前回起きた南海トラフ地震の詳細を知っておこう~来るべき地震に備えて~

前回の南海トラフ地震

「南海トラフ地震が起きるというけど、いつ起きるの?」

「もし本当に起きたらどんな被害があるの?」

各地で地震が頻発している今、このような不安を抱えていないでしょうか?

南海トラフ地震は30年以内に発生する確率が70~80%と言われている大規模な巨大地震です。

そして、今までに周期的に繰り返されている地震でもあります。

そこで今回は前回発生した南海トラフ地震に注目し、どの様な規模でどのような被害があったのかについてお伝えしたいと思います。

この記事を読んだらわかること

・前回の南海トラフ地震は1946年(昭和21年)12月21日の「昭和南海地震」です。
・死者・不明者、建物全壊・半壊・焼失、津波などの被害が多数発生しています。

前回起きた南海トラフ地震は「昭和南海地震」

南海トラフ地震
【出典:気象庁HP】

南海トラフとは四国の南の海底にある水深約4㎞もある深い溝のことで、「フィリピン海プレート」と「ユーラシアプレート」の境界です。

そして南海トラフ沿いを震源とする巨大地震のことを、「南海トラフ地震」といいます。

南海トラフ地震は西暦684年に発生した「白鳳地震」から記録が残されており、一番最近に発生した南海トラフ地震(前回の南海トラフ地震)は1946年に起きた「昭和南海地震」です。

なお、昭和南海地震の2年前である1944年に起きた「昭和東南海地震」とあわせて「昭和地震」と呼ばれることもあります。

<参考コラム>南海トラフ地震は過去にも繰り返し発生している!経緯を知って未来に備えよう

昭和南海地震の概要

南海トラフ地震
【出典:気象庁HP「南海トラフ地震予想震度」】

では1946年の「昭和南海地震」について詳しくみていきましょう。

規模・震度

■ マグニチュード:8.0

■最大震度:6

■震源の深さ:約24㎞

■ 震源域:紀伊半島~高知県中部沖

昭和南海地震はマグニチュード8.0、最大震度6と記録されています。

震源域は紀伊半島南西部から高知県の中部沖で、

1946年当時の震度は微震、弱震、強震、烈震で表されており、以下のように現在の震度に置き換えられます。

微震 震度1
弱震 震度2~3
強震 震度4~5強
烈震 震度6以上

震度6(烈震)程度の地震が観測されたのは、岡山県・香川県・高知県・兵庫県・三重県の一部で、四国から瀬戸内沿岸、紀伊半島にわたって強い震度が観測されています。

震度5(強震)程度の地震は中・四国地方や近畿・東海地方を中心に、南は九州地方の大分、北は北陸地方の福井でも観測されており、広範囲にわたって多くの地域で大きな揺れがあったことがわかります。

また、震度4(こちらも当時の震度区分では強震)にいたっては、震度5と同地域にプラスして甲信地方や関東地方でも観測されています。

震度5以上の揺れは体感的にもかなり大きな揺れと感じるレベルの地震で、近くでは2022年3月18日の岩手県沖で発生した地震が最大震度5強を記録しています。

<参考コラム>震度5弱・震度5強の揺れや被害はどれくらい?内容を知って適切な対策を

前震・余震

当時は前震があったという説もありましたが、気象庁の詳しい調査によって、昭和南海地震には前震はなかったとされています。

また、余震は約1年5か月後にあたる1948年4月18日に和歌山県で発生しており、余震源は和歌山県南方沖でマグニチュード7.0、最大震度4が観測されています。

大きな地震の後に繰り返される余震は、「いつまで続くのだろう?」「また大きな地震が来るのではないだろうか?」と、人々をさらに不安にさせるものです。

そして建物にとっても、ダメージを受けた後に余震が繰り返されることで倒壊や損壊の危険も増してしまいます。

余震は地震によってすぐに終わるケースと10年以上も小さな余震が続くケースがあるため、地震の後は余震の情報にもアンテナを張っておく必要があります。

昭和南海地震の被害状況

被害状況

前回の南海トラフ地震地震である「昭和南海地震」による被害は、中部地方から九州地方にまで及びました。

昭和南海地震は、これまで起きてきた南海トラフ地震の中でも比較的規模が小さいと言われていますが、それでも広範囲にわたって甚大な被害をもたらしています。

被害状況

昭和南海地震の被害写真
気象庁HP「稲むらの火 」

昭和南海地震の被害状況は次の通りです。

【死者・負傷者等】

  • 死者: 1,362名
  • 負傷者 :2,632名
  • 行方不明者:102名

【家屋損壊】

  • 全壊:11,591戸
  • 半壊:23,487戸
  • 流失:1,451戸
  • 浸水:33,093戸
  • 焼失:2,598戸

中でも高知県の被害が大きく、湾岸地域では地盤沈下が起こりそれによる浸水も各所で起こりました。

また、瀬戸内海沿岸の干拓地では各所で液状化現象が起こり、それによる家屋倒壊も多く発生しています。

津波状況

【出典:徳島地方気象台「 牟岐町津波来襲後の様子 」

前回の南海トラフ地震である「昭和南海地震」では、特に津波による大きな被害がみられました。

過去の南海トラフ地震よりも規模が小さいとされているにもかかわらず、広い範囲で津波が記録されています。

津波はアメリカの西海岸やハワイにまで到達し、津波の高さが1m以上となった地域は九州地方から房総半島にまで及びました。

最高潮位は和歌山県の串本町で6.57mもの津波を記録し、高知では5.2m、徳島県では4.8m、三重県でも3.5mを記録しています。

特に津波が到達するまでの時間がとても早く、 和歌山県の串本町 までは到達時刻がおよそ10分に満たなかったとされています。

まとめ:南海トラフ地震に備えて万全な対策を

地震対策

このように、今までの南海トラフ地震の中では比較的小規模だったといわれる前回の地震(昭和南海地震)であっても、被害はとても甚大なものでした。

昭和南海地震でも、たくさんの尊い命が奪われ、数多くの住宅が倒壊、流出、焼失しています。

そして 次回発生するであろう南海トラフ地震は、より大きな規模が予想されています。

前回の南海トラフ地震から約75年が経つ現在、過去にもこのような被害がもたらされていたことをよく把握して、私たちは巨大な南海トラフ地震に対する備えを行っておく必要があります。

被害を少しでも減らすために、平時の今、できることから取り組んでみてはいかがでしょうか。

<参考コラム>9月1日は防災の日【災害に対する家庭での備えを忘れずに】

自宅をより安全な場所へ~「制震ダンパー」設置のすすめ

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<参考コラム>制震ダンパーは効果や種類を検討し最適なものを設置しよう

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トキワシステムの制震ダンパー「αダンパーExⅡ」よくある質問

監修者情報

株式会社トキワシステム

株式会社トキワシステム

制震ダンパー・地震対策の情報について発信しています。
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保有資格
・二級建築士
・フォークリフト運転技能者
・木材加工用機械作業主任者
・第二種電気工事士

受賞歴
・GOOD DESIGN AWARD 2021