今回の見直しでは前回と比較して実に4割近く建物の被害数が減少しています。
とはいえ下記の通り、たいへん多くの建物が被害に遭うと予想されているのも現実です。
具体的な総定数は次の通りで、南海トラフ巨大地震以外はいずれも冬の夕方に被害が最も大きいとされています。
津波
首都直下型地震において、都心南部直下地震などでは都内の河川や海岸の堤防を越えるような津波高は想定されていませんが、海溝型地震である大正関東地震や南海トラフ巨大地震では、津波の被害が想定されています。
特に南海トラフ巨大地震においては深刻な津波の被害が起きると想定されており、島しょ部では海岸線で最大約6~28mの津波が発生すると予測されています。
津波が懸念される地域では、津波への対策も重要となってきます。
液状化
東京湾岸の埋立地や河川沿岸部等を中心に、都心南部直下地震では広範囲にわたって液状化が起きると予測されています。
液状化による建物の全壊や傾きなどの被害は区部で約 1,500棟、多摩地域で約50棟に及ぶとされ、居住困難な全壊被害が多数発生するという予測です。
交通インフラ・ライフラインへの影響
首都直下型地震が発生した場合、道路や鉄道などの交通インフラや、電気・水道・通信などのライフラインへの影響が考えられます。
震度6強以上となる地域では、耐震性の低い橋梁等を中心に被害が発生し、通行困難となる道路が多数出ると想定されています。
交通インフラでは特に都心南部直下地震では大きな被害が予想され、想定では都内の高速道路では当日~1週間以内で復旧可能とされるレベルの被害率が9.4%、一般道では被害率0.7~7.2%です。
中には復旧に1週間以上かかるレベルの被害が発生するとみられる道路もあり、その被害率は0.1%程度となっています。
また、電力や通信、水道といったライフラインでも甚大な被害が予測されています。
震度6弱以上のエリアでは建物倒壊や液状化による電柱の倒壊、火災による配電線の焼失などによって配電線が切断されたエリアでは、停電が発生します。
首都直下型地震の中でも停電による増大な被害が予測され、都心南部直下地震による都内の停電率は平均で11.9%と想定されています。
通信においては、固定電話や携帯電話の不通率が都心南部直下地震で最大となり、都内では50%を超える地域も多いと想定されています。
停電やこれらの通信回線の不通に伴って、インターネットの接続も利用できないエリアが発生するとみられています。
水道の断水率も都心南部直下地震で最大となり、都内の断水率は平均で26.4%、復旧完了までは約17日後と想定されています。
経済的被害
大規模な地震が起きると、復旧などに要する費用(直接被害額)や、人的被害や建物被害などに伴って経済活動が低下することによる経済的被害(間接被害)が発生します。
また、人的被害や建物被害に加えて、電力や通信の復旧まで時間を要する場合に影響を受ける企業や工場では継続が困難となったり、BCP(災害などの緊急事態に備えた事業継続計画)の作成や備蓄が十分にできていない中小企業において事業の継続が困難になったり、といった社会経済活動への影響も予測されています。
こうした間接被害と呼ばれる経済的被害は算出が難しく、首都直下型地震の被害想定においても算出はされていません。
なお、首都直下型地震における直接被害額は算出されており、都心南部直下地震では総額約22兆円にものぼるとされています。
首都直下型地震によって各地震で想定されている経済的被害(直接被害額)は次の通りです。
まとめ
首都直下型地震は30年以内に起きる確率も高く、多くの人が関心を持っています。
タワーマンションの増加や高齢化などといった新たな課題も見えていますが、今回の見直しでは前回よりも建物被害・人的被害共に減少しています。
これらは度重なる大規模地震のたびに取り組まれてきた住宅の耐震化や木造住宅密集地の大幅な減少によるものと考えられています。
もちろん、だから安心という訳ではなく、平時の時にこそこのような大規模地震への対策をおこなっておくことが大切です。
耐震化された住宅へプラスの地震対策を~制震のすすめ~
大きな地震が来る前に、日頃から非常持ち出し品の準備や避難経路の共有など、地震への対策はしておかなければなりません。
そしていま住宅への地震対策として注目されているのが、耐震化された住宅へ「制震」の技術を取り入れる方法です。
住宅へ制震技術をプラスすることで、耐震だけでは補いきれない弱点を制震によってカバーすることができます。
制震を取り入れるには、住宅に「制震ダンパー」と呼ばれる制震装置を設置する方法が最も一般的です。
制震ダンパーとは、「地震による揺れを吸収して振動伝達量を抑えるための装置」です。
<参考コラム>制震ダンパーは効果や種類を検討し最適なものを設置しよう
トキワシステムがおすすめする制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は特殊オイルを用いたオイルダンパーで、次のような特長があります。
- 建物の変形を約1/2に低減し、建物の損傷を大幅に軽減する高い性能
- 副資材が不要、半人工以下の簡易施工を実現する施工性の高さ
- 120年の製品保証とメンテナンスフリーの実現による耐久性の高さ
- コストパフォーマンスの高さ
- さまざまな研究機関などで実施した実証実験による信頼性
- 16,000棟以上にもおよぶ採用実績
このように数ある制震ダンパーの中でも安心・高品質な制震装置で、小型化により施工も容易なため 住宅の新築時の施工はもちろん、既存住宅への設置も可能です。
大切なあなたの家族を守りたい ―KEEP YOUR SMILE―
いつ起きるかわからない地震。
恐ろしい地震から、誰もが家族や住宅を守りたいと願うものです。
トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は、耐震住宅の弱点を補いつつ建物の倒壊防止に効果を発揮します。
耐震性の優れた住宅に制震ダンパーをプラスして、より安心・安全な住宅を目指してみませんか?
技術力の高いトキワシステムが提供する安心・高品質な制震ダンパー 「αダンパーExⅡ」 であれば、住宅をしっかりとサポートします。
ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。