芸予地震とは?震度や被害は?災害の少ない中国地方でも地震は起こる
近年、集中豪雨などの自然災害が増えているとはいえ、それでも大きな地震などは少ないと言われている中国地方。
特に瀬戸内と聞くと、波も低く気候もおだやかなイメージがありますね。
そんな中国地方でも、過去に瀬戸内海を震源とした「芸予地震」と呼ばれる大規模な地震が起きています。
そこでこの記事では「芸予地震」に注目し、震度や被害状況などについてご紹介するとともに、普段地震や災害の少ない地域でも大きな地震は起きるということをお伝えします。
記事の後半では、今のうちに住宅に取り入れておきたい地震対策についてもご紹介します。
・芸予地震とはどのような地震であったか、震度や被害状況がわかります。
・普段地震が少ない地域でも大きな地震は起こりうるので、備えが必要であることがわかります。
目次
芸予地震とは
「芸予地震」とは、瀬戸内海にある「安芸灘」を震源として発生した地震のことです。
1905年と2001年の2回発生しており、それぞれマグニチュード6.7~7以上と推定され、震源に近い広島県・山口県東部と愛媛県を中心に大きな被害もたらしています。
安芸灘は、広島県南西部及び山口県南東部と愛媛県北西部に挟まれた海域を指し、東西45㎞・南北30㎞・平均深度36㎞に及び、安芸灘の東部は「斎灘(いつきなだ)」とも呼ばれています。
芸予地震は「スラブ内地震」
地震は大きく分けて、以下の3つのタイプに分類されます。
1.陸域の浅い地震
2.プレート境界の地震
3.沈み込むプレート内の地震(海洋プレート内地震)
そして「3.沈み込むプレート内の地震(海洋プレート内地震)」には、 「アウターライズ地震」と「スラブ内地震」があります。
安芸灘周辺の海底は、南海トラフから北西に向けて「フィリピン海プレート」が「陸のプレート(ユーラシアプレート)」の下に沈み込んでいます。
このように陸のプレートの下に沈み込んだプレートのことを「スラブ」といい、芸予地震は「スラブ内地震」に分類されています。
では1905年の芸予地震と2001年の芸予地震について、それぞれ詳しくみていきたいと思います。
1905年に起きた芸予地震
1回目の芸予地震は、 広島県呉市に属する倉橋島の南を震源地として1905年(明治38年)6月2日に発生しています。
1905年の芸予地震については調査結果やデータ資料があまりなく、時代背景から報道もあまりなされなかったようです。
推定される地震の大きさや、記録のある震度や被害状況は次の通りです。
マグニチュードは約7~7.3と推定
1905年の芸予地震は、マグニチュード7~7.3と推定されています。
また、 当時は震度を「微震」「弱震」「強震」「烈震」などのように表現していたため、震度は次のように記録されています。
烈震 | 広島県 |
強震 | 愛媛県、鳥取県、高知県、山口県、島根県、徳島県、岡山県、香川県、福岡県、熊本県 |
強震(震度弱き方) | 岡山県、愛媛県 |
ちなみに現在の震度に置き換えると、烈震は6弱~7、強震は5弱・5強、 強震(震度弱き方) は震度4に該当します。
震源地に近い広島県呉市では震度6弱から7程度の大きな地震があり、中・四国地方と九州の一部と広範囲にわたって、震度5弱または震度5強レベルの地震が起きたことがうかがえます。
被害状況
1905年の芸予地震では東京から長崎までと広い範囲で揺れが観測されていましたが、広島県の湾岸部と愛媛県の伊予灘に面した沿岸部に集中していました。
このエリアでは古くより干拓や埋め立てがなされている地域が多かったこと、広島市内の沿岸部は三角州であったことから、地盤の軟弱さによって被害が拡大したと考えられています。
一方、震源地である広島県呉市の倉橋島周辺では地震の規模に対する被害は少なかったとされており、これは周囲が海であったこと、岩盤が強固だったことが理由だと考えられています。
■1905年「芸予地震」による被害状況
- 死者:11名
- 負傷者:177名
- 住戸全壊:64戸
- 住戸半壊:105戸
- 住戸一部破損:375戸
このときの住戸被害では、住宅構造の違い(レンガ造、木造など)や地盤の強弱などさまざまなケースがあったため、その後の建物の耐震を考えるうえでとても役立ったとされています。
実際に、軟弱な地盤の上に木造住宅が建築されているケースで大きな被害が見られたと記録されています。
2001年に起きた芸予地震
2回目の芸予地震は、広島県呉市に属する上蒲刈島の南を震源地として 2001年(平成13年)3月24日 に発生しています。
