緊急地震速報は震度何から?仕組みを把握して落ち着いた行動をとろう
地震に関する技術の進歩に伴い、昨今は大きな地震が来る前に「緊急地震速報」によって知ることができます。
緊急地震速報をテレビで見たりアラームで聞いたりすることで、机の下に隠れるなどの次にとるべき行動に移ることが可能です。
揺れる前にいったん構える時間がもてることはとても助かりますね。
一方で緊急地震速報はどんな仕組みでどんな種類があるのか、震度がどれくらいのときに発表されるのかなどの詳細はあまり知られていません。
そこでこの記事では緊急地震速報が発表される仕組みや種類、発表される際の震度の目安などについてお伝えします。
・緊急地震速報は地震発生直後のデータ解析に基づいて予測されています。
・緊急地震速報には「警報」と「予報」の2種類があり、発表に際して それぞれ 震度や条件が異なります。
目次
緊急地震速報とは
緊急地震速報とはどこかで地震が発生した直後、各地で予想される強い揺れの到達時刻や震度を自動計算して可能な限り素早く知らせる、日本の気象庁が中心となって提供しているものです。
緊急地震速報の仕組み
緊急地震速報はどのようにして発表される仕組みなのか、もう少し具体的にみてみましょう。
まず、緊急地震速報は次の観測体制で取り組まれています。
- 気象庁の地震計および震度計(全国約690ヶ所)
- 国立研究開発法人「防災科学技術研究所」の地震観測網(全国約1,000箇所)
どこかで地震が発生すると、震源地近くの地震計が「地震波」をキャッチします。
地震波にはP波とS波があり、次のような特徴があります。
- S波は強い揺れをもたらす
- P波はS波より伝わる速度が速い(P波:約7km/秒、S波:約4km/秒)
こうしたP波とS波の速度差を利用して、P波の観測データから震源やマグニチュードをコンピューターによる自動計算で瞬時に推定します。
そこで推定された情報は地震波よりも速度が速く(約30万km/秒)、遠距離まで伝えることのできる「電気信号」で気象庁に伝達され、再び「電気信号」によって気象庁から私たちに発表されます。
緊急地震速報が発表される震度の目安は?
緊急地震速報には、基本的につぎの2種類に分けられています。
【一般向け】緊急地震速報(警報) ※大きな揺れが予想される場合は「特別警報」となる
【高度利用者向け】緊急地震速報(予報)
両者は予想される最大震度や内容、発表の対象などによって分けられています。
ではそれぞれについて詳しくみていきましょう。
緊急地震速報(警報)の震度等の条件や内容
緊急地震速報の「警報」は一般向けという位置付けであり、広く一般に向けて発表されます。
私たちがテレビや携帯端末で見聞きする速報やアラームは、緊急地震速報(警報)に基づいて発信されています。
緊急地震速報の「警報」が発表される震度などの条件や内容は次のように定められています。
震度等の条件
緊急地震速報(警報)は、震度等が次の条件に合致した場合に発表されます。
- 地震波が2点以上の地震観測点で観測された場合(誤報を防ぐため)
- 最大震度が5弱以上の震度の地震が予想される場合
以上の両方に合致したときに発表されます。
なお、地震波が2点以上の観測地点としているのは、地震以外の理由(地震計付近への落雷、なんらかの事故、機器の故障など)による誤報を防ぐためです。
発表される内容
緊急地震速報(警報)で発表される内容は次のようになっています。
- 地震の発生時刻
- 発生場所(震源)の推定値
- 地震発生場所の震央地名
- 「強い揺れ」(震度5弱以上)が予想される地域名
- 震度4以上の揺れが予想される地域名
このように、具体的な予想震度や実際に揺れが起きるまでの猶予時間は発表されません。
最大震度5弱以上が予想される地域にもかかわらず、震度4以上の揺れが予想される地域にも発表されるのは、予想震度に上下1程度の誤差があるためです。
また、訂正のための続報をなるべく避けるため、具体的な予想震度ではなく「強い揺れ」と表現して発表されています。
「特別警報」の震度の目安
緊急地震速報(警報)において、震度6弱以上の最大震度が予想される場合には「特別警報」として位置づけられています。
しかし震度6以上の揺れの予測技術がまだまだ開発中であることと、警報と区別するためには時間を要することから、発表は現段階では警報と区別することなくなされています。
厳密にいうと区別されている、ということだけ知っておくとよいでしょう。