今から約20年ほど前に起きた地震ですが、1回目の芸予地震から約96年後と期間が開いており、当時よりも地震に関するデータや専門家等による分析も進歩しているため、細やかな記録があります。
地震の大きさや被害状況は次の通りです。
マグニチュードは6.7
2001年の芸予地震はマグニチュード6.7で、最大震度は6弱、震源の深さは51㎞でした。
2001年の芸予地震では、二日後に震度5弱の余震も発生しています。
主な地域の震度は次の通りです。
震度6弱 | 広島県 |
震度5強 | 広島県、山口県、愛媛県 |
震度5弱 | 広島県、山口県、島根県、愛媛県、高知県、大分県 |
震度4 | 広島県、山口県、島根県、岡山県、鳥取県、佐賀県、熊本県、大分県、宮崎県 |
広島県を中心に、中国地方全域、四国の一部、九州の一部で大きな地震が発生したことがわかります。
被害状況
2001年の芸予地震でも、主に住戸損壊を中心に大きな被害がもたらされています。
この地震の特徴として、震源地近くの広島県呉市を中心に地震による擁壁崩壊の被害、そして崩れた擁壁による住戸崩壊の被害が多発しました。
これは該当地域の土地の特徴として平地が少なく、なおかつ軍港として栄えていたため、居住地を確保するために多い山腹まで擁壁を積み上げて造成していたという宅地事情によるところが大きいと考えられています。
■2001年「芸予地震」による被害状況
- 死者:2名
- 負傷者:288名
- 住戸全壊:70戸
- 住戸半壊:774戸
- 住戸一部破損:49,223戸
- 断水:48,436戸
- 停電:56,029戸
瀬戸内海沿岸部では、広島県呉市から東広島市にかけての広範囲で、そして愛媛県でも松山市を中心に広範囲で液状化現象が起こりました。
また、地震によってがけ崩れが引き起こされるなど、土砂災害などの二次災害も多数発生しています。
このように、地震が思いがけない二次災害を引き起こすケースはよく見られています。
まとめ:地震の少ない地域でも大規模地震は起きている
このように災害や地震が比較的少ないと言われている地域でも、過去に大規模地震は幾度も起きています。
特に今回ご紹介した中国地方や四国地方は、南海トラフ地震が懸念されている地域でもあります。
日常的に地震や災害が少ない地域に住んでいると、それらに対する備えをつい忘れがちです。
何も起きてない今だからこそ、今一度地震への備えを再確認し対策を講じておくことをおすすめします。
自宅に取り入れられる地震対策は?「制震ダンパー」設置のすすめ
住戸損壊は全壊・半壊・一部損壊を含め、芸予地震でも多くみられました。
住宅への地震対策は耐震化の推進や技術的な進歩に伴い、飛躍的に向上しています。
そして今注目されているのが、耐震化された住宅へ「制震ダンパー」を設置する方法です。
制震ダンパーとは
制震ダンパーとは、「地震による揺れを吸収して振動伝達量を抑えるための装置」です。
制震ダンパーを設置することで建物の揺れを低減し、建物を地震から守ります。
素材や形状の違いから、オイルダンパー、ゴムダンパー、鉄鋼ダンパーなどいくつかの種類があり、それぞれに特徴を持っています。
<参考コラム>制震ダンパーは効果や種類を検討し最適なものを設置しよう
制震ダンパー「αダンパーExⅡ」
トキワシステムがおすすめする制震ダンパー「αダンパーExⅡ」は、特殊オイルを用いたオイルダンパーです。
- 建物の変形を約1/2に低減し、建物の損傷を大幅に軽減する高い性能
- 副資材が不要、半人工以下の簡易施工を実現する施工性の高さ
- 120年の製品保証とメンテナンスフリーの実現による耐久性の高さ
- コストパフォーマンスの高さ
- さまざまな研究機関などで実施した実証実験による信頼性
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圧倒的な小型化により施工も容易なため、 住宅の新築時の施工はもちろん、既存住宅への設置も可能です。
次の実証実験結果をご覧ください。
耐震工法で建てられた住宅に制震ダンパー「αダンパーExⅡ」を設置することで、柱の変位量が最大55%低減できることがわかります。
<参考コラム>制震ダンパーが選ばれる理由|αダンパーEXⅡとは
大切なあなたの家族を守りたい ―KEEP YOUR SMILE―
昨今は南海トラフ地震など、大きな地震の発生が危惧されています。
そのような地震からだれもが家族や住宅を守りたいと願うものです。
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