緊急地震速報(予報)の震度等の条件や内容
緊急地震速報(予報)は高度利用者向けとする位置づけで、専用端末を利用して受信し、主に企業や商業施設、学校などで利用されています。
一般的には、緊急地震速報(予報)に基づいて「予報業務許可事業者」が地点ごとに地盤情報等を加えた詳細な地震速報を配信し、専用端末の設置などによって個人や企業、学校などがこれを受信します。
受信した情報は工場での生産ラインの制御や、施設などの館内放送や校内放送、エレベーター制御などで利用されています。
震度等の条件
緊急地震速報(予報)の発表は、震度等が次の条件に合致した場合に発表されます。
- いずれかの地震観測点でP波またはS波の振幅が100ガル以上となった場合
- マグニチュードが3.5以上、または最大震度3以上の震度の地震が予想される場合
緊急地震速報(予報)では、(警報)と違って1地点の地震計で観測した場合も発表されます。
発表される内容
緊急地震速報(予報)で発表される内容は次のようになっています。
- 地震の発生時刻
- 発生場所(震源)の推定値
- 地震の規模(マグニチュード)の推定値
- 予測される最大震度が震度3以下の場合 → 最大予測震度
- 予測される最大震度が震度4以上の場合 → 地域名及び震度4以上と予測される地域の予測震度 、 その地域への主要動到達予測時刻
緊急地震速報(予報)の特徴は、その迅速性です。
地震を検知してから数秒~1分程度の間に5~10回程度発表されます。
第1報は迅速性を優先して発表し、その後は徐々に精度の高い情報を発表します。
精度がほぼ安定したとされる時点で最終報を発表し、その地震に対する緊急地震速報の提供して終了です。
緊急地震速報を知る手段
先にも少し触れたましたが、私たちが緊急地震速報を知る手段はいくつかあります。
緊急地震速報(警報)は、テレビやラジオでの放送、携帯電話の一斉配信のほか、一部の自治体ではJ-ALERT(全国瞬時警報システム)を用いた防災無線による放送がなされています。
緊急地震速報(予報)は、予報に基づいて「予報業務許可事業者」が地点ごとの地盤情報等を加えた詳細な地震速報を配信し、専用端末の設置などによって個人や企業、学校などがこれを受信します。
受信した情報は工場での生産ラインの制御や、施設などの館内放送や校内放送、エレベーター制御などで利用されています。
緊急地震速報は間に合わないことも
緊急地震速報は警報・予報のいずれも地震を感知してからデータ解析をして発表されるものであり、どんなにコンピューターの性能があがって迅速に自動計算されていても、やはり限界があります。
通常、緊急地震速報の発表から強い揺れが到達するまでの時間は数秒から数十秒程度とされており、極めて短いです。
したがって震源地が内陸部の浅い場合など、震源地に近い場所への緊急地震速報は計算上間に合わないと考えられます。
また、緊急地震速報は可能な限り迅速に予想して発表されるため、震度に関してはプラスマイナス1階級程度の誤差が生じてしまいます。
特に地震計から離れた場所で発生した地震は、誤差が大きくなる可能性があります。
緊急地震速報(予報)に関しては1地点での観測でも発表されるため、事故や故障などによる誤報のケースもあります。
その場合は誤報であることがわかり次第、お知らせとして発表されます。
このように、緊急地震速報にはどうしても限界があることも知っておきましょう。
まとめ:緊急地震速報を見聞きしても慌てず行動しよう
日常生活の中で突然に緊急地震速報のアラーム音が鳴ったら、驚いて焦ってしまう人は多いのではないでしょうか。
緊急地震速報はどれくらいの震度の地震が予想されるときに発表されるのかなどをあらかじめ把握しておき、見聞きした時は落ち着いてかつ迅速に家の中で安全な場所へ移動したり、机の下へ移動したりなどの行動をとれるようにしておきましょう。
普段から地震に備えよう
緊急地震速報を見聞きしたとき、そして緊急地震速報より先に地震の揺れを感じたときに大切なのは、やはり普段からの地震に対する備えです。
室内においては家具や家電の固定、落下防止の対策、家具の配置の工夫などしておくことで、被害を軽減することができます。
住宅そのものに関しては、耐震化もすすめておくとよいでしょう。
また、非常持ち出しの準備や備蓄の準備をし、避難場所や避難経路の確認なども家族で情報を共有しておくようにしましょう。
